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宮崎大学による「ハラスメント捏造」その悪辣手法


東京工科大学で「パワハラ抗議自殺」

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 有名学長に疎まれた大学教員が再雇用を撤回され、研究室内で首吊り自殺。大学側は労基署に届けず箝口令。 2017年9月号 LIFE 東京・八王子市の東京工科大学の軽部征夫(いさお)学長(75)は東京大学先端科学技術研究センター教授などを歴任した著名な学者である。人の遺伝子配列を調べるゲノムチップの研究、ワインやパンの酵母菌を使った有毒物質検出センサーの開発などの業績で知られ、立花隆や筒井康隆と対談するなど、一時はバイオ分野の花形教授だった。だが、他方では、東大先端研時代に、大学院生名義の通帳に架空の研究費を振り込ませていたとして「サンデー毎日」で批判されたこともある。その高名な軽部氏が学長を務める東京工科大学で、教員の自殺事件が起きていたことが本誌の調べでわかった。いったん大学が再雇用を決定した教員が、その後、上司の学部長から解雇を通告された挙句、大学内の自分の個室で自殺していたのだ。関係者によると、教員は軽部学長から「徹底的に嫌われていた」といい、大学内では、軽部氏 ………

東大、職員4800人雇い止めで失職も…組合と大学側が全面対決、国の働き方改革に逆行

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ビジネスジャーナル(2017年09月28日)
東大、職員4800人雇い止めで失職も…組合と大学側が全面対決、国の働き方改革に逆行 東京大学安田講堂(「Thinkstock」より)  東京大学で、政府の進める「働き方改革」に反することが行われようとしているという。詳しく話を聞こうと、東大に向かった。  赤門をくぐり、三四郎池や安田講堂を見ながら、広大な本郷キャンパスの奥まで進んでいく。周囲と比べると、こぢんまりとした3階建ての建物。入っていくと左右ともにある階段がカーブしながら2階に続いている。2階は生協第2食堂。3階まで上ると、そこから廊下が続いている。古ぼけたソファーや家具、電子オルガンやシタールまでが無造作に置かれている。「楽器は決められた場所で演奏してください」の貼り紙があった。どこかからバイオリンを奏でる音が聞こえてくる。どこの大学も小ぎれいになり、東大も例外ではないだろうが、この一角には昔の大学の空気が流れている気がした。  長く垂れ下がった白い布暖簾の向こうが、東京大学教職員組合書記局である。入っていくと、執行委員長の佐々木彈氏(社会科学研究所教授)と書記長の高橋登氏(工学系研究科技術専門員)が迎えてくれた。小学生ほどの少年がその部屋にはいる。組合職員のお子さんらしい。  働き方改革に逆行する東大本部のあり方について、2人は語る。 「男女共同参画とか、一億総活躍、働き方の多様化という世の中の流れに、東大がひとりで逆行しようという企てとしか思えないです」(佐々木氏) 「仕事の内容をよく理解していないから、パートタイムというだけで、単純な作業しかしていないと思い込んでいるんです。実際は常勤職員と同じことをやっていて、長い経験がありますから、常勤職員にスキルを教えていたりします。上は3年くらいで異動するので、深くはわからないのです」(高橋氏)  2013年4月1日に施行された「改正労働契約法」によって、パートタイムやアルバイト、契約社員、準社員、パートナー社員、メイト社員など、雇用期間の定められた有期契約労働者が、契約の更新の繰り返しによって通算5年を超えた場合、本人の申し込みがあった場合は無期労働契約(期間の定めのない労働契約)に転換しなければならなくなった。働き方が多様化していることを踏まえ、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇の差を少しでも埋めようとする施策である。  契約期間のカウントは、施行の日から始まる。来年4月から、5年間契約期間が続いた有期雇用労働者に無期転換への申し込みの権利が発生する。東大では、その権利が発生する前に5年で雇い止めする規則を設けていたのだ。これによって、1年に約1000人、5年間で約4800人の有期労働者が職を失うことになる。 ●現場の実務の実態を無視  東大の有期雇用教職員には、2つのタイプがある。ひとつは、週38時間45分働くフルタイムで月給制の「特定有期雇用教職員」だ。もうひとつは、週35時間以内のパートタイムで時間給制の「短時間勤務有期雇用教職員」だ。2人が特に力説したのは後者についてだ。 「ワークシェアリングの考え方が進んでいるヨーロッパでは、部長と次長が両方ともパートタイムで、部長が週に3日出てくる。残りの2日を次長が出てくるということがある。2人とも、子育て中のお母さんだったりするわけですよ。だけど会社に行けば、管理職として2人のどちらかがそこにいる。そういう多様な働き方を認めようというのが、今の世の中の潮流であるにもかかわらず、『フルタイムはいい仕事』『パートタイムは単純な反復作業』というような変な身分差別を設けているのが、東大本部のやり方です。子育て中だとか、病気の親を抱えているとか、家庭責任があって、週2~3日しか働けなくとも、本当にいい仕事をしたいという人はいっぱいいるのに、そんなこと一切考えてない。想像もしたことがない。中年男性正社員だけの人事担当者は、こういうことがみえてないです」(佐々木氏)  話をしていると、少年が「家庭責任って何?」と聞く。「君がここにいるってことだよ」と佐々木氏が答えた。  東京大学は来年4月以降、公募選考で採用されれば有期雇用の職員が無期雇用になれる新しい雇用形態をつくるとしている。しかし、これはフルタイムの労働者についてである。現在フルタイムの労働者でも、採用されなければ仕事を失う。パートタイムの労働者なら、フルタイムへの道を選ぶのでなければ、そもそも応募できない。 「東大は『週2~3日で無期転換なんてみみっちいこと言わないで、もっといい職をちゃんと用意するから、こっちに応募してくださいよ』と言っているわけです。『単純な作業を週に3日、それを5年以上やるなんて辛いでしょう』というようなことを説明会でも言っています」(佐々木氏) 「うちの研究室の秘書さんは、週3日の勤務です。『夫の扶養の範囲で働きたいから、3日でいいです。時間も短くしてほしい』と本人が言って、うまく調整して働いてもらっている。実際3日間と残業で、なんとかこなせる業務量なんですよ。それがフルタイムになったら、どっちも困っちゃう。こちらには予算に限りがあるわけだし、秘書さんは扶養から外れてしまう。どっちにとっても、いいことはないのです」(高橋氏) 「たとえばの話、特殊な植物に1週間に1回水をやる係の人がいるかもしれない。10~15年勤めあげていて、職人芸になっていたりする。この人をフルタイムにして週5日職場に来ても、やることはないんですよ。だけど週1日のその仕事に関しては、この人は神の手でこなす。こういう人を5人解雇して、その替わりにフルタイムの人を1人雇っても、何をする気なんだと思います」(佐々木氏) 「工学系の事務でいうと、最高レベルの情報を扱っているわけです。パートタイムでも、常勤職員と同じ仕事をやっている。常勤職員だけではやりきれないくらいの数があるから、パートタイムで分担しているわけですが、質としてはまったく同じだし、高いスキルのいる仕事です」(高橋氏) 「社会系の事務だと、データをくれる取引先との交渉に関して、神業を持つ人がいます。その人が週に1日、たとえば火曜日だけ来るということになれば、取引先は火曜日に集中的に連絡してくるわけです。『コーディングはどうしますか?』などと私に言われても、何もわからない。その人でなければ、何もわからないということがあります。しかし、その人に言えばツーカーとわかるから、取引先は毎週火曜日に連絡してくるわけです。それで仕事は回っているので、フルタイムになる必要はない。『フルタイムだったらいい仕事』『週に1~2日だったら単純作業』ということは、まったくないのです。東大本部は、実務がわかっていないのです」(佐々木氏) 「東大内の財務会計システム、旅費システムや購買システムを、パートタイムの人が扱っていますが、けっこう複雑なので、熟知するまで2~3年はかかります。任期の半分です。それであと任期の半分で辞めさせられちゃうというのは困るわけですよ。5年経ったらもうプロですから、離したくないわけですよ」(高橋氏) 「有能な人が任期の途中でどこかに引き抜かれてしまう事態というのは、結構あります。そういう時、残された我々は血相を変えて、代わりのできる人が誰かいないかと血眼になって探すわけです。週に数日しか来ない人たちのやっている仕事の性質を、東大本部は無視していて、『単純な作業を5年も6年も続けていても、本人も嫌でしょう』などと、貶める発言も目につくのです。しかし本人が嫌どころか、取引先だって『えっ、あの人いなくなっちゃったの?』と頭の中が真っ白になってしまうのです」(佐々木氏) 「本部や部局が、難しい財務会計システムや旅費システムなどの講習会を開く時に、呼びかけている相手は、パートタイムの秘書さんたちです。複雑な作業をやっているとわかっているけど、認めたくない。認めると大変なことになっちゃうから。パートタイムの時給が、今1300円くらいですよ。本部は『それに見合う仕事だけさせてくださいね。させていますね』と言うのですが、実際に部局はそういう決して高くはない給料の人にも、同じ仕事をさせてるわけです。逆にパートタイムから仕事を教わっている常勤職員が、その何倍ももらっていたりする。だから、その人たちは不満だらけですよ。同じことをやっているのに、なんでこんなに差があるんだという不満です」(高橋氏) ●クーリングの主旨  改正労働契約法には、クーリングという考え方がある。契約のない期間が6カ月以上あれば、それ以前の契約期間は通算契約期間に含めないのだ。有期労働契約が5年を超えたら無期労働契約に切り替えなければならないが、5年に至る前に6カ月のクーリング期間を設ければ、再び有期労働契約ができるということだ。  厚生労働省によればクーリングの制度はそもそも、デパートなどで繁忙期にだけ働く労働者や季節労働者を想定して設けたものだという。同じ会社で1年間に数カ月だけ毎年働いている労働者に関してまで、無期労働契約への転換を迫るのは使用者に対して酷だ、との考えである。通年働いている有期契約労働者の契約期間が5年に至ろうとする時に、無期への転換を避けるためにクーリングを置くのは、立法の趣旨から逸れており、そうした使われ方には危惧を抱いているが、法的に止める手立てはないとのことだ。  以前の東大ルールでは、クーリングは3カ月だったが、改正労働契約法の成立に合わせて、6カ月に変えられた。3カ月では改正労働契約法によって、以前の契約期間まで通算契約期間に含まれてしまうからだ。このことから、厚労省が危惧している方向で、東大はクーリングを使おうとしていることも窺える。 「無期転換権が発生しないために6カ月空けるというのは、法の趣旨に反する脱法行為だからやめてくださいと、労働局のホームページでも言っています。6カ月空けて5年来て、また6カ月空けてまた5年来るんだったら、その6カ月になんの意味があるのか。6カ月、その人は何をしてればいいのか。たとえば入札課など、特定業者との癒着を阻止するために、間を空けたほうがいい場合もあるでしょう。しかし、それはごく少数ですし、ほとんどの職種は、継続性があったほうがいいに決まっています。労働契約法が変わった時点で、クーリング期間が3カ月だったのを6カ月にするという業務上の必要性があるのか、と問われれば、これは苦しいですよ。そこを、我々は東大側に団体交渉で突いたのです。そしたら、理事が『今まで3カ月しか雇えなかったところが、6カ月雇えるようになる』とトンチンカンことを言って、あちこちから怒号が飛んで、向こうは黙ってしまったことがありました」(佐々木氏) 「6カ月だけのために働きに来てくれる人がいるのかということと、6カ月で来た人がそれまでのプロフェッショナルと同じだけの仕事ができるのかとを考えたら、無理な話です。無期転換を逃れるためとしか、考えられないです」(高橋氏)  そもそも東大は、なにゆえ無期労働契約への転換を拒もうとしているのか。 「おそらく、財務が逼迫した場合を想定して、無期契約の職員は解雇しづらいので、雇い止めで人員整理できる有期雇用を残しておきたいという意図があるのではないでしょうか。これが通ってしまったら、他の大学も右へならえで、『東大さんがこうやってますから』というかたちで、間違ったお手本になりかねません」(佐々木氏) ●法的見解  では、東大のやろうとしていることは、改正労働契約法に照らして、違法にはならないのだろうか。弁護士法人ALG&Associates弁護士の竹中朗氏は、次のように解説する。 「現時点で、東大が定める5年ルールが法の趣旨に反し、違法であるとはいえないと考えられます。そもそも労働契約法18条1項が制定された趣旨は、有期労働契約の濫用的な利用を抑制し、いつ雇い止めされるかわからないという不安の中働いている有期労働者の雇用の安定を図ることにあります。  東京大学短時間勤務有期雇用教職員就業規則によると、東大は、有期労働者を採用する際に、5年で雇い止めすることを労働者に伝えていると考えられます。この場合、労働者は採用時から、5年で契約が終わることを予期して働くことが可能なため、いつ雇い止めされるかわからないという状況は事前に回避することができるでしょう。そのため、5年ルールが法の趣旨に違反し、違法であると断言することは困難であると考えられます。  もっとも、実際に東大が5年ルールを適用し、有期労働者の雇い止めをした場合、労働契約法19条の適用の有無が問題となり、雇い止めの有効性が争われることになるかもしれません。しかしながら、東大が採用時に5年ルールを明確に伝えていれば19条は適用されない可能性もあり、その際、この5年ルールの是非についても争点となるのではないかと考えられます。  公募選考は、東大の有期労働者が5年ルールにより5年目以降働くことができなくなるという状況の中、5年以上働きたいと考える労働者にとって希望の光となるでしょう。しかし、この公募選考は、5年ルールを前提としたものですので、これが周知されるということは、つまり5年ルールも同時に周知されるものとなり、結果として、雇い止めの有効性を判断する重要な要素である有期労働者の更新への期待はより認められづらくなる可能性があります。その意味では、公募選考は東大の5年ルールによる雇い止めの違法性を弱めるものと考えることができると思います。  クーリング期間が設けられた趣旨は、無期転換制度が有期労働契約の利用を阻害することを防止することにありますが、無期転換への可能性を狭めるものとして立法段階から問題視されてきたという事情もあります。しかし、実際に施行されている以上、6カ月間のクーリング期間を設け、ある有期労働者を長期間雇い続けることは、18条2項に沿った運用と考えることができると思われます。もっとも、クーリング期間給料は払われず出勤しつつ、再雇用時にクーリング期間分の給与をまとめて払うなど、クーリング期間とは評価できないような運用をしていた場合には、18条の潜脱としてクーリング期間は無効と判断される可能性があります」 ●東大の見解  法曹界に最も多くの人材を送り込んでいるのが、東大法学部である。明らかに違法となることを、東大が行うはずもない。だが、改正労働契約法の趣旨には反しているのではないか。  東大本部の見解を聞くべく、本部広報課に以下の質問を送った。 【質問1】  有期雇用の労働者の契約が更新されていき5年を超えた場合、無期契約に転換できる権利を与える、2012年に改正された労働契約法の「5年ルール」は、雇用の安定を図ることが目的だとされています。東京大学は契約が5年に達する前に雇い止めする規則を定めた、と報じられています。財務が逼迫した時に無期契約の労働者は解雇がしにくいなどの意図で、無期転換を拒む動きだと捉える声が聞かれました。実際の意図はどこにあるのでしょうか? 【質問2】  東京大学は来年4月以降、公募選考で採用されれば有期雇用の職員が無期雇用になれる新しい雇用形態をつくると報じられています。これはフルタイムの労働者についてであると聞いております。有期のうちパートタイム労働者は、女性が4分の3を占めており、育児や介護など家庭責任を抱えながら働いている場合が多いと聞きます。パートタイムのまま無期雇用される道は開かれておらず、政府が掲げている「働き方改革」に逆行しているとの声もあります。いかがお考えでしょうか? 【質問3】  現場の先生らからは、週1~3日の勤務でも複雑な業務を熟している労働者は多いと聞きます。東京大学本部が呼びかける、財務会計システムや個人情報の講習会に参加するのもパートタイム労働者が多く、彼らが複雑な業務を熟していることは、本部も承知しているはずだとの声もあります。現場が彼らを必要とするなら、6カ月のクーリングを設ければいいわけですが、6カ月クーリングして、また5年働くのだったら、6カ月空ける意味はどこにあるのか、との疑問の声もあります。いかが、お考えでしょうか? 【質問4】  厚生労働省は無期転換することの企業へのメリットを、「意欲と能力のある労働力を安定的に確保しやすくなる」「長期的な人材活用戦略を立てやすくなる」と説明しています。  5年を待たずに前倒しで無期転用している一般企業も増えていると聞きます。一般企業が「働き方改革」を進めているのに対して、日本の知のトップリーダーである東京大学がそれに逆行しているように見受けられるのですが、いかがお考えでしょうか?   東大本部広報課の返信は、以下の通りであった。 「ご質問いただいた内容については、大学として検討を重ねている最中であり、また、職員組合とも協議を進めているところでございます。それぞれのご質問への回答について、上記の状況を踏まえて、改めてご回答させていただきたいと考えております」  現在のところ、東大本部は回答を持ち合わせていないようだ。  東京大学のホームページを開くと、五神真総長による「総長あいさつ」に次のようにある。 「社会の姿が急速に変化する現代において、東京大学憲章に掲げる、人類社会全体の平和と福祉のための学術を現代的な形で押し進めるためには、時代の要請に応える柔らかさを備える必要があります。伝統として守るべきものはしっかり堅持する一方で、システム改革が欠かせません。これまで進めてきた学部の教育改革を定着させつつ、知のプロフェッショナルを鍛え価値創造の主体となる大学院の抜本的改革を進めます。同時に、男女共同参画、若手登用、流動性と安定性を両立させる人事制度の実現、これらは最重要の課題です。この改革を推し進める前提として、科学と学術の社会からの信頼を高めていかねばなりません。その基本である研究倫理と規範の徹底と、産学連携機能の強化は喫緊の課題です」  働き方の多様化という「時代の要請」に、「世界を担う知の拠点」として、東京大学はしっかりと応えてほしい。 (文=深笛義也/ライター)

「衆議院総選挙での立憲勢力の前進を求める」京都の大学人の声明

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「衆議院総選挙での立憲勢力の前進を求める」京都の大学人の声明(PDF)
「衆議院総選挙での立憲勢力の前進を求める」京都の大学人の声明
2017年10月3日
 臨時国会の冒頭で、安倍晋三首相は衆議院を解散しました。安倍政権は特定秘密保護法、安保法制(戦争法)、共謀罪、軍学共同など憲法破壊の政治を強行し続けてきました。立憲野党はこの間、憲法第53条にもとづいて臨時国会の開催を要求してきましたが、安倍首相は政治の私物化=「森友・加計」疑惑の追及を恐れて不当にも冒頭解散するにいたりました。疑惑隠し解散以外の何ものでもありません。  代表質問や予算委員会における質疑をいっさい行わずに解散・総選挙を行うという暴挙を厳しく批判したいと思います。同時に、この選挙を通じて、安倍政権を退陣に追い込み、日本の政治に立憲主義・民主主義・平和主義を取り返す機会にしていかなければならないと考えます。  総選挙を目前にして、「希望の党」が結成され、民進党から「合流」するという事態が生じています。憲法の改変や安保法制の容認を掲げる小池百合子氏らの政策を見れば、安倍政権が進めてきた政治を転換するものとは言えないことは明らかです。わたしたちは「市民と野党との共闘」にもとづいて立憲勢力が前進することが不可欠と考えます。  この点で、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」が9月26日に、民進党、日本共産党、自由党、社民党に申し入れした「衆議院議員総選挙における野党の戦い方と政策に関する要望」に示された方向が重要と考えます。「要望」では、憲法とりわけ9条の改変反対、安倍政権が行った立憲主義に反する諸法律(特定秘密保護法、安保法制、共謀罪法など)の白紙撤回、原発再稼働を認めないなど7つの政策を示しています。そして、4野党がこれらの政策を「重く受け止め、安倍政権を倒すという同じ方向性をもって、全力で闘うことを求めます」と述べています。  今回の衆院選にあたって、政党の解体や新党の結成がどのようになされようとも、立憲主義を重んじる野党や無所属の候補者が、市民連合の「要望」に示された方向で選挙を戦われることに希望を見出したいと思います。そして、わたしたち自身が政治の主役であることを改めて確認したいと思います。  わたしたちは、この間、安保法制や共謀罪、軍学共同に反対する運動を通じて、京都の大学人の共同を進めてきました。そのような前進を基礎にしつつ、衆議院選挙において、思想・信条の自由を前提にしながら、市民社会とともに立憲勢力の前進を求めて奮闘していく決意を表明するものです。 【呼びかけ人】          池内了(総合研究大学院大学名誉教授)        碓井敏正(京都橘大学名誉教授)          岡田直紀(京都大学准教授)      岡野八代(同志社大学教授)       木戸衛一(大阪大学准教授)             木下由紀子(神戸女子大学名誉教授・京都大学非常勤) 小松浩(立命館大学教授)               宗川吉汪(京都工芸繊維大学名誉教授)        高山佳奈子(京都大学教授)              細川孝(龍谷大学教授)               本多滝夫(龍谷大学教授)               松尾匡(立命館大学教授)               【事務局連絡先】   細川孝(hosoyanhp@yahoo.co.jp)

札幌大、2審も敗訴 減額分支払い命令

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毎日新聞(2017年10月4日)
 札幌大(本部・札幌市)の教授と元教授の計14人が、定年後の再雇用で一方的に給与を下げられたとして、減額分の賃金や慰謝料などの支払いを求めた訴訟で、札幌高裁は4日、減額分計約1億400万円の支払いを命じた1審・札幌地裁判決を支持し、大学側の控訴を棄却した。  佐藤道明裁判長(細島秀勝裁判長代読)は判決で「最大4割もの大幅な減額で不利益は重大。経過措置や代償措置を全く講じておらず、合理的とは言えない」と判断した。  判決によると、札幌大は2007年に定年を70歳から65歳に変更し、本人が希望すれば賃金を引き下げたうえで再雇用するとの雇用延長制度を教職員組合に提案。08年に労働協約を締結したが、11年に一方的に労働協約の破棄を通告し、給与支給の内規を改定したうえで、教授らの年俸を13年4月から引き下げた。  札幌大は「今後の対応について検討中」としている。【真貝恒平】

「設置者変更」はリストラの打ち出の小槌か-私立大学の「公立大学化」から見えてくる問題-

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『ねっとわーく京都』2017年10月号、11月号に連載したものを一部修正
「設置者変更」はリストラの打ち出の小槌か-私立大学の「公立大学化」から見えてくる問題-
細川孝(龍谷大学経営学部)
不払い賃金返還訴訟には隠れた争点がある  8月3日、京都地裁で一つの裁判が始まった。この裁判の訴状は今年2月に奈良地裁に提出されたが、若干の経過があって京都地裁で審理が行われることとなったものである。裁判は「賃金等請求事件」であるが、この裁判の隠された争点は別の点にある。  設置者変更、多くの読者には聞きなれない言葉であろうが、最近の報道では、京都に縁のある名前が出てくる。7月10日、苫小牧駒澤大学(北海道苫小牧市)の設置者が学校法人駒澤大学から学校法人京都育英館に変更されるのは違法だとして、苫小牧駒澤大学に学ぶ学生が、学校法人駒沢大学に計約245万円の損害賠償などを求めて東京地裁に提訴した。あわせて国が大学設置者の変更を認可しないよう仮差し止めも申し立てた。  この小論では、「設置者変更」が大学(経営)の持続的発展という本来の趣旨から離れ、リストラクチャリング(事業の再構築)という営利企業の手法と化しているのではないかという問題提起を、具体的事例を踏まえつつ行うものである。 設置者と学校の関係-設置者が学校を設置する  教育基本法、第6条は「法律に定める学校は、公の性質を有するものであって、国、地方公共団体及び法律に定める法人のみが、これを設置することができる」と規定している。同様に、学校教育法でも、学校を設置できるのは、国(国立大学法人及び独立行政法人国立高等専門学校機構を含む)、地方公共団体(公立大学法人を含む)、学校法人の3者のみとしている(例外は、構造改革特別区域法にもとづく株式会社立の学校とNPO法人立の学校が規定されている)。  ここで注目したいのは、設置者である国、地方公共団体、学校法人と、設置される学校は別のものとされていることである。例えば、複数の学校(教育階梯の異なるものを含む)を設置する学校法人を想定していただければイメージしやすいであろう。学校法人Aが設置するB大学、C大学、D高校、E中学校、F小学校といった具合である(最近、話題の加計学園には、岡山理科大学、倉敷芸術科学大学、千葉科学大学の三つの大学のほか、岡山理科大学付属高校や付属中学校校などがある)。  このように設置者と学校は別のもとして位置づけられており、学校を設置する設置者も変更されることが可能となっている。 私立大学の「公立大学化」は設置者変更である  先に述べた苫小牧駒澤大学に関する報道では、「経営譲渡」や「譲渡」という表現が用いられているが、その内実は「設置者変更」である。学校の設置者が別の設置者に変更されるということである。この設置者変更は、学校法人駒澤大学から学校法人京都育英館への事例のような学校法人(私立学校の設置者)同士の場合だけではない。  近年相次いでいる私立大学の「公立大学化」は、学校法人から公立大学法人への設置者変更という手続きをとって行われている。2017年4月現在、89大学の公立大学のうち74大学が法人化されている。公立大学法人は地方独立行政法人の一つであり、地方公共団体の一部局としての公立大学とは異なっている。  「公立大学」化と聞くと地方自治体(地方公共団体)が設置した大学という印象を与えるが、実態は「公立大学法人への設置者変更」なのである。以下では、京都府下での事例の検討を通じて、この問題の有する光と影について若干の考察を行いたい。 京都創成大学から成美大学へ  2000年4月、京都短期大学の商経科を改組転換し、京都創成大学が開学した。設置者は、学校法人成美学苑(当時)であり、福知山市との公私協力方式がとられた。京都創成大学は北近畿で唯一の四年生大学、経営情報学部(経営情報学科)のみの単科大学としてスタートした。当初の入学定員は195名であった。  その後、2007年に経営情報学科をビジネスデザイン学科に名称変更するとともに、医療福祉マネジメント学科を設置した。2010年からは大学名を成美大学に改称し、法人名も学校法人成美学園となった。  この間、さまざまな取り組みにも拘らず入学定員を下回る状態が続いた。2009年度における大学全体の収容定員に対する在籍学生比率は0.36、翌年度は0.46であった。この背景には、大学および学校法人(設置者)の管理運営の問題があった(2008年以降3年間に理事長が4回交代し、2006年以降4年間に学長が3回入れ替わり、適切な運営を行うことができなかった)。  2011年3月には、認証評価で「不適合」の判定を受けることとなった。評価結果には「評価の結果、貴大学は、『学生の受け入れ』『研究環境』『教員組織』『管理運営』『財務』『点検・評価』および『情報公開・説明責任』に関して重大な問題を有すると判断した結果、本協会の大学基準に適合していないと判定する」と記されている。  認証評価は国公私立の設置形態を問わず全ての大学、短期大学、高等専門学校に義務付けられている。7年以内ごとに文部科学大臣が認証する評価機関の評価を受けるのである。    成美大学の認証評価の受審は、第一巡目(2004~2010年度)の最終年度であった。「大学基準に適合していない」ということをもって、当該の大学が法令違反となるわけではないが、大学としての内実が社会的に問われることになるのである。 成美大学の「公立大学化」に向けた議論が始まる  京都創成大学(成美大学)は2007年度以降、入学定員の削減を繰り返すことになった(2007年度~:100人、2013年度~:80人、2014年度:60人、2015年度:50人)。カリキュラム変更も毎年のように行われた。先述の医療福祉マネジメント学科の設置以降も、「ウェルネス総合マネジメント」資格(2008年度)、「フィンランド教育」「地域」(2011年度)、「2012年度」(観光)と次々に新機軸を打ち出す。  しかし、これらの「改革」は十分な裏付けのない「場当たり的」とも言える対応であった。理事長や学長の意向によって行われた「属人的」なものでもあった。大学の運営がトップダウン化し、教育の現場である教授会の意見は取り入れられることはなかった。  大きな転機は、2013年12月の理事会体制の刷新であった。福知山市役所OBの理事長、副理事長が法人経営の実権を握ることとなった。背景には、金融機関からの融資を断られ学校法人が資金的に立ちいかなくなっていたことと、前経営陣が事実上経営を投げ出したことがある。福知山市主導で経営の再建が進められることになったのである。  新しい理事会と大学の体制が確立されたもとで、「公立大学」化に向けた議論と福知山市(民)への理解を求める取り組みが進められることになった。 成美大学の「公立大学化」に向けた急速な動き  2014年度に入ってからの経過を時系列的に示せば、次のようである 4月、市民主導の名のもとに「成美大学の公立化を求める市民の会」が結成される。 6月、「市民の会」が福知山市長に公立化を求める要望書を提出する。 8月、成美大学が「成美大学・短期大学部経営改善に関する報告書」を市に提出する。  市議7名からなる「福知山市における四年制大学の在り方調査研究委員会」が発足する(12月に「四年制大学のあり方検討特別委員会」に名称を変更)。 9月、「市民の会」から市長に公立化を要請する署名(34,285人)を提出する。福知山市に「四年制大学のあり方に関する有識者会議」が設置される(委員長は後に学長となる井口和起氏。12月までに5回開催される)。 12月、有識者会議が「検討報告書」を市長に提出する。京工芸繊維大学が成美大学の隣接地(成美学園敷地)に北京都分校(福知山キャンパス)の設置を発表する。 1月、福知山市に「公立大学検討会議」が設置される(委員長は井口氏。3回の会議)。 2月、検討会議からの「公立大学検討会議報告書」の提出を受け、市長が公立大学の設立を表明する。 3月、福知山市が「教育のまち福知山『学びの拠点』基本構想」を発表する。 福知山市議会が「公立大学開設準備費を含む2015年度予算」を可決する。 「市民の会」が「成美大学の公立化を支援する会」に名称を変更する。  このようにごく短期間で「公立大学化」に向けた動きが進み、決定をみたことがわかる。同時に、この一連の過程のなかで、成美大学の教職員は「市民の会」が取り組む署名に協力したり、集会への参加を実質的に強制されたりした。また、オープンキャンパスで「事例に学ぶ大学の公立化セミナー」を開催する(7月、9月、10月、11月)など、「公立大学化」実現の一翼を担った(担わされた)ことに留意する必要がある。 「設置者変更」に向けた取り組み  2015年度に入ると「公立大学化」を実現するために、「設置者変更」の準備が進む。  4月には、福知山市に「公立大学検討事務局」と「公立大学設置準備委員会」が設立され、成美大学との協議も行われるようになる。5月には、大学内で「新たな公立大学の設置に向けた教員アンケート」が実施される。また、公立化に向けた学内ワーキンググループが開催されるようになる。  福知山市では7月に、「公立大教員候補者の選考会議」が設置された(教員採用をめぐる問題については後述する)。福知山市議会では9月、公立大学関連の5議案が可決される。  この間、文部科学省に対しては、入学定員の変更(地域経営学科(ビジネスデザイン学科))を30名から40名に増員、医療福祉マネジメント学科を20名から10名に減員)を届け出ている(6月)。また、2016年4月1日より学部名称を経営情報学部から「地域経営学部」に、学科名称をビジネスデザイン学科から「地域経営学科」に変更することを届け出ている(8月)。  10月に入ると、福知山市は京都府に対して公立大学法人の設立認可申請を行う。翌月(11月)、公立大学法人福知山公立大学の設立が認可される。これを受け、成美学園は「設置者変更」に係る申請を文部科学省に提出する。同時に、学長・理事長予定者として井口氏が発表される。  12月には、副学長・理事予定者として富野暉一郎氏、理事・事務局長予定者として山本雄一氏(高知工科大学が公立化された時の事務局長)が発表される。福知山市は大学政策課を設置している。福知山市の公立大学設置準備委員会では、2016年度から6年間の中期目標・中期計画が検討される(福知山市長からの認可)。  以上の動きから見えてくるのは、「設置者変更」を想定して、福知山市と成美大学とが一丸となって準備を進めたことである。大学に関してのノウハウを有しないことからして、このことは自然なことであろう。しかし、表面的には、スムーズに見えるかもしれない「公立大学化」は大きな問題を孕んでいた。 包括承継か特定承継か  近年相次いでいる私立大学の「公立大学化」の事例において、福知山公立大学は特異なものとなっている。それは、設置者変更の際に「部分承継」という手法が採られたということである。具体的には、教職員の雇用(継続)の問題である。  これまでの私立大学の「公立大学化」の際には、大学の保有する権利や義務は全て新しい設置者に引き継がれ、教職員の雇用関係も維持されたと筆者らは認識している。しかし、福知山公立大学の場合には違った。  2015年度に成美大学に在職した教員のうち17名が福知山公立大学への「移行」を希望した。応募者は、2015年3月に調書、5月にアンケート、6月にエフォート(仕事の時間のうちでどれくらいを特定の用務に充てているか)を提出した。これらを踏まえ7月に、「選考会議」によって模擬授業(5分)と面接(25分)が行われた。8月に公表されたのは、9名のみの「採用」(=公立大学法人による雇用)であった。  通常、大学が設置される場合には、設置準備委員会など開設予定の大学の機関が選考を行う。しかし、福知山公立大学は「設置者変更」であって、そのような場合とは異なる。また、学術とは無関係の人間が市民代表として選考会議に加わっていた。きわめて異例としかいいようがない。  成美大学の教職員は「公立大学化」に協力を惜しまなかった。私立大学の「公立大学化」の先行事例を見て、自らの雇用関係が継続すると信じた者がほとんどだろう。福知山公立大学の2016年度のカリキュラムも、成美大学のカリキュラム(2015年度)とわずかしか変更されてない。教員の「入れ替え」を行う必要があるとはとうてい思えない。  「設置者変更」を申請する際には、学校教育法施行規則では「教員組織」に関する事項も記載しなければならないこととされている。しかし、実際の手続きでは、教員の名簿を提出する必要はなく(文部科学省に照会)、申請時の学長の氏名を記載するのみとなっている。したがって、大学や学部の新設のような業績審査も行われていない。  筆者らは「設置者変更」は大学の公共性と継続性(安定性)を保証するものであり、福知山公立大学のような事例は想定されていないと考えたい。2016年からは名称が「地域経営学部」となったが、カリキュラムはわずかししか変更されず、「学士(経営情報)」は元のままというのも不思議である。2017年度入学生からは、「学士(地域経営)」となったとはいえ、文部科学省はどのように対応したのであろうか……。  率直に言えば、性善説に立った制度の趣旨と実態との齟齬があるのではないだろうか。 大学は誰のために存在するのか  「設置者変更」によってスタートした福知山公立大学は、多くの受験生を集めている。2016年度入試では、50名の入学定員に対し1,660名の受験者、同じく2017年度は120名に対し926名である。この点では、「公立大学化」の効果はあったと言えよう(「公立大学化」の評価は、市財政への影響や、地域の経済や社会への貢献など多面的な観点から行われるべきであるが、ここでは言及しない)。  しかし、雇用関係が継承されなかったことのほかにも、成美大学に在籍していた学生に対するケアに関わる問題もある。このような事態の背景には、成美大学が継続していくことが困難になったもとで、ごく短期間に「公立大学化」を進めざるをえなかったことを指摘できるのではないか。  もともと存続するには困難な条件のもとで公私協力によって誕生した大学が、「公立大学化」によって新しい発展の可能性を得たことは評価されなければならない。同時に、開学以来、16年間にわたって存続し、教育や研究を通じて地域社会に貢献してきたことも正当に評価されなければならない。しかし、さまざまな関係者の責任は不問にして、教職員のみに責任を帰したという印象をぬぐえない。  大学は公共財であり、特定の誰かのためのものではない。そこに学ぶ学生だけでなく社会にとってもかけがえのない存在である。教職員は「学術の中心」としての大学を中心的に担う存在である。このような点で「大学界」についての市民社会の理解が深まることが、(国公私の設置形態を問わず)大学を発展させていくために不可欠であることを最後に強調したい。 (本稿は、『ねっとわーく京都』2017年10月号、11月号に連載したものを一部修正のうえで転載している)

名古屋芸大、教授に自宅待機命令 教職員組合と対立か

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朝日新聞(2017年10月13日)
 名古屋芸術大学(愛知県北名古屋市)を運営する学校法人名古屋自由学院が9月、教職員組合の委員長と副委員長の教授2人に自宅待機命令を出し、教職員組合が「明確な理由がなく不当だ」と命令の撤回を求めていることがわかった。朝日新聞の取材に、法人の纐纈(こうけつ)正伸人事課長は「現在、審議中。それ以上申し上げられない」と答えている。  組合関係者によると、9月22日、法人の川村大介理事長名で40日の自宅待機を命ずるメールが2人に届いた。後日、同じ内容の書面も郵送で届いた。理由として「職員の行為が懲戒に該当する。またはそのおそれがある」「職員が出勤することにより、正常な業務の遂行に支障をきたす。または他の職員に与える影響が大きい」などと記載されていた。組合が具体的な理由を問い合わせたが「個別の案件には回答しない」と書かれた文書が届いたという。  一方、組合関係者によると、待機命令が出る前の9月7日、組合は「(法人の)理事会が評議会を廃止し、教授会規程を改正した」などとして、大学へ指導するよう文部科学省に陳情していた。組合の代理人の小島高志弁護士は「教育現場では労使が協力し合って、学習、学問、研究の環境を発展させるべきだ。一部の教職員や労組を敵視して大学を運営することは、学生の不利益につながり、教育機関に対する社会的要請にも反する」と話す。  ログイン前の続きこの法人と組合は過去にも労働条件を巡って対立があり、愛知県労働委員会が2014年と16年にそれぞれあっせん案を示したほか、今年1月には組合が申し立てた不当労働行為の救済をめぐり、和解した経緯がある。      ◇  〈労働法に詳しい大阪市立大の西谷敏(さとし)名誉教授の話〉 具体的な理由なく自宅待機を命じ、一定期間であれ教授らの講義、研究の権利を制限するのは不当で、命令は無効だ。自宅待機命令の背景に組合活動があるとすれば、労働組合法にも抵触する。

有名私立大学が「学内で起きた職員の凄惨な自殺」を隠蔽…背景に雇用をめぐるトラブルか

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Business Journal(2017.10.13)
 発見まで、自殺の決行から4日がたっていた。首吊りによる遺体は、相当に腐敗が進んでいた。研究室のドア近くで、その変わり果てた姿と対面した課長職の女性が、切り裂くような悲鳴を上げたのも当然だ。  現場には、家族宛と学部長宛の遺書があった。 「人を人とも思わぬ非道を許せない。一死をもって抗議する」  学部長に対しては、そのような激烈な怒りの言葉が綴られていた。  これが複数の関係者から語られた、現場の状況である。さらに関係者たちの話を総合すると、N先生の死の背景には、雇用をめぐる大学側とのトラブルが浮かび上がってきた。  N先生は、東京工科大学の特任講師だった。2015年6月12日、N先生が自殺を遂げたのは、同大学八王子キャンパス研究棟Cの自室研究室である。  どんな企業や団体でも、構成員が死亡すれば訃報が公表されるのが当然である。だが東京工科大学では、N先生の訃報は公表されなかった。むしろ箝口令が敷かれ、N先生の死は隠蔽され続けている。そして今、彼が使っていた研究室では、何が起こったかまるで知らない新たな教員が仕事をしている。  1947年に創立された創美学園が、東京工科大学の起源だ。東京都八王子市片倉町の八王子キャンパス、東京都大田区西蒲田の蒲田キャンパスがあり、工学部、コンピュータサイエンス学部、メディア学部、応用生物学部、デザイン学部、医療保健学部を擁している。  ゲーム制作などを行うメディア学部は、日本で初めての設立だった。同学部の客員教授には、手塚治虫の息子でヴィジュアリストの手塚眞氏がいる。シンガーソングライターのダイスケは同学部出身だ。自由な校風で知られる同校で、なにゆえ凄惨な自殺が起こり、今に至るまで隠蔽されているのか。 突然「今年で辞めていただく」と告げられる  N先生が東京工科大学に着任したのは、2012年10月。「特任教授募集」に応募したのだが、採用されてみると「特任講師」であった。N氏は講義を持たず、学生の就職指導を専門に行う講師を務めた。多かれ少なかれ、どこの大学でも就職率を気にするが、東京工科大学でもその傾向はあり、教員のボーナスにも影響するという。就職できそうもない学生にきつく当たったり、受かるところに無理矢理にでも就職させて、自分の研究室の就職率を上げている教員も少なくないという。  N先生のもとに相談に来るのは、そうした研究室から弾き飛ばされかねない、就職力の弱い学生だ。そもそも就職する意思がなく「働きたくない」と口にする学生に対し、N先生は働くことの意義を一から説いた。昼食時間でも、学生が訪れれば相談に応じた。  2014年11月12日、大学の最高議決機関である大学評議会で、N先生の雇用契約の延長が発議され、同年11月には雇用契約を2018年9月までとすることが承認された。  だが、年が明けた1月、N先生は学部長から「今年で辞めていただく」と告げられた。N先生は、不当に雇い止めがあった場合に備えて、労働基準監督署への相談・申告、労働審判の件、弁護士への相談などの準備のため、その証拠保全に努めた。  それが3月になると、学部長より「これからも、ずっとよろしくお願いします」と言われ、仕事が続けられ、家族を養っていくこともできるとN先生は安堵した。  しかし6月12日、学部長より突然「9月で辞めていただく」と告げられた。普段は温厚なN先生が、あまりの理不尽さに怒鳴ったという。N先生が自分の研究室で自殺を遂げたのは、その夜だ。  その日の夕方、夫人は「今日は大学の近くに泊まる」とN先生からの電話を受けていた。翌週になっても帰って来ず連絡もないために、夫人が大学に連絡したのが6月16日。午前9時過ぎ、N先生は変わり果てた姿で発見された。  N先生の研究室のドアには、面談予約していた学生向けに「キャリアサポートセンターで相談に乗ります」とのみ記された紙が貼られた。  学内広報に訃報は載らず、箝口令が敷かれ、N先生の死は隠蔽された。それから2年がたった今、N先生の存在そのものが無き者のようにされている。 口をつぐむ、不自然な大学の対応  N先生と直接話をしていた当時の学部長から事情を聞くべく、筆者が東京工科大学に連絡をしたのは、今年7月14日の午後1時半頃だった。こちらが名乗ると受付スタッフは電話をつないでくれようとしたが、再び受付スタッフが電話口に出た。用件を尋ねられ、N先生の自殺の件であることを伝える。しばらくして受付スタッフが出て、「ただいま、席を外しております」と言った。1時間後に再び電話をすると、「本日は出張に出ていて、帰りません」とのことであった。  週明けの7月18日に電話をすると、席を外しているとのこと。それなら学長と話したいと申し出ると、会議中と説明された。その日のうちに再び電話をすると、総務部のスタッフが出て、「(当時の学部長は)話をしたくないといっている」と言った。社会的説明責任のある問題であり、話したくないで済む話ではないと告げると、学長宛に文書を提出してほしいとのことであった。 ・N先生の死に関して大学としてどのように総括しているのか? ・N先生の死を隠蔽しているのはなぜなのか?   取材によって把握した事実を記した上で、大学の見解を問う文書を7月21日に送付した。これに対し、8月9日付で東京工科大学の事務局長の名で送られてきた回答には、以下のように書かれていた。  「本学でも●●特任講師の事故は把握しています。貴殿からの平成29年7月21日付書面の内容は、本学が把握している事実と大きく異なっていますが、●●特任講師のご遺族のプライバシーにもかかわることですのでお答えできません」(氏名への伏せ字は、筆者による)  この前後の文章は、夏期休暇などに関する事務的な内容だ。全文を通じて、N先生への哀悼の意を表す言葉はひとつもない。起こった事態の印象を和らげるためか「事故」という言葉が使われている。遺書が残されていたこと、警察による検証から、N先生の身に起きたことは、事故ではなく自殺であることは明らかだ。国語的にも「自殺」は「事故」ではない。まして、社会的に使われる場合には、明確に区別される。結果として、大学の回答は、事実の根幹をなす部分において虚偽が書かれているといえる。  ビルからの転落死や、溺死、薬物死、縊死などの場合、自殺なのか事故なのか、あるいは事件なのかが問われ、徹底した調査が行われる。もし、N先生に起きたことが、本当に自殺ではなく事故だと大学が考えているのなら、調査の結果を公表すべきだ。  また、筆者がN先生に関して質したのは、職務上のことであってプライバシーに属することではない。筆者が把握した事実は、複数の関係者から確かめたものだ。プライバシーは、回答できない理由にはならない。事実に対して反論ができないというのが真相だろう。  経緯を振り返ってみるならば、雇用に関する説明が二転三転することからくる不安が、N先生を自殺に追い込んだ可能性は大きい。取材によって、パワハラが行われていた疑いも浮上している。東京工科大学が真理を追究する学問の府であるならば、N先生の自殺を隠蔽することをやめ、事実関係を明らかにすべきだ。 (文=深笛義也/ライター)

酪農学園大学長訴訟 「解任撤回」で和解 札幌地裁

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■道新(2017/10/27) ■「地位確認等請求事件」和解に関する声明
 理事会の違法な手続きによって学長を解任されたとして、酪農学園大前学長の干場信司氏(68)が、同大を運営する学校法人酪農学園(江別市)を相手取り、解任無効などを求めた訴訟は26日、札幌地裁(湯川浩昭裁判長)で和解が成立した。学園側は2015年7月14日付で行った解任の決定を撤回するとともに干場氏に解決金1600万円を支払い、干場氏は同日付で学長職を退任したとすることで合意した。  原告側が和解成立後に会見して明らかにした。原告側代理人によると、学長解任の撤回は全国でも珍しいという。  訴状などによると、干場前学長は13年4月に教職員による選挙で、任期4年の学長に選出された。学園理事会は15年3月、教職員による学長選挙を廃止するとともに、理事会が学長を解任できる規定を新設。同7月に理事会は「学長としての業務執行能力に疑問がある」などを理由に干場氏を解任した。干場氏側は「違法な手続きだ」として無効を訴えていた。  干場氏解任後、学長には竹花一成氏が就任し、入学や卒業の認定などは竹花学長名で行われている。干場氏解任を撤回しても大学運営に混乱が生じないよう、同じ日付での退任にしたという。干場氏は会見で「解任が不当だったことが明確になった。学園には解任の決定に関わった理事会メンバーの責任を示してほしい」と述べた。酪農学園は「理事長が不在で、和解内容を把握していないのでコメントできない」としている。
「地位確認等請求事件」和解に関する声明
2017年10月26日
原告 干場信司 「酪農学園の建学の精神と教育を守る会」代表 井上昌保
 本日(2017 年 10 月 26 日)、札幌地方裁判所(民事3部、湯川浩昭裁判長)に おいて、原告干場信司(酪農学園大学前学長)が、被告学校法人酪農学園(以下、学 園)が 2015 年 7 月 14 日に行った学長解任を不服として提訴した「地位確認等請求事件」(事件番号:平成 28 年(ワ)第 44 号)について、被告が学長解任を撤回 し、解決金を支払うことを骨子とする内容で、和解が成立しました。  この和解は、原告が本裁判で第一に明らかにしたいと願っていた「学長解任の不当 性」を被告学園自身が認めたことを意味しており、これまでに例のない画期的なもの であります。  被告学園が自らの重大な過ちを認めたからには、原告の人権ならびに名誉を甚だし く傷つけたこと、および、大学を混乱させたこと(下記「事件の概要」および別紙「「地 位確認等請求事件」に関する経緯」参照)に対して、原告の解任を決定した当時の理事 会メンバーは、責任を明確にしなくてはなりません。  そのことを通して、学園および酪農学園大学が、専制的な運営を止め、真に建学の 精神に基づいた教育に邁進することを望むものであります。  私ども「酪農学園の建学の精神と教育を守る会」は、今回の勝訴にも等しい和解の 成立に当たって、原告が強く願っていた学校法人酪農学園と酪農学園大学、とわの森 三愛高等学校の教育と学園運営の正常化のため、これからも全力をあげて努力する決 意です。 「事件の概要」  前理事長らは、2014 年度後半に、寄附行為等の改訂により、建学の精神を軽視し、 自分達の権限強化と専制的な運営を可能とする体制作りを強引に進めようとしてい ました。それに対し、干場前学長(原告)や教授会メンバーは、二回にわたり構成員 の8割以上の署名によって反対の意を表わしていました。前理事長らは、この反対署 名を完全に無視しただけではなく、意に従わない前学長をこじつけの理由で解任した のでした。 以上

名古屋芸大、組合活動の2教授を懲戒解雇 「運営妨害」

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朝日新聞(2017年10月28日)
 名古屋芸術大学(愛知県北名古屋市)を運営する学校法人名古屋自由学院が、教職員組合の委員長と副委員長の教授2人に今月25日付で懲戒解雇を通知したことがわかった。法人は9月、2人に自宅待機命令を出し、組合が撤回を求めていた。  組合関係者によると、懲戒解雇通知書は25日、内容証明郵便で2人の家に届いた。通知書は「正当な事由なく大学の運営を妨害する行動を繰り返した」「教職員用メールボックスを目的外使用して『組合ニュース』を投入、就業時間内に組合活動をした」ことなどを挙げ、「就業規則の懲戒事由に該当する」と結論づけていた。  組合は9月7日、「(法人の)理事会が評議会を廃止し、教授会規程を改正した」などとして、大学へ指導するよう文部科学省に陳情。同22日、法人は「職員の行為が懲戒に該当する」などとして組合正副委員長の教授2人に対し、40日の自宅待機を命じた。組合が理由を問い合わせたものの回答はなく、組合は「明確な理由がなく不当だ」と法人に撤回を求め、愛知県労働委員会に不当労働行為救済を申し立てていた。  弁護団の小島高志弁護士は「組合活動を理由とした不利益取り扱いにあたり、労働組合法に抵触する」として、提訴も含め法的手続きを取る方針だ。  法人の堀江龍昭理事は「懲戒解雇は事実。内部規則で機関決定したことなので詳細は答えられない」と話している。
名古屋芸大、組合幹部の2教授解雇 「不当」申し立て直後毎日新聞(2017年10月28日)  名古屋芸術大学(愛知県北名古屋市)を運営する学校法人「名古屋自由学院」が教職員組合委員長、副委員長の教授2人に対し、「大学の運営を妨害した」などとして懲戒解雇を通知したことが分かった。組合側は「決定は不当」と反発し、訴訟も視野に法的手続きを進める方針という。  通知は25日付。法人側は「大学の運営を妨害する行動を繰り返した」「担当科目の選定で合理的理由がなく拒否行動を行った」「教職員用メールボックスを目的外使用して『組合ニュース』を投入、就業時間内に組合活動をした」と指摘し、「就業規則の懲戒事由に該当する」とした。  組合代理人の小島高志弁護士によると、法人の理事会が2014年10月、全職員に給与削減を提示。組合は団体交渉を求めたが、理事会が応じず、給与削減に踏み切ったという。17年度の授業カリキュラムを作成する際には、教授2人が専門外の授業を割り当てられたとして抗議した。  また、法人は今年4月、教職員用メールボックスを利用した「組合ニュース」の配布禁止を通達。7月に「組合ニュース」が配布されると、法人は9月22日、教授2人に40日間の自宅待機を命じたという。  組合は説明を求めたが、「個別の事案には回答できない」と拒否され、県労働委員会に不当労働行為救済を申し立てた直後に解雇が通知されたという。小島弁護士は「決定は不当で、容認できない。教職員を敵視した運営は学生にも不利益を与える」としている。  一方、法人の関係者は「教授2人は数年前から周囲へのパワハラ発言が報告されている。自宅待機で釈明書の作成を命じたが、『覚えていない』と拒否された」と説明している。【横田伸治】

梅光学院大学有志、労働条件の不当な不利益変更等に関する訴え

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労働条件の不当な不利益変更等に関する訴え
2017年11月2日
報道機関及び関係各位
梅光学院大学 教員有志 幹事 渡辺玄英
労働条件の不当な不利益変更等に関する訴え
  梅光学院大学は、2016年4月から教員の労働条件の不利益変更を実施しました。 それに対して、その変更は一方的かつ不当なものであると、教員10名が下関地裁に提訴しました。この件についてご説明をさせていただきたく、ここに記者会見のご案内を申し上げます。 一、概要   一方的かつ不当なかたちで次の労働条件が変更された。 ・本俸の大幅な切下げ ・手当(通勤、住宅、扶養など)の切下げや廃止 ・退職金の大幅な切下げ 二 問題点 ・労働条件の不利益変更は、労働者と経営者との十分な合意形成が前提とされているが、本件における合意形成ははなはだ不十分かつ妥当性を欠くもの、と原告側は認識している。 ・経営側は経営の悪化を理由としたが、その主張を根拠とする程度の緊急性はなかった、と原告側は認識している。 ・不利益変更の必要性や時期や切下げ幅などの内容に関して、経営側は十分に誠意をもって協議を行わなかった、と原告側は認識している。 ・不利益変更は2016年4月から一方的に実施されたが、その内容範囲がバランスを欠いている ・賃金手当等の切下げを実施するにあたっての優先順位に多くの疑問がある。 ・経営側執行部は同時期に、執行部の常任理事の報酬アップを画策していた。 ・労働条件の関わる就業規則変更の手続きに疑義がある。 三、日時場所  下関市役所の記者クラブ(を希望します)  2017年11月7日 11時30分~ 四、出席予定  原告団から二名。弁護士二名。支援団体一名。 連絡先・・・渡辺玄英 {電話 090-9585-9979}
以 上

梅光学院大の給与・退職給与訴訟 大学側は争う姿勢 地裁下関

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毎日新聞(2017年11月8日)
 下関市の梅光学院大の教授や准教授ら10人が同大を相手取り、給与と退職給与規定の変更の無効などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が7日、山口地裁下関支部(泉薫裁判長)で開かれた。大学側は「棄却を求める」として、全面的に争う姿勢を示した。  訴状などによると、同大は昨年4月1日、教員給与と教職員退職給与規定を変更し、これにより教授らの給与や扶養手当などが大幅に減少し、大きな不利益が生じたとしている。原告によると、手当を含めた給与は月4万~7万円程度減額となり、原告の1人は大学側から規定変更後の退職金は約700万円減額となる説明を受けたという。原告側は、(規定変更による)不利益の程度が著しい▽労働条件変更の必要性が乏しい▽変更後の内容に相当性がない--などと主張している。  裁判後、記者会見した原告の渡辺玄英准教授は「今の梅光学院大は、大学の中で自由に物が言えず、多様性が排除されている。優秀な教員が次々と辞めていき、学生たちが不利益をこうむっている。(同学院の)中学高校でも同様のことが起こり、教師が大量に辞めている。こうした現状を訴えるために提訴を決意した」と経営陣を批判した。  同大は訴訟について「急速に進む少子化により、私立大学の経営を取り巻く環境は、年々厳しさを増している。賃金体系の見直しは経営改革の一環として、安定した経営基盤を確保することを目的に行ったもので、法令に則(のっと)って、慎重に進めてきた。訴訟が提起されたことは遺憾」などとするコメントを発表した。【上村里花】
[新聞記事] 山口新聞 朝日新聞 長周新聞 読売新聞

サイト紹介、名古屋芸術大学解雇事件

大学オンブズマン声明、学校法人四国大学は徳島地裁の判決に従うとともに、女性准教授に謝罪せよ

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■大学オンブズマン  ∟●学校法人四国大学は徳島地裁の判決に従うとともに、女性准教授に謝罪せよ(2017年12月20日)
学校法人四国大学は徳島地裁の判決に従うとともに、女性准教授に謝罪せよ
2017年12月20日 大学オンブズマン
 報道によれば、学校法人四国大学(徳島市、佐藤一郎理事長)に対して、うつ病を発症したのは長時間労働(使用者の安全配慮義務違反)が原因であるとして損害賠償を求めた女性准教授の訴えが認められ、休職中の賃金や慰謝料など1395万円の支払いが命じられた。  判決文では、以下のような趣旨のことが述べられている。 1.安全配慮義務違反の有無について  被告(学校法人四国大学)が、原告(女性准教授)の業務の遂行により、過度の疲労や心理的負荷を蓄積し、心身の健康を損なう状況にあることを具体的に予見することができるものと認められる。しかるに、被告は、原告の業務量等を適切に調整するための措置を何ら講じず、また被告において適切な措置を講じなかったのであるから、被告には原告に対する安全配慮義務違反があると認められる。 2.本件疾病の悪化について  被告代表者は、2012年年3月15日、面談において、原告に対し、現状では原告が准教授としての職務を遂行できないことから、一定期間休職し治療に専念するため、休職願を提出するか、准教授としての職務が全うできるという診断書が提出されなければ、退職してもらうという判断をせざるをえない旨告げた。  当時、原告は、本件疾病に罹患して治療中であったのであり、かかる原告に対し、休職か退職かの選択を求める上記発言は原告に対し、強い精神的負荷を与えるものであったといえる。  被告代表者において、本件疾病が原告の長時間労働等の被告における業務に起因するものである蓋然性は予測可能であったと言わざるをえないことも考慮すれば、被告代表者の上記行為は、原告に対する安全配慮義務に反する行為があったと認められる。 3.安全配慮義務違反と本件疾病との因果関係  2009年度における過重な業務量に起因する原告の早朝から深夜までに及ぶ常態化した長時間労働は、原告に相当程度の疲労の蓄積を生じさせるものであったといえる。また、原告がほぼ1人で担当していた本件実習のカリキュラムは、四国大学で初めての看護学実習であり、当該カリキュラムが成功しなければ、下級生の実習に影響が出るものであり、その重要性から、その準備には相当程度の精神的負荷を伴うものであり、また、原告は様々な委員会に所属し、委員として活動を行っていた他、一定の責任を伴う看護学科の副主任としての業務にも従事していたのであり、原告の業務は質的にも過重であったというべきである。  以上のように、原告の業務は、量的にも質的に、過重なものであり、原告の心身の健康を損なうおそれが十分になったものといえるところ、原告の心身の健康を損なわないようにするための措置がとられない中で、原告は本件疾病を発症したものであるから、本件疾病は、原告の業務に対する被告の安全配慮義務違反により生じたものと認めるのが相当である。  当オンブズマンは学校法人の対応は極めて悪質であると考え、学校法人四国大学のありようを早急に是正することを求めて、①当該准教授の職場復帰に向けて、法令にのっとり適切に使用者責任を果たすことと、②当該准教授が起こした裁判をいたずらに長引かせず、訴えの内容を受け入れた和解を含め誠実に対応することを要望した(別項、2016年6月20日付の「声明」を参照)。  このようなことからわれわれは、徳島地裁の判決を歓迎するとともに、学校法人が判決に従うことと、当該の女性准教授に謝罪することを強く求める。  残念ながら学校法人四国大学は、判決を不服として控訴した。女性准教授ならびにご家族は当局の不誠実な対応によって、心身を大きく傷つけられている。われわれは、改めて学校法人の倫理的な対応、社会的な責任が改めて問われていることを厳しく指摘する。今後も当オンブズマンは学校法人四国大学に対する社会的な監視を強めていく所存である。 以上 【資料】 学校法人四国大学における重大な法令違反・人権侵害の是正を求める声明 2016年6月20日 大学オンブズマン  報道によれば、学校法人四国大学(徳島市、佐藤一郎理事長)が設置する四国大学は、徳島労働基準監督署によって労働安全衛生法の疑いで徳島地方検察庁に書類送検された。内容は、労災認定された、同大学に勤務する准教授に関する労働者死傷病報告書の提出を怠っていたというものである。  当該准教授は2013年6月に徳島労働基準監督署から、うつ病を発症したのは長時間労働(直前の1か月の時間外労働は160時間を超える)による強いストレスが原因として労災認定されている。自らの責任によって被雇用者にうつ病を発症させながら、適切な対応を取っていなかったことは重大な法令違反であり、きわめて深刻な人権侵害である。  『徳島新聞』2016年5月27日によれば、大学は「指摘を受けるまで義務づけられていることを知らなかった。労災保険の申請手続きには対応しており、労災を隠す意図はなかった」述べているとのことであるが、大学を含め組織の社会的責任が強調されるもとで、信じがたい対応である。  労災認定後の四国大学の対応を見ていれば、この言をそのまま受け取ることはできない。学校法人四国大学は、健康状態が回復した当該准教授の復職の求めに対して、あれやこれやの理由をつけて拒否するという人権侵害を行っている。また、労働基準監督署の指導にしたがって、ハラスメントを生じさせない職場環境づくりに取り組むことも進んでいない。さらには、当該准教授が労災認定され給付を受けていることを知りながら社会保険(私学共済)の資格喪失手続きを行うという非人道的なことを行った。  大学は「学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする」(学校教育法、第83条)場である。同じく大学は「その目的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする」(同、第83条の2)とされている。ブラック企業が社会的な問題となっているもとで、大学はよりいっそう社会の範となることが要請される。  学校法人四国大学のありようは早急に是正される必要がある。当オンブズマンは、学校法人四国大学に以下の2点の対応を早急に行うことを強く求める。 ① 当該准教授の職場復帰に向けて、法令にのっとり適切に使用者責任を果たすこと。 ② 当該准教授が起こした裁判をいたずらに長引かせず、訴えの内容を受け入れた和解を含め誠実に対応すること。 以上

雇い止めは無効、梅光学院大 地裁支部

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■朝日新聞(2018年1月6日)
 学校法人梅光学院(下関市向洋町1丁目)による雇い止めは無効だとして,梅光学院大学の矢本浩司特任准教授(45)が地域保全などを求めた2度目の仮処分申し立てについて,山口地裁下関支部(池内継史裁判官)は雇い止めの無効を認める仮処分決定を出した。決定は昨年12月27日付。  決定などによると,矢本さんは2015年4月に同大文学部の特任准教授として採用され,16年3月末までで雇い止めとされた。矢本さんは地位保全と賃金の仮払いを求めて仮処分を申し立て,地裁下関支部は9月,矢本さんの地位と同年6月以降の賃金の仮払いを認める決定を出した。だが仮払いされないため,17年1月に地位確認などを求める訴訟を起こし,再び仮処分も申し立てた。  今回の決定は改めて矢本さんの地位を認めた,賃金の仮払いについては今年1月以降の分のみ認めた。  矢本さんは取材に対し,「地位保全の主張が通り喜んでいる。訴訟では本人尋問が控えており,さらに自分の主張をしていきたい」と述べた。梅光学院は「係争中につきコメントは控えるが,今回の決定についてはこちらの主張もある程度認められたと考えている」とコメントした。(山田菜の花)

札幌医大の5年雇い止め規則、組合が救済申し立て

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朝日新聞(2018年1月6日)
 「北海道自治体ユニオン」(札幌市)は5日、札幌医科大が非常勤職員の雇い止めに関する団体交渉に応じないのは不当労働行為にあたるとして、道労働委員会に救済を申し立てたと発表した。組合は同大が雇用上限を5年とする就業規則を撤廃し、雇い止めをしないよう求めている。  2013年4月に施行された改正労働契約法では、パート従業員や派遣社員といった有期雇用の労働者が同じ職場で5年を超えて働いた場合、本人が申し込めば無期雇用に転換できると定めている。施行から5年後の今年4月から無期転換の権利が生じる。  組合によると、昨年8月、同大の非常勤職員3人が雇い止めのおそれがあるとして相談に訪れ、同9月から団体交渉を開始。組合側は雇用期間の上限を撤廃し無期雇用への転換を求めたが、同大は同12月の役員会で上限を5年とすることを決め、今後交渉に応じない姿勢を示したという。  今年3月には非常勤職員7人が在職5年を迎え、今後さらに258人が雇い止めにあう可能性があるといい、東原勉執行委員長は「無期転換から逃れるための雇い止めはあってはならない」と指摘している。

注目される地裁下関支部の判断 雇い止め問題めぐり梅光学院学長、前学院長ら証人尋問

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長周新聞(2018年1月18日)
注目される地裁下関支部の判断 雇い止め問題めぐり梅光学院学長、前学院長ら証人尋問 学生や同窓生らが傍聴につめかける
 梅光学院大学(下関市)の矢本浩司特任准教授が、平成27年度末での雇い止めの無効と地位の確認を求めた裁判をめぐって16日、証人尋問がおこなわれた。矢本浩司氏と、学院側から樋口紀子学院長・学長、中野新治前学院長の3人が証人として出廷した。山口地方裁判所下関支部には梅光学院の同窓生や教職員、学生などが傍聴に詰めかけた。38の傍聴席に対し、傍聴希望者は50人をこえ、多くの関係者がこの裁判の成り行きを見守っていることを示した。梅光学院側からも只木統轄本部長など3人が傍聴していた。  裁判では、矢本氏を採用したさいの無期雇用への転換を期待させる発言の有無や、「1年更新の最長3年」とした契約書をめぐる理解なり認識、就任後の業績についてなど、さまざまな面から雇い止めの是非が争われている。ここ最近、学院側は「財政難」を強調するようにもなっている。  証人尋問では改めて、矢本氏の雇い止めに至るまでの経緯が双方の証言から浮き彫りになった。同窓生や教職員が現経営陣の方針に疑問を抱き、運動を開始するきっかけとなった教員の大量解雇(自主退職、希望退職)による「経営改革」と大きくかかわっていたこと、初志を覆し矢本氏を雇い止めするに至った中野前学院長の態度も傍聴席の人人のなかで関心を呼んでいた。  矢本氏は大阪の八洲学園高校の前職を辞して2015年4月に梅光学院に赴任した。在職中、学生からの授業評価が高かったことなどは周知の事実だ。  しかし同年7月頃、本間政雄理事長、樋口学長、只木統轄本部長など執行部に弁護士や社労士をまじえ、人件費削減による収支の黒字化を進める話しあいが持たれた。この会議への参加を要請された矢本氏は、その場で中野学院長(当時)が最後まで首を縦に振らず、首切りをしない財政黒字化を主張していたことに共感し、「気骨のある人だと思い、協力したいと思った」とのべた。  その後、中野氏の求めに応じて「首切りをしない財政黒字化」の方向を検討し、前職の学校での経験から、梅光に通信制課程を導入することなどを提案、その場合の試算をおこなうなどしていた。その過程では中野氏から理事1人の紹介も受け、副学長をまじえた4人で何度か話しあいを持っていたという。矢本氏は、執行部方針に逆行する行動のため、何度も中野学院長(当時)に「雇い止めになることはないか」と質問したが、当時人事権を持っていた中野学院長は「雇い止めすることはない」との趣旨の発言をおこなっていたとのべた。話しあいを重ねた結果、9月の理事会で中野氏が執行部の改変をおこなう「学院長声明」を読み上げることが決まったが、当日中野氏は声明を読み上げず、後日矢本氏のもとに謝罪に訪れた。矢本氏は、その後中野学院長から「しばらく待ってくれ」との連絡があり、待機していたところ、2月24日に突然、雇い止めの通告がおこなわれたと証言した。  この点について中野氏は、希望退職を募る以外の方法について矢本氏に相談していたことを認めたうえで、「もし本当にやったら相当な混乱が起こる」と考えて学院長声明を読み上げなかったこと、その後、学院長声明を破棄するよう矢本氏に伝えたにもかかわらず、矢本氏が活動を続けたと主張した。  中野氏の証言については、否定した内容について録音テープが提出されるなど、事実と証言の食い違いも見られた。  樋口氏の証言は、梅光学院の経営がいかに厳しいかを強調する内容で、学院が人件費を抑えるために任期制を導入しており、雇い止めになった教員が多数いることをあげて矢本氏が特別でないことを強調した。ただ、具体的な経営状況を質問されると答えられないことが多く、最近、梅光が起こした借入についても言葉を濁す状況だった。  教員が多数雇い止めになる一方で、「只木先生の働きが著しい」という理由から、只木氏については任期なしの雇用に転換したことも明らかになり、傍聴していた同窓生らは驚いていた。  最終的な判断は裁判所が下すことになる。矢本氏の裁判は終盤を迎えているが、今後教員ら10人が起こした集団訴訟も始まっていく予定で、集まった人人は「まだこれからだ」と思いを新たにしていた。

福岡教育大、学長選巡り不当労働行為 組合活動を妨害 東京地裁判決

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毎日新聞(2018年1月16日)
 福岡教育大(福岡県宗像市)が投票結果を覆す学長選びをしたため労働組合が批判するビラを配ったところ、当時の学長が組合活動を妨害する発言をしたとして、東京地裁(佐々木宗啓裁判長)が学長発言を労働組合法が禁じる不当労働行為と認定した。ビラを配るなどした教授2人への人事上不利益な取り扱いも不当労働行為と認めた。中央労働委員会による救済命令を取り消すよう求めた大学側の請求は棄却した。  判決は昨年12月13日付。佐々木裁判長は、学長発言について「労働関係上の制裁を示唆して組合活動を弱体化させる恐れを生じさせた。言論の自由を踏まえても配慮を欠き、労使の秩序を乱した」と批判。人事上の取り扱いについても「大学自治を侵害しかねない不相当な手続きを強行した」などと指摘した。  判決によると、学長選は2013年11月に実施され、当時の現職学長が88票、組合が推す候補が123票を獲得。しかし選考会議で当時の学長が選ばれたため組合は同年12月、「大学自治や民主主義に照らして問題だ」とするビラを配った。これに対し学長は「本学への信用失墜行為だ」と非難する文章を大学ホームページに掲載したうえで、配布した教授の研究科長への任命を拒否するなどした。  労働組合の救済申し立てを受けた福岡県労働委員会は16年、学長発言などを不当労働行為と認め、再発防止を誓う文章の学内向けホームページ掲載などを求める救済命令を出した。中央労働委員会も17年に同大の再審査申し立てを棄却したため、同大が命令取り消しを求め東京地裁に提訴していた。福岡教育大は「判決は不服で控訴した。それ以上はコメントできない」としている。【平川昌範】

「明治学院大学事件」の裁判もいよいよ大詰め、証人尋問が行われます

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寄川条路です。「明治学院大学事件」の裁判も、いよいよ大詰め。証人尋問が行われますので、お知らせいたします。 ■概要:大学当局が教授の授業を無断で録音し、授業での発言内容や教科書が大学の権威やキリスト教を批判しているとの理由で、教授を解雇した事件。 ■日時:2018年1月25日(木)10時~16時 ■場所:東京地方裁判所709号法廷 ■証人:被告側3名、原告側1名  ①嶋田彩司教授(調査委員長)  ②山下篤 職員(教務課長)  ③黒川貞生教授(教養教育センター長)  ④寄川条路  (原告) ■詳細:2016年12月28日、大学の違法行為を告発したために解雇された教授が、地位確認と慰謝料を求めて東京地方裁判所に提訴していた(明治学院大学「授業盗聴」事件、通称「明治学院大学事件」)。訴えによると、明治学院大学は、授業を盗聴され秘密録音されたことを告発した、教養教育センターの教授を懲戒解雇していた。大学の組織的な不法行為を告発して解雇されたのは、倫理学を担当する教授で、同大学の「教職員」が授業を盗聴して秘密録音し、授業の録音テープを本人に無断で使用していた。副学長によれば、明治学院大学では、授業の盗聴が「慣例」として行われており、今回の秘密録音も大学組織を守るために行ったとのこと。告発した教授とは別の教員も、授業を盗聴され解雇されていた。また、同大学では、大学の権威やキリスト教主義を批判しないように、授業で使う教科書を検閲したり、学生の答案用紙を抜き取って検閲したり、教材を事前に検閲して配付を禁止したりしていた。本件については、2016年10月、解雇された教授が東京地方裁判所に労働審判の申立を行い、同年12月、裁判所は解雇を無効として、同教授を復職させるよう明治学院大学を説得したが、大学が拒否したため訴訟に移行していた。授業を秘密録音して教員を解雇した「目黒高校事件」と同様、表現の自由、学問の自由、教育の自由が、本裁判で争われている。 ■添付資料:小林節「学問の自由と信教の自由を弁えない大学」(『月刊ベルダ』2017年10月号) ■参考資料:寄川条路「盗聴される大学の授業」(http://university.main.jp/blog8/archives/cat120/) 以上です。よろしくお願い申し上げます。 ■問い合わせ先:寄川条路(yorikawa@gmail.com)

学問の自由と信教の自由を弁(わきま)えない大学

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■VERDAD, Oct. 2017
学問の自由と信教の自由を弁(わきま)えない大学
慶應義塾大学名誉教授 弁護士 小林 節
 明治学院大学の寄川魚路教授(倫理学担当)が懲戒解雇された。理由は、同教授が、大学の教育方針と大学の設立母体であるキリスト教派の教義に批判的だからだそうである。その決定のために、大学は、同教授の教科書の内容を確認し、さらに、同教授の年度初回のオリエンテイション講義を無断で録音してその内容を確認したとのことである。  私ほ、かつて日本とアメリカの大学で学んで憲法学者になり、その後、日本とアメリカ等の大学で教授として働いた大学人として、この話に接した時、その信じ難い内容を、俄には理解できなかった。  人間は、文明を持つ特異な存在として、この地球上に君臨して来た。この世にほ、天変地異から人間関係や病気に至るまで、あらゆる出来事に因果関係がある。そして、人々を幸福にする因果関係を発見・増進し、逆に人々を不幸にする因果関係を発見・減殺しようと努力して来たのが、人類文明の歴史である。  この、あらゆる事象の因果関係を追究する自由を「学問の自由」と言い、これは全ての人間に保障された人権である。しかし、高度の文明を生きる近代以降の人類は、職業としての学問に人生を懸けた人々が権力による弾圧と誘惑を逃れて学問の自由を享受する場としての「大学の自治」を確立した。  だから、大学において、教授は、担当科目として大学と契約した科目に関する限り、その研究・教育の対象・方法・発表に関する自由を憲法23条により保障されており、教授の自由は、法に触れない限り、歴史の中で学問的評価以外により裁かれることはない。  だから、大学当局が、教授の教科書を「検閲」したのも論外であるが、きちに、教室に録音するという遵法行為まで犯して、それが「大学の方針に反する」など評価して、その地位を奪うことは論外である。  教授という地位で採用された学者には、大学の方針に合わせて学鋭を曲げて講義をする義務などない。寄川博士の学鋭に反対な者には、それを批判する学問表現の自由が許されているだけで、そういう討論を経て発展して行くのが学問である。  さらに、宗教団体が設立したいわゆるミッション系大学における学問の自由についても、この際、論及しておきたい。  まず、ある教団がその博愛主義と経済力の故に大学を設立した例は多い。そこでは、教団の人々が国家に対して大学設立の認可を申請し、その認可が下りた瞬間に、教団とは別人格の大学(学校法人)が生まれたのである。つまり、それは大学であり宗教団体ではないということである。  大学において「宗教」が語られる場合、それは哲学、歴史学、民族学、社会学等の科学の対象として語られるもので、信仰・布教の一環として語られてはいけないのである。そこでは、学者としての教授が、様々な宗教・宗派を科学の対象として批判的に論評する学問の自由が保障されている。  だから、宗派内の日曜学校の説教師ではあるまいし、大学の一教授が学説として特定の宗派の教義に批判的であるからといってその地位を奪うなどという発想自体が大学人として論外である。これも、学説には学説批判で対応するのが大学人としてのマナーである。  まるで、単なる人間的な好き嫌いに起因するパワハラを見ているようで、情け無い。
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