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奈良学園大学、学部再編失敗で教員一斉強制解雇…学部新設で虚偽申請も

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Business Journal(2018.06.11)
奈良学園大学、学部再編失敗で教員一斉強制解雇…学部新設で虚偽申請も
文=田中圭太郎/ジャーナリスト
 大学に入学する年齢である18歳の人口が、今年から減少する「2018年問題」。私立大学の約4割がすでに定員割れの状態にあり、これから本格的な淘汰の時代がやってくる。大学が再編や統合を迫られた時、大学で働く教職員はどうなるのか――。  この点で注目されているのが、奈良学園大学をめぐる裁判だ。この大学では約40人の教員がリストラにあい、最終的に解雇された8人が大学を運営する法人を訴えている。筆者は奈良学園大学を訪れ、解雇された元教員を取材した。 教員約40人をリストラ 「私たちは、大学による学部の再編失敗のしわ寄せによって解雇されました。こんな解雇が許されたら、大学改革や再編の名の下で理不尽な解雇が可能になります。絶対に許すわけにはいきません」  こう憤るのは、2017年3月末に奈良学園大学を解雇された川本正知さん(64)。京都大学大学院文学研究科博士後期課程を単位取得退学し、複数の大学・短大で非常勤講師を勤めたあと、1989年に奈良学園大学の前身、奈良産業大学に講師として勤務。1999年からは教授の立場にあった。  実は、同じ時期に職を失った教員は川本さんだけではない。13年11月、約40人の教員が17年3月までに転退職するよう迫られた。多くの教員は他大学に移るなどして若干の優遇措置とひきかえに大学を去ったが、その他の教員は雇い止めされたほか、教職員組合を結成して最後まで交渉を試みた川本さんら8人が解雇された。  8人は大学を運営する学校法人奈良学園を相手取り、地位の確認などを求めて17年4月に奈良地方裁判所に提訴。16年11月には、奈良県労働委員会に不当労働行為の救済の申し立てもしている。しかし、両者の主張は対立したままで、いまだ解決の糸口を見いだせていない。  明確なのは、川本さんをはじめ、リストラされた約40人に非がないことだ。リストラの直接的な原因は、学部の再編の失敗にあった。 学部再編を申請するも文部科学省から「警告」  奈良学園大学は1984年、奈良県生駒郡三郷町に奈良産業大学として開学。硬式野球部は過去に多くのプロ野球選手を輩出している強豪チームで、今年6月に開催される全日本大学野球選手権大会にも出場する。筆者が訪れた日は3月の春休み中だったが、練習があるのか、ユニフォーム姿の部員がキャンパス内を歩いていた。  名称が奈良学園大学になったのは14年4月。名称が変わる直前はビジネス学部と情報学部を有していたが、法人は名称変更に合わせてこの2つの学部を「現代社会学部」に改編することと、「人間教育学部」と「保健医療学部」の新設を13年に文部科学省に申請した。  しかし、新設する2学部は設置が認可されたが、「現代社会学部」は要件を満たしていないとして文部科学省から同年8月に「警告」を受けた。すると、法人は申請をやり直すのではなく、すぐさま申請を取り下げてしまった。 「現代社会学部」を申請する時点では、再編が成立しない時にはビジネス学部と情報学部に戻して募集を継続することを、教授会だけでなく、理事会も大学評議会も決議していた。申請を取り下げても、既存の2学部は存続するはずだった。  ところがこの年の11月、法人は突然、教員向けの説明会を開催。ビジネス学部と情報学部の廃止を告げるとともに、教員約40人に対し転退職を迫ったのだ。 法人側は「警備員なら雇う」  川本さんは、法人側の説明に唖然とした。2学部を廃止することも、自分たちがリストラされることも、まったく想像していなかったからだ。  法人側が説明した解雇の理由は「過員」。新設の2学部のために、すでに約40人の教員を新規に採用していたので、教員が多すぎるというのだ。しかし既存の2学部を廃止するのは法人側の一方的な決定であり、教員にとって「過員」という理由は納得できるものではなかった。さらに、この説明会で法人側が言い放った言葉に川本さんは驚いた。 「法人側は私たちに、警備員なら雇用継続が可能だと言いました。この発言には耳を疑いました。既存の学部を残すという決定があったにもかかわらずリストラをするのは、道義的にも許されることではありませんし、教育機関とは思えない行為です」  大学を運営する学校法人奈良学園は、幼稚園から大学まで10の学校を運営し、約200億円を超える流動資産を保有。ここ10年間で300億円以上の設備投資もしている。経営難を理由としない大量リストラは異例だ。  このリストラを止めようと、川本さんらは教職員組合を結成して、奈良県労働委員会にあっせんを申請。16年7月には、奈良県労働委員会から「互いの主張を真摯に受け止め、早期に問題解決が図られるよう努力する」ことと、「労使双方は組合員の雇用継続・転退職等の具体的な処遇について、誠実に協議する」とのあっせん案が示された。労使双方がこのあっせんに合意し、団体交渉を進めるはずだった。  ところが法人はこの合意に反して、8月には「事務職員への配置転換の募集のお知らせ」を一方的に配布。さらに11月には組合員に退職勧奨をすることを理事会で決定した。  組合は退職勧奨を受けてすぐに、奈良県労働委員会に不当労働行為の救済を申し立てた。すると法人は、翌17年2月に解雇予告通知書を出して、3月末に組合員全員の解雇を強行。翌月、川本さんら組合員が提訴して、裁判と労働委員会の審判は現在も続いている。 大学や学部新設で2度にわたる虚偽申請  学部の新設などをめぐる法人の不手際は、今回に限ったことではない。法人は06年に奈良文化女子短期大学を改組して「関西科学大学」を設立する申請をしたが、申請書類に虚偽の記載があったことが文部科学省から指摘され、取り下げざるを得なくなった。すでに亡くなっていた初代理事長を理事会の構成員として申請していたのだ。  申請を取り下げた時には、すでに200人以上の入学者の内定を出していて、大きな問題となった。内定者には1人あたり30万円の補償金を支払ったほか、文部科学省から処分を受けて、新たな学部の申請は3年間禁じられた。  さらに07年にビジネス学部の開設を申請した際にも、またも書類に虚偽記載があったほか、虚偽の教員名簿を提出したことが判明した。そして今回の「現代社会学部」では、設置計画に多くの欠陥が指摘された。  これだけ大学設立や学部の再編に失敗しても、法人や大学の幹部はなんの総括もしていないし、責任も取っていないと川本さんは指摘する。 「自分たちは失敗の責任を取らずに、教員にリストラを押し付けたのが今回の問題の構図です。こんなことが許されたら、大学の経営陣が赤字学部の教員を一方的に解雇することが可能になってしまいます」  川本さんら解雇された多くの教員は、収入がゼロになり、貯金を崩しながらなんとか生活している。なかには他の大学で非常勤講師をしている教員もいるが、収入は以前の半分にも満たない。それでも裁判は続けると川本さんは話す。 「私たちが泣き寝入りしたら悪しき前例になり、日本の私立大学全体に影響してしまうでしょう。大学教員の労働者としての権利が蹂躙されているのは明らかです。大学教育を守るためにも、諦めずに訴えていきます」  筆者の取材に対し、学校法人奈良学園は「係争中にあるのでお答えできません」と話すのみだった。裁判の結果は、これからの私立大学教員の雇用を左右する。 (文=田中圭太郎/ジャーナリスト)

日大・解雇された非常勤講師がついに大学を提訴へ

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現代ビジネス(2018.06.22)
日大・解雇された非常勤講師がついに大学を提訴へ
田中 圭太郎
アメフト部の危険タックル問題への対応で、ガバナンスの欠如が指摘されている日本大学。その日大で、今年3月末に数十人の非常勤講師を一方的に解雇した問題がくすぶっている。 合理的な理由も示さないまま解雇を強行したとして、首都圏大学非常勤講師組合は大学側に団交を要求。大学側はついにこれに応じ、6月21日の夜、同組合との団体交渉に応じた。 だが、この団交の場に、人事担当の常務理事は出席せず。さらに、復職を求めた講師らの声を聞くこともなく、解雇について納得のいく説明を行われないまま、交渉は決裂してしまったという。 結局、解雇された非常勤講師らは、22日午後に地位確認を求めて日本大学を提訴することに。両者の争いは泥沼の様相を呈してきた。 アメフト問題に揺れる日大だが、「非常勤講師の雇用問題」という火種にどう対応するのだろうか。 何も変わらなかった 「団体交渉に責任ある人物は出てきませんでした。大学側の説明はこれまでの交渉ともつじつまが合いません。誠実さを欠いているとしか言いようがありません」 6月21日午後9時過ぎ。団体交渉の会場から出てきた非常勤講師の男性が、呆れた顔で漏らした。 今年3月末、日本大学は危機管理学部とスポーツ科学部の英語の非常勤講師15人を解雇。非常勤講師らによれば、雇用当初は「最低でも4年間の雇用」を約束していたにもかかわらず、「教育課程の再構築を行う」という不明瞭な理由で、大学側は非常勤講師の解雇に踏み切ったという。 その後、解雇されたのはこの2つの学部の非常勤講師だけではなかったことが判明。複数の学部で、非常勤講師の雇い止めをしていたようだ。少なくとも複数の学部で、3月末時点で数十人が解雇されたとみられ、このままいけば、日大で働く3000人超の非常勤講師全員が解雇されるのではないか――そんな危機感が高まっていたという。 冒頭で嘆いた非常勤講師も、大学に突然の解雇を告げられた一人だ。それから3ヵ月。アメフト部の問題で世間の批判を浴びたこともあり、大学側も態度を改め、少しは耳を傾けてくれるだろう......と、今回の団交に少なからぬ期待を持っていたという。 特に焦点となっていたのが、大学側の人事の責任者である常務理事が団交の場に出て来るかどうか、だった。 今年3月時点での大学側の人事責任者は、アメフト部の前監督で、選手に危険なタックルを指示したかどうかが焦点となっている内田正人氏(肩書は人事担当常務理事兼人事部長)。過去、内田氏は非常勤講師組合との団体交渉には一度も出席したことはなく、結局責任者が何の説明もしないまま、大学は多くの非常勤講師を解雇したのだった。 その内田氏は、危険タックル問題の責任をとるような形で、5月30日付で常務理事を辞任。6月11日付で人事部長の職も解かれた。 これによって、大学側の対応の変化を期待していたというが、21日の団交でも、結局人事担当の常務理事は出席せず。非常勤講師への姿勢も、ほとんど何の変化もなかったという。その失意の大きさたるや、計り知れないものがあっただろう。 午後6時半から始まった団体交渉は2時間半に及んだ。非常勤講師側は、「なぜ突然解雇したのか」「そのようなことが許されるのか」といったことを問うたが、大学はほとんどすべてを「筋違いな主張」と一蹴。結局両者に歩み寄りは見られず、決裂してしまった。 もはや大学との交渉の余地はなくなった、と非常勤講師らは判断。解雇された非常勤講師6人と、担当している授業を減らされた2人が、本日6月22日午後、早期に復職させるよう地位確認を求める訴えを、東京地方裁判所に起こすことを決めたという。 理事長の説明を求める声 アメフト部の危険タックル問題も、非常勤講師の大量解雇問題も、大学側の説明が不十分であることに共通点が見られる。タックル問題について、内田氏も大学も世間の納得いく説明をほとんどしていない。同様に解雇問題でも、やはり十分な説明が尽くされぬまま「幕引き」を図ろうとしてるように見える。危険タックルを命じられた学生も、非常勤講師も「組織の中では使い捨ての駒のようなもの」と捉えているように見受けられる。 アメフト部の問題について、多くのメディアが日大のトップである田中英壽理事長自ら説明すべきだと求めたが、解雇問題でも、クビを切られた職員たちは、やはり日大のトップである田中理事長直々の説明が欲しいと求めているという。「クビきり」が経営上の理由から行われるのであれば、理事長の言葉を聞きたいという気持ちは当然だろう。 しかし、大学側からは、田中理事長の言葉はもちろん、他の理事からも納得のいく説明はなかったという。 これ以上何を話しても仕方がないと分かったうえで、組合側は少しでも今回の「クビきり」の背景にあるものをさぐろうと、団体交渉の最後にこう質問した。 「もしも理事長が別の人に変わったら、大学と組合の間で平行線になっている問題は、解決するのでしょうか」 大学側の答えはこうだった。 「仮定のことには答えられません」 非常勤講師の解雇をめぐる問題は、法廷の場に舞台を移すことになりそうだ。両者の歩み寄りが見られる日は来るのだろうか。

「日大の中枢部に寄生する人々」がターゲット、今度は「雇い止め」で非常勤講師8人が怒りの提訴

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弁護士ドットコムNews(2018年06月22日)
「日大の中枢部に寄生する人々」がターゲット、今度は「雇い止め」で非常勤講師8人が怒りの提訴
日本大学から不当に雇い止めをされたり講義のコマ数を減らされたりしたとして、日大で英語などを教えていた8人の非常勤講師が6月22日、日大を相手取り、東京地裁に雇い止めが無効であることの確認を求める訴えを起こした。あわせて、1人あたり20万円の慰謝料なども求めた。原告や原告を支援する首都圏大学非常勤講師組合が同日会見し、明らかにした。 ●原告「契約更新への合理的期待がある」 訴状などによると、日大は原告ら非常勤講師を採用するにあたって、新学部である危機管理学部とスポーツ科学部の設立を見据え、「平成28(2016)年4月からご担当願います」「平成32(2020)年3月までは継続してご担当いただきますよう、お願いいたします」と記したペーパーを渡していた(ペーパーの日付は、2014年11月25日付)。 ところが2018年3月をもって雇い止めにされたり、コマ数を減らされたりした。原告側は「4年間の雇用期間まで更新される旨の合意が存在しており、仮に合意の存在が認められなくても、4年間の契約更新への高い合理的期待がある」と主張している。会見で代理人の中川勝之弁護士は「4年間という合意は明確にあったと思う。鋭意、戦っていきたい」と話した。 また、日大が講義を外部の民間組織に委託したため、そのぶん講義のコマ数を減らされた非常勤講師もいる。それにより、多い人で月額20万円前後の賃下げになったという。原告側は、委託した講義で、日大の専任教員が出す指示のとおりに委託先の講師が動いているとして、「偽装請負となっている疑いが強い」とも指摘している。 ●日大による非常勤講師ゼロ化計画か 原告団の真砂久晃団長は会見で、「今回私たちが是正を要求するのは、日大の中枢部に寄生し、非常勤講師を良心の呵責もなく使い捨て、教職員をこき使って何食わぬ顔をしているわずかの人々に対して」だとし、「非常勤講師を含む教職員を人間扱いしない人に、学生が守れるはずがない」と語った。 別の非常勤講師の男性は「ルールを無視して、働く者の権利をないがしろにして、色々な事柄を隠蔽して対処しようとする姿勢に疑問を持っている。教育機関として、正しい判断をしてほしい」と求めた。 原告側が入手した日大人事部の内部文書「非常勤講師に係る対応について」には、「非常勤講師の無期転換権発生を認めるということは今後の大学運営に支障をきたす可能性が大きいことを考慮に入れる必要がある」と記されていたという。このため、原告側は、「日大による非常勤講師ゼロ化計画だ」と批判している。 無期転換ルールとは、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールのこと。賃上げの保証はないが、予期せぬ契約打ち切りに怯える必要がなくなる。

是正勧告 四国大に 違法な時間外労働で 労基署

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毎日新聞(2018年6月21日地方版)
 職員に違法な時間外労働をさせていたとして、徳島労働基準監督署が5月7日付で、四国大(徳島市)に是正勧告を行っていたことがわかった。同大学は2013年にも違法な時間外労働で同監督署の是正勧告を受けている。  四国大によると、同監督署は17年に労使協定で定めた1日4時間の時間外労働の上限を超えた自己申告の勤務記録が見つかったことや、労働日数や勤務時間を賃金台帳に記入していなかったことを指摘した。  また、同大学は1カ月間の時間外労働を最も長い教員で労使協定の上限である60時間としていた。3月には60時間に近い申告をしている職員が複数おり、同監督署は「適正な自己申告が阻害され、過少申告の恐れがある」と指導した。  同大学は「勧告を受け、勤務の実態に合わせた改善やシステムの更新などの対応をしている」と説明した。  同大学では13年、女性准教授が時間外労働によるうつ病を発症したとして、同監督署に労災認定されている。【大坂和也】

日大教員たちが訴える「大学本部の腐敗」 非常勤を解雇し、専任教員で穴埋め

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プレジデント・オンライン(2018年6月26日)
日大教員たちが訴える「大学本部の腐敗」 非常勤を解雇し、専任教員で穴埋め
ジャーナリスト 田中 圭太郎  日本大学のガバナンスはどうなっているのか。問題はアメフト部の危険タックルだけではない。日大は今年3月、英語の非常勤講師15人を解雇。プレジデントオンラインではその1人の声を報じたが、日大の態度は変わらず、講師8人は6月22日、日大に地位確認を求める訴えを東京地方裁判所に起こした。提訴を避けるため、講師たちは日大と団体交渉を重ねてきたが、大学本部のトップである田中英壽・理事長と人事の責任者だった内田正人・元アメフト部監督の2人は、一度も姿をみせなかったという。これでいいのか――。 非常勤講師8人が日大を提訴  6月22日午後2時過ぎ、日本大学を解雇された非常勤講師と弁護団が東京地方裁判所を訪れた。持ってきたのは書き上げられたばかりの訴状だった。  前夜、首都圏大学非常勤講師組合と日大との間で3カ月ぶりの団体交渉が行われた。しかし、違法な解雇だと訴える講師らの主張を、大学側はまったく聞き入れなかった。  その結果、解雇された講師のうち6人と、一方的に担当授業を削減された講師2人が法廷闘争を決意。日大を相手取り、解雇や授業の削減は違法かつ無効であるとして、地位確認を求めて東京地方裁判所に提訴した。  同日、原告団は記者会見を開き、危機管理学部とスポーツ科学部から雇い止めされた原告団長の真砂久晃さんが「声明」を読み上げた。以下はその抜粋だ。 「学びと研究の共同体を破壊する大学本部」  「日本大学を提訴することは、私たちにとって、苦渋の選択でした。原告団の中には、今でも日大の学生を教えているものが何人もいます。それでなくても、アメフト問題で傷ついた学生たちが、私たちの行動で、また心を痛めるのではないかと思うと、いたたまれません」  「日本大学には、愚かな人間はほとんどいません。大部分の教職員は思いやりのある、愛すべき人々です。私たちは日本大学を愛しています。ですから、私たちが今回、異議を申し立て、是正を要求するのは、日大の中枢部に寄生し、非常勤講師を良心の呵責もなく使い捨て、教職員をこき使って何食わぬ顔をしているわずかの人々に対してなのです」  「私たちが糾弾したいのは、この学びと研究の共同体を破壊する大学本部です。彼らは、学生を守ると述べていますが、非常勤講師を含む教職員を人間扱いしない人に、学生が守れるはずがありません」  真砂さんが糾弾する大学本部のトップは田中英壽理事長、講師を解雇した当時の人事の責任者は、危険タックル問題で職を追われたアメフト部前監督の内田正人氏だ。2人とも講師たちとの団体交渉に出席したことは一度もなく、責任者として解雇の理由を語ったこともない。外部からの指摘に対してしかるべき人物が明確な説明をしない点は、アメフト部の問題と同じだ。 なぜ日大は非常勤講師を解雇したかったのか  今年4月の記事で声を報じた井上悦男さんも会見の席にいた。井上さんは17年間、日大で非常勤講師を務めたが、今年3月、突然解雇された。提訴についてはこう話す。  「大学は、学生中心で、教員とともに学問と研究をするためにあるはずです。それが、一部の方の利益追求になりつつある。そのことを危惧している」  なぜ自分たちは解雇されなければならなかったのか。大学側は何も語っていないが、提訴に至るまでの間に、少しずつその理由が明らかになってきた。 非常勤講師をゼロにして、すべて専任教員に担当させる  日大の危機管理学部とスポーツ科学部で、英語の非常勤講師15人が集団解雇されることが明らかになったのは去年11月。今年3月末に解雇が強行されたが、その後、非常勤講師の解雇は他の学部にも及んでいることがわかった。首都圏大学非常勤講師組合が現時点で把握しているところでは、危機管理学部とスポーツ科学部に加え、経済学部、理工学部、文理学部、工学部(福島県郡山市)と、少なくとも6つの学部で数十人に及ぶとみられている。  非常勤講師の多くは、2013年4月に施行された改正労働契約法によって、今年4月以降に無期雇用への転換を申し込めば、来年の契約から切り替わるはずだった。改正労働契約法では、非正規の労働者が同じ職場で5年以上働いた場合、無期雇用に転換する権利が得られる。本人が申し込めば、認められるのだ。  それにもかかわらず、このタイミングで非常勤講師の大量解雇が行われた背景には、大学本部が無期雇用への転換阻止を狙っているのではないかと受け止められてきた。  その事実を裏付ける内部文書の存在が明らかになった。その文書は「非常勤講師に係る対応について」というタイトルがつけられており、2015年11月に理事会で決定されたものだ。  文書の冒頭には「1 非常勤講師に対しての基本的な考え方」とあり、そこには次のように記されている。  「専任教員の授業持ちコマ数の適正化など教員人事配置計画の見直しを図る過渡期において非常勤講師の無期転換権発生を認めるということは今後の大学運営に支障をきたす可能性が大きいことを考慮に入れる必要がある」  つまり「今後の大学運営」を考えると、非常勤講師の無期雇用は認められない、という意味だ。これは明らかに法律の趣旨と矛楯している。 非常勤講師を全員解雇して、専任教員に穴埋めさせる  さらに、2015年7月に学内に通達された文書「教学に関する全学的な基本方針」では、各学部に授業科目数の2割削減を目指すことと、専任教員の担当講義数を1人週5コマから8コマに見直すことが盛り込まれていた。この通達が実施されると、のべ3600人以上の非常勤講師の授業がなくなることになる。  具体的には、2017年現在、総授業コマ数は1万9828コマ(医学部と歯学部を除く)で、そのうち2714人の専任教員が1万2418コマ(ひとり平均4.6コマ)、のべ3643人の非常勤講師が7410コマ(ひとり平均2.0コマ)を担当している。大学本部が掲げる授業科目数の2割削減が実現されると、3965コマが削減されるため、それらがすべて非常勤講師の担当科目に集中すると、のべ1950人分、実数では1000人近い非常勤講師が雇い止めされることになる。  さらに、専任のコマ数が5コマから8コマに増えた場合、計算上は専任だけですべての授業を担当できるようになる。このため講師たちは、大学の目的は、のべ3600人以上の非常勤講師を全員解雇することだと疑うようになった。 3カ月ぶりの団交でみせた大学の態度  講師たちの疑念は、提訴の前夜、6月21日に、3カ月ぶりに開かれた首都圏大学非常勤講師組合と日大の団体交渉で確信に変わった。  日大で非常勤講師15人が担当していた英語の授業は、現在、語学学校に委託されている。前回の記事でも詳報したが、大学の授業を語学学校に委託という形で「丸投げ」することは、学校教育法に違反する。大学側は3月の団体交渉で、「専任教員が授業を観察しているので丸投げではない」と主張した。だが、観察という名目で専任教員が授業に介入すれば、今度は労働者派遣法違反の「偽装請負」となる恐れがある。  組合側は、専任教員が病気などで不在の場合の対応について聞いた。すると日大は「休講にはしない」という。これでは一時的に「丸投げ」の状態になる。また専任講師が語学学校の講師と一緒に授業をすることもあるという。これでは「偽装請負」だ。  これでは違法な状態を黙認することになるはずだが、大学側はこう言い放った。  「それはあなたたちには関係ない」  大学側は現在の英語の授業について聞かれるのは「筋違いだ」と主張。その理由を次のように述べた。  「まず先に、非常勤講師を辞めさせたのです。授業をどうするかは、その後の話です」  つまり、危機管理学部とスポーツ科学部の英語の非常勤講師を全員辞めさせることが前提であり、その先の対応について説明するつもりはない、ということだ。  この2つの学部は2016年4月に新設された。解雇の方針を打ち出した時、2つの学部を統括する三軒茶屋キャンパスの事務局長兼事務取扱は田中理事長だった。非常勤講師に解雇を言い渡した説明会の通知文書に、田中理事長の名前が載っている。15人の解雇と「丸投げ」や「偽装請負」という違法行為について、田中理事長は認識しているはずだ。  田中理事長と人事の責任者だった内田氏は、団体交渉に一度も出席していない。提訴前日となる6月21日の団体交渉にも姿はなく、内田氏の後任となる人事責任者も出席しなかった。大量解雇を実施するうえで、責任者は一切の説明を放棄しているのだ。 日大は本当に変われるのか    団体交渉を終えた夜9時過ぎ、会場から出てきた井上悦男さんは、あきれた様子でこう話した。  「正直なところ、アメフト部の問題で大学が批判され、内田さんが人事担当常務理事や人事部長をやめたことで、対応が少し変わるのではないかと期待していました。しかし、まったくそんなことはありませんでした。これまでの団体交渉ともつじつまがあわない、その場しのぎの説明が繰り返されました。誠実さを欠いています」  アメフト部の危険タックル問題でも、日大は内田氏と学生の証言の食い違いについて十分に説明していない。非常勤講師の大量解雇でも、解雇を行う理由や違法性の疑いについて説明していない。団体交渉が平行線で終わった後、井上さんは大学側に「人事の担当の方が変わって、これから皆さんとわれわれの関係は変わるんですか」と尋ねた。その回答はこうだった。  「信頼関係がないとそちらが言うのであればわかりませんが、われわれは変わらないです」  責任のとれない立場では、これが精いっぱいなのかもしれない。しかし、この団体交渉で、「信頼関係が作れる」と思えた講師はいなかった。  井上さんは、翌日の会見で、こう述べた。  「大学は、学生に本来法律を守らないといけないと身をもって示さないといけないのに、一部の方々が法律を破っているのは、学生に示しがつかないと思っています。教育機関として、正しい判断をしていただければと思います」  どれだけ批判を集めても、トップが顔を見せないまま突き進む。これが日大のいまの姿だ。講師たちは残念ながら、交渉の余地を見いだせず、法廷に判断を委ねるしかなかったのだ。 田中圭太郎(たなか・けいたろう) ジャーナリスト 1973年生まれ。早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。大分放送を経て2016年4月からフリーランス。警察不祥事、労働問題、教育、政治、経済、パラリンピックなど幅広いテーマで執筆。

明治学院大学解雇事件、東京地裁判決(2018年6月28日)勝訴!

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祝 勝訴!
速報 2018年6月28日,東京地裁にて,明治学院大学解雇事件について判決がありました。 原告の勝訴とのことです! 詳細は後ほど。

明治学院大学解雇事件、勝訴判決を受け7月3日記者会見

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記者会見のお知らせ
大学当局が教授に無断で授業を録音し、無断録音を告発した教授を解雇した「明治学院大学事件」。学問の自由、教育の自由、表現の自由の根幹を揺るがした大事件の判決が出ましたので、本件に詳しい憲法学者・小林節慶應義塾大学名誉教授をお招きして、記者会見を開催いたします。 日 時:2018年7月3日(火)15時30分~16時10分 場 所:東京地裁・司法記者クラブ 登壇者: 1.原 告・寄川条路(明治学院大学教授)「明治学院大学事件の概要」 2.弁護士・太期宗平(ベリーベスト法律事務所)「裁判と判決の概要」 3.法学者・小林 節(慶應義塾大学名誉教授)「明治学院大学事件の意義」 概 要:2018年6月28日、東京地方裁判所は、大学当局による教授の解雇は無効である、との判決を下した。

明治学院大学不当解雇事件、東京地裁・勝訴判決(2018年6月28日)主文

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東京地裁・判決(2018年6月28日)主文
「明治学院大学事件」の判決(主文)
 大学当局が教授に無断で授業を録音し、無断録音を告発した教授を解雇した「明治学院大学事件」。学問の自由、教育の自由、表現の自由の根幹を揺るがした事件の判決が出ました。以下は判決の主文です。 1 原告が被告に対して労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 2 被告は、原告に対し、33万2714円及びこれに対する平成28年10月23日から支払い済みまで年5%の割合による金員を支払え。 3 被告は、原告に対し、平成28年11月22日からこの判決の確定の日まで、毎月22日限り、69万8700円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済まで年5%の割合による金員を支払え。 4 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は、これを14分し、その5を原告の負担とし、その余は、被告の負担とする。

地位確認求め都留文大提訴、男性教授

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■山日(2018年7月5日)
 研究室などへの立ち入りを妨害されて研究や授業が行えないなどとして、都留文科大文学部の男性教授(53)が4日、同大と理事7人を相手取り、地位確認などを求める訴訟を東京地裁立川支部に起こした。  訴状や原告代理人によると、都留文科大は2012年7月、教授が以前勤めていた大学の処分を躇まえ、教授を解雇。その後、教授は地位確認を求めて提訴し、14年11月に復職することなどで同大と和解した。しかし、和解後も「教授会に出席できず、研究や授業ができない状態が続いているとし、実際には復職が認められていないと主張している。  訴訟では、①教授が国語学の指導を担当する地位にあることの確認②教授が同大の研究室などへの立ち入りや教授会への出席などを妨害しないこと③慰謝料などとして約665万円を支払うこと-などを求めている。  提訴後、会見した教授は「嫌がらせもあり、大学の対応は異常だ。研究や学生指導など教員として仕事を全うさせてほしい」と訴えた。  同大総務課は取材に「訴状の内容義認し、対応を検討していく」とした。教授の現状については「教授として在籍しているが担当する業務はない」と説明している。 (小池直輝、岡達也)(共同〉

大学の方針を批判、明治学院大教授の「解雇」は無効…東京地裁

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弁護士ドットコム  ∟●大学の方針を批判、明治学院大教授の「解雇」は無効…東京地裁
明治学院大で、倫理学を担当していた寄川条路教授が、不当な解雇をされたとして、大学を運営する学校法人「明治学院」(東京都・港区)を相手取り、教授としての地位確認や賃金の支払いなどを求めていた訴訟で、東京地裁(江原健志裁判長)は、解雇は無効とする判決を下した。判決は6月28日付。 寄川さんと代理人弁護士らが7月3日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いて、明らかにした。寄川さんは「地位確認が認められて、ホッとしている」と心境を打ち明けた。一方で、大学側は、判決を不服として、控訴する方針を示している。 ●解雇権濫用で「無効」に 判決によると、大学側は2015年4月、寄川さんに断りを入れず、授業のガイダンスなどを録音。さらに同年12月、寄川さんが、大学の方針を批判していたとして、厳重注意とした。寄川さんは授業の中で、特定の教員の名前をあげて、無断録音に関する情報提供を学生たちに呼びかけた。大学側は2016年10月、寄川さんを懲戒解雇とした。 東京地裁の江原裁判長は、原告に、教職員や学生に対する不適切な言動や、大学の方針に反する言動があったことは認めながらも、「職務上の義務に反したとまでいえない」「酌むべき事情があった」と判断。大学による解雇権の濫用だとして、教授としての地位確認と賃金の支払いを命じた。 寄川さんは、大学側による授業の録音行為を「教授の人格権」(学問の自由)を侵害するものとして、慰謝料をもとめていた。こちらについては、江原裁判長は「録音対象は、講義そのものではなく、ガイダンス部分だった」「録音は不当な目的や動機によるものではない」として棄却した。 明治学院大は、弁護士ドットコムニュースの取材に「解雇は録音を告発したことを理由にされたものではない」「(東京地裁で)録音の対象は、初回授業におけるガイダンスの部分であって講義そのものではなく、大学の管理運営のための権限の範囲内において適法におこなわれた、と判示された」などと回答した。今後、控訴する予定としている。

組合理由に排除は不当 都留文科大学教授ら提訴

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日本共産党山梨県委員会(04/03/2018)
組合理由に排除は不当 都留文科大学教授ら提訴
 都留文科大学の教授2人と准教授1人の3氏が3月26日、教職員組合活動などを理由に改編される新学科に配属されないのは不当だとして専任教員としての地位確認と慰謝料など2130万円を大学に求めて東京地裁に提訴しました。  訴状によれば、大学は4月から社会学科が地域社会学科に改編されるにあたり、社会学科の原告3人には意向を確認しないで新学科配属を認めず専任教員としてゼミを担当させないなどの決定をしたとしています。  原告は、3人が労働組合の中心的役割を担うとともに、大学の自治や民主的運営、教員の権利実現のために積極的意見を述べてきたことによる報復的で不当労働行為だと主張しています。  都留文科大学では学校教育法の改正により、学長の権限が強まり、2013年には退職手当規程の不利益変更が強行され、退職者6名による訴訟(2016年最高裁で大学側敗訴確定)などの労働争議が起こっています。  記者会見で原告の教授は「教員や公務員を多く養成している大学で学長によるトップダウンが進められ、異論を指摘する人を排除する。日本の大学のあり方が問われている。日本社会にとって見過ごせない問題だという思いで提訴した」と語りました。

都留文科大学に異を唱えた専任教員3名が所属学科から不当に排除された問題で大学を提訴

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三多摩法律事務所  ∟●都留文科大学に異を唱えた専任教員3名が所属学科から不当に排除された問題で大学を提訴(2018-06-20)
 公立大学法人都留文科大学は、2012年3月から違法に退職手当の一部を不払いにしており、2度にわたる訴訟では、いずれも教員の完全勝訴判決が確定しました。  この問題や不合理な人事その他の不当労働行為等に対して、都留文科大学教職員組合(労働組合)は大学教職員の権利を守るために、法令に基づく健全な大学運営を求めて、裁判支援や労働委員会への救済手続きの申し立てなど、活発に活動しました。  これに対し大学当局は、本年4月より「社会学科」を「地域社会学科」へ変更することに乗じて、他の教員は全員を引き続き「地域社会学科」へ配属したにもかかわらず、組合の書記長を経験し、学長の専断的な大学運営に対する意見を述べてきた3名の専任教員に対しては、意向確認すらせず、理由なく「地域社会学科」から排除しました。公的性格を有する公立大学で、このような露骨な不当労働行為が許されるはずもありません。  この問題について、上記3名の専任教員が原告となり、「地域社会学科」に所属していることの地位確認を求めるとともに、学科から排除されるためにゼミ(演習)の担当を外される等によって被る精神的苦痛について慰謝料500万円の支払いを求める裁判を3月に提起しました。原告となった3名の権利を守るために尽力する所存です。ご支援をお願いいたします。

明治学院大、元教授の解雇「無効」 東京地裁判決 授業無断録音訴訟

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■東京新聞(2018年7月4日)
明治学院大 元教授の解雇「無効」 東京地裁判決 授業無断録音訴訟
 授業を無断録音され、懲戒解雇されたのは不当として、明治学院大学(東京都港区)の元教授寄川条路(よりかわじょうじ)さん(56)が、教授としての地位確認などを求めた訴訟で、東京地裁(江原健志裁判長)は、同大を運営する学校法人明治学院に解雇無効を命じる判決を言い渡した。授業の録音については違法性を認めなかった。3日、記者会見した寄川さんは「無断録音は客観的事実なのに違法性を認めないのは筋が通らない」と述べた。判決言い渡しは6月28日。  訴えなどによると、寄川さんは同大の教授だった2015年、授業で大学の運営方針を批判したことなどを理由に大学側から厳重注意を受けた。大学側が授業の録音を聞いて寄川さんの批判を知ったと認めたため、寄川さんは教授名を挙げて「録音テープを渡した人を探している」とテスト用紙の余白に印刷し、学生に情報提供を呼び掛けた。  大学側は、その教授が録音にかかわった印象を与え、名誉毀損に当たるなどとして、16年に寄川さんを懲戒解雇。寄川さんは「授業の無断録音は表現の自由や学問の自由の侵害だ」と訴えていた。  江原裁判長は判決理由で、授業での寄川さんの態度が不適切だったと認定したが、解雇は「客観的に合理的な理由を欠く」として無効と結論付けた。一方、録音した授業は年度初めのガイダンスで、講義ではなかったなどと判断、「大学の管理運営のための権限の範囲内」と指摘した。双方が控訴する方針。

盗聴告発教授の解雇は「無効」、改めて問われる明学の体質

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『日刊ゲンダイ』(2018年7月4日)
盗聴告発教授の解雇は「無効」 改めて問われる明学の体質
 明治学院大学が揺れている。大学当局が教授に無断で授業を録音し、それを告発した教授が解雇され、その無効を争った裁判の判決が先月28日に下された。東京地裁は「教授の解雇は無効である」と判断した。  3日、原告の寄川条路教授と太期宗平弁護士、法学者の小林節慶大名誉教授が司法記者クラブで会見を行った。  寄川教授の担当は倫理学。盗聴が行われたのは、2015年4月の授業で、300人の学生を相手に行われたものだった。  寄川教授によると明治学院大学では大学組織を守るために、授業の盗聴が慣例として行われており、今回とは別の教員も授業を盗聴されて解雇されたという。  大学に批判的な教員を選別して盗聴している可能性が高い。小林氏はこう言う。 「学者は個性的で、それをお互いに許容し合って、歴史のなかで評価が定まってくるもの。個性を尊重しない多数決で押さえ込もうということが日本中で起きている」  大学側は判決について同日付の文書で、解雇理由は録音を告発したことではなく、原告の「不適切な言動」と説明。具体的な内容については、係争中の事柄につきコメントを控えるとし、控訴を予定している。  学問の自由がどこまで守られるのか注目が集まる。

都留文科大学、ブラック大学(人権侵害大学)の先端をいく

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都留文科大学事件一覧
■労働組合役職者に対する所属学科からの不当な排除事件   2018年3月26日東京地裁に提訴(3人) 1.異を唱えた専任教員3名を所属学科から不当に排除 (三多摩法律事務所) 2.組合理由に排除は不当 都留文科大学教授ら提訴 (日本共産党山梨県委員会) ■根拠のないパワハラを理由とした授業・ゼミ担当外し事件   2018年2月1日東京地裁に提訴 (1名) ■東京地裁無実確定後も授業を外し研究室などへの立ち入りを妨害する事件  2018年7月4日東京地裁に提訴(1名) ■労働組合に所属の教員6名に対して違法な退職金減額事件   2016年6月に最高裁で大学側敗訴 この大学、かなり異常!  80人が所属するこの大学で,2年間に11名が不法な扱いで大学を提訴。

都留文大教授、復職を求めて提訴

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NHK News(2018年07月04日)
山梨県の都留文科大学の教授が、セクハラ行為があったとする疑いで解雇されたあと、裁判で、教授としての地位を認めることで和解したにも関わらず、業務が出来ない状態が続いているなどとして、大学側に業務が出来るよう復職などを求める訴えを東京地方裁判所立川支部に起こしました。 訴えを起こしたのは、山梨県都留市にある都留文科大学の53歳の男性教授です。 訴えによりますと、男性教授は以前務めていた大学でセクハラ行為があったとする疑いで6年前に解雇されましたが、その後、解雇をめぐる裁判で大学側が教授の地位や賃金の支払いを認めることなどで和解したということです。 しかし、賃金の支払いは行われているものの、復職が認められず、大学への立ち入りや教授会への出席なども出来ない状態が続いているということです。 これをうけて男性教授は、大学と大学の理事らに対し、教授として復職し業務を出来るようにすることや、慰謝料などとして900万円あまりの支払いを求める訴えを4日、東京地方裁判所立川支部に起こしました。 訴えについて都留文科大学は「訴状が届いていないので詳しい内容はコメントできません」としています。

明治学院大学、授業無断録音に抗議した教授の解雇は「無効」判決(東京地裁)

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『アクセスジャーナル』(2018年7月12日)
明治学院大学―授業無断録音に抗議した教授の解雇は「無効」判決(東京地裁)
山岡俊介
 本紙で今年2月20日に取り上げた、明治学院大学教授が大学側に授業中に無断録音されていたことを知り抗議したところ、目を付けられ、その後、授業で使用していた教科書や授業内容がキリスト教を批判しているなどとして解雇されたことに端を発する「授業無断録音訴訟」につき、6月28日に一審判決が出ていた。  もっとも、大手マスコミで報じたのは唯一、「東京新聞」のみのようだ。  7月3日、原告の教授側が司法記者クラブで記者会見まで開いたにも拘わらずだ。  この訴訟、いくら教授も雇われとはいえ、授業に関して自由に研究や発言する「学問の自由」(憲法23条)が保障されないようではとんでもないということで本紙は注目していた。  何しろ、明治学院大学(東京都港区。経営は「明治学院」)では、授業の盗聴が慣例として行われているという。大学の権威、キリスト教主義を批判していないかなど授業を担う教授らをチェックするためで、授業で使う教科書や教材の検閲も同様だという。  そんななか、授業中に無断録音されたことに倫理学担当の寄川条路教授(横写真。56)が抗議したところ、15年12月、大学から「厳重注意」に。それを告発したところ、16年10月、今度は懲戒解雇されたという。  そこで寄川氏は東京地裁に地位確認の労働審判を申し立て。  16年12月、地裁は解雇は無効として寄川氏の復職を提案したが、大学側が拒否したことから提訴して争われていた。  東京地裁は6月28日、解雇権の濫用だとして、教授としての地位確認と賃金の支払いを命じた。  もっとも、この一審判決、(1)無断録音に関与したと思われる教員の氏名を公開したこと、(2)教授会の要請に応じなかったことに寄川氏も落ち度があると認定。しかしながら、教授会の要請が原告の認識に反するような見解を表明させるものであるなど、原告にも酌むべき事情があるとして、解雇は相当でないと判断した。  また、寄川氏は無断録音は学問の自由を侵害する違法なものなどとして、損害賠償請求も行っていたが、これに対し一審判決は、録音対象の大半は授業ではなくガイダンス部分だったとして、これを認めなかった。  一方、大学側は「解雇は録音を告発したことが理由ではない」「(東京地裁判決は)録音の対象は、初回授業におけるガイダンスの部分で講義ではなく、大学の管理運営のための権限の範囲内において適法に行われた、と判示された」としている。  こうした見解の相違から、大学側も原告側も控訴する方針。  なお、寄川氏、代理人の太期宗平弁護士と共に記者会見に同席した小林節慶應大学名誉教授は、「学者は個性的で、それをお互いに許容し合って、歴史のなかで評価が定まって来るもの。個性を尊重しない多数決で押さえ込もうということが日本中で起きている」と懸念を表明した。  学問の自由がどこまで守られるか、控訴審の行方にも要注目だ。

都留文科大学における執行部による大学私物化とその背景

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法と民主主義 2017/6 No.519
地方独法法+学校教育法改悪=大学ではないもの -都留文科大学における執行部による大学私物化とその背景-
都留文科大学文学部教員有志
 国公立大学の法人化(二〇〇四年度~)後、日本の大学の劣化がさまざまに報じられている。石原都政下での東京都立大学への攻撃や、福岡教育大学の例がある(福岡教育大学教員有志FUEの会「大学ガバナンス強化の最悪の帰結」、『日本の科学者』一七年七月号)。都留文科大学で近年行われている「改革」も常軌を逸したものであって、本学は「大学ではないもの」に変質しつつあると言わざるをえない。このことは、JSA・全大数など主催「大学間題シンポジウム」第三回(一七年三月二〇日)の討論でも告発された。それをもとにここに論考を発表し、全国の大学人、法律専門家諸氏への訴えとしたい。本学を転落の淵から救い出す運動を強化するべく、みなさんからのご支援をぜひとも賜りたい。  都留文科大学(以下、都留文大と略記。)は、山梨県都留市(人口釣三万二千人)という地方小都市に立地し、一九六〇年に文学部のみの市立四年制単科大学となった。二〇〇九年度からは地方独立行政法人法(以下、地方独法法と略記。)に基づき公立大学法人に転換した。約八五人の常勤教員と約九〇人の職員は「非公務員」となった。常勤教員にはいわゆる専任教員(任期なし、学部ゼミを担当、教授会メンバーとなる)と一〇人程度の各種の任期付き教員がおり、たいして非常勤教員が約三〇〇人と異様に多い。職員は、都留市からの出向等職員約三五名(幹部層)、法人固有職員、各種非正規職員の三階層からなる。大学の歳入は、地方交付税大学分を源とする市からの運営費交付金が約三分の一、入学金・授業料収入が約六割で、国立大学と私立大学の中間型である。 一 法人化による大学運営の改悪  都留文大では、太田堯学長(一九七七~八三年)のもとで大学運営が民主化され、①学長の事実上の教授会直接選出、②役員を多く置かず、あらゆる議題を教授会で討議し、その下に各種委員会を置いて教員と職員の熟議と協働による全員参加型大学運営を行う、④教授会、教職員組合、学生・院生自治会との四者協議などの慣行が確立していた。  しかし、地方独法法により公立大学の法人化が可能となった。都留市では〇五年の市長選挙で小林義光氏(右派系)が大学法人化を公約して四選され、〇七年度をとおして議論が行われた。大学側と市側の決裂答申となったが、市長=市議会多数派が学内の「穏健な法人化」論を押し切った。市側は全員参加型大学運営を嫌悪し、(ア)市の言うことを聞く大学に作り替えるとともに、(イ)地方交付税大学分と大学の積立金等への介入権を強化するべく、地方独法法を利用したのである。  この際、全員参加型大学運営を快く思っていなかった教授会少数派が市長・市役所と組み、アカい大学だというイメージを払拭しないとこれからの時代には生き残れないなどの宣伝を陰で拡散させるなどし、〇七年秋の学長選挙で「強硬な法人化」派を当選させた。その陰の中心人物が福田誠治氏(ソビエト型集団主義教育の研究者であったが、ソ連崩壊後転向し、現在はグローバル化時代のPISA型学力等の論考を発表している)、新保祐司氏(フジサンケイグループ主催「正論大賞」新風賞を受賞した右派系文芸評論家でもある)などであった。法人化を利用して自派の権力を奪取することが彼らの目的だったように思われる。  法人化された二〇〇九年四月、激変が起こつた。第一に、都留市議会が議決した法人の定款に基づき、役員体制は、理事長・学長別置型の理事会方式となった。学長は、(a)教授会メンバーに新たに市出向職員等を加えた意向投票を行う→(b)その結果も一つの参考として、法人に置かれる学長選考会議が選考し理事長が任命する、という新方式で選ばれることとなった。その後三回の学長選挙が行われ、教授会レベルでは福田・新保両氏らに付き従う人びとと全員参加型大学運営をできるだけ残そうとする人びととは括抗していたが、職員票に支えられた福田民らが多数派を握れる様相となっている。  第二に、専任教員の採用・昇任等人事は、従来は①文学部内の五学科間の協議により年度人事計画を立てる→②各学科の人事要望も尊重しながら候補の選考を行う→③教授会で熟議のすえ投票で決する→④大学当局・労組双方で構成する人事委員会での合意により格付けをするという方式であったが、法人化後は人事案件がすべて教授会の審議事項からはずされ、①法人組織である教育研究者議会(以下、教研審と略記。)で執行部主導による年度人事計画の決定→②教研審の下に置かれる選考委員会での選考→③教研審での採決→理事会での承認→④大学当局による一方的な各付け決定という方式に変更された。このことの影響は甚大で、福田・新保両氏らの意に沿わない採用人事の否決や、昇任を気にして教授会で発言しない若手教員の増大、新任教員の低賃金化などが起こっている。  第三に、大学の中期計画策定、予算編成、学部・学科再編、キャンパス再編や校舎増改築などの研究教育上の重要案件もまた、教授会の単なる報告事項とされ、実質的には執行部、理事会、経営協議会(もう一つの法人組織)の間で決められることとなった。  ここまでを法人化の第一段階ということができる。第二段階は第二代学長下で、上記の法人化の枠内にとどまるもののそれなりに均衡のとれた大学運営が行われ、教授会では全員参加型大学運営を主張する人びとの理にかなった発言に多数の支持が集まることもしばしばであった。それが福田・新保両氏らには耐えがたかったのであろう。 二 学校教育法改悪後の大学運営の野蛮化  二〇一三年秋の学長選挙で職員票を固めた福田氏が当選し、一四年四月から学長に就任した。副学長には新保民らが任命された。また一四年通常国会で学校教育法九三条が改悪され、本学の法人化は第三段階を迎えた。  学校教育法九三条の改悪とは、同第二項で「教授会は、学長が次に掲げる事項について決定を行うに当たり意見を述べるものとする」とし、教授会=意見具申機関に格下げし、学長=単独の決定権者としたことをさす。しかしそうであっても、教育研究に関する重要事項で学長が定めたもの(文科省があげる例は専任教員採用人事、教育課程、学部学科再編、キャンパス移転など)について教授会は意見を述べる(同第二項3)。ここで「意見を述べる」とは文科省見解によれば、従来の「議決する」に準じる行為であって、自由聞達に審議したうえで教授会の見解(賛否など)をまとめることをさしている。  ところが福田学長は、「意見を述べる」とは教授会の場で各教員が個別発言を行うことであり、「教授会は意見を述べるのみで審議してはいけないのだ」との独自解釈を大声で延々とまくしたて、審議を封じにかかる。これに異論を唱えると二人の副学長が「発言中止!」「黙れ!」と叫ぶ-本学の教授会はこうした異様な状況になっている。この結果、教授会は次第に単なる事務連絡会議に堕しつつある。  教研審の変質も著しい。従来、学部の下にある五つの学科の長は、学科の互選であったが、福田執行部は一方的に学科長任命制を導入し、意に沿わない人物の学科長就任を拒否した。このため教研審の大半が学長任命の「イエスマン」となった。  こうした変化がもたらしたものを、以下、都留文大ホームページ、都留文大数職員組合ニュース、地元紙「山梨日日新聞」記事によりつつ、具体的に紹介したい(注記は省略)。 三 大学を「大学ではないもの」にする異常人事  福田学長下での第一の特徴は、野蛮な人事の連発である。三例だけ指摘しよう。二〇一四年の地方自治論専任教員採用では、学長によって専断的に任命された選考委員会が、T氏を最終候補とした。選考委員の一人は副学長と密約を結び、一度も委員会に出席せず、業績も読まず、T氏を推した(定年後、この人物は学長から任期付き教員として再雇用された)。しかしT氏には地方自治にかんする研究論文が一本も存在しないことが判明し、所属学科から抗議声明が繰り返しだされた。だが学長はT氏の着任を強行した。その後丁氏が地方自治論ゼミを指導できないとわかると、学長は担当変更を求めてきた。地元密着の公立大学をうたう本学で地方自治を学習できる唯一のゼミが、こうして廃止されたのだった。  本学は教員養成系大学とされており、中学社会・高校地歴教員免許課程をもつが、そこでは地理学の専任教員は必須である。二〇一三年度で同数員が定年退職したが、福田副学長(当時)らが後任の採用を拒否したため、一四年度当初、同教員はゼロとなった。彼は、地理学の専任教員がいなくとも、文科省が査察に来たりはしない。来ても夏休み明けだから、その時には来年に向けてこれから採用人事を始めますと言えば、許される」とニヤニヤしながら言ったそうである。一四年度の社会科教育法の専任教員採用についても、選考委員会で満場一致で決まった候補に対して、新保副学長らが「日韓共同教科書づくり」にかかわる者だから認められないとの根回しをして、教研審で否決する策動を行った。これらの結果、この学科では一四年度には一六ゼミのうち七を非常勤教員に任せる異常事態に陥った。その果てに、一六年秋、文科省から中学社会教免課程等で大量の学生が長年履修漏れしていたので改善せよとの行政指導を本学が受けることになった。しかし学長らはこの事実を学生に告げずに繕おうとした。これは同年末、新聞・TVで大きく告発されたところである。  とくに重大なのが、本学で唯一の日本国憲法専任教員採用問題である(二〇一七年)。副学長・学長補佐など学長の意に沿う教員で固められた選考委員会はH氏を候補に推薦したが、H氏は法学の学位を持たず、日本国憲法にかんする研究論文が一本もなく、民族主義改憲派の集団「憲法学会」に所属していた。教授会で再三にわたって抗議声明が出されたが、学長らは採用を強行した。そして着任直後、H氏が学長補佐に任命されたのである。   四 退職金裁判  大学当局と市側が大学を私物化している例として、退職金裁判をとりあげたい。二〇一二年度の国家公務員給与削減政策に影響されて、都留市でも市職員の退職金削減を決定した。本学当局は、市側に右へ倣えして本学教職員の退職金削減を画策した。二二年三月、大学労組との団体交渉もなく、また教職員への周知もなく、本学退職手当規程を、旧来から市側の規程を準用することになっていたかのように書き換え、同月退職教職員の退職金を一方的に削減したのである。  これに対し、当該教員六名が東京地裁に提訴した(第一次訴訟、一五年四月地裁判決)。大学労組は原告団を支援することを決定した。一五年、最高裁は大学当局の労働契約法・労働基準法違反を認め、原告に削減分を還付する決定を行った。ところが大学当局は何ら反省しなかった。そこで新たに五名が甲府地裁に一七年六月、第二次訴訟を提訴したところである。  この事件の意義は二つある。第一に、東京地裁判決は、法人化し「非公務員型」の大学は設置者たる市側から経営上独立しているとの判断を示したことである。第二に、大学当局=市側は逆に、大学を市役所の従属物とみていることが明らかになったことである。 五 学部・学科再編と不当労働行為  福田学長は当選後、「選挙公約」でほぼ触れなかった学部学科再編を開始する。  第一は、文科省路線に沿った、国際バカロレア課程と連携した全科目英語授業の「国際教育学科」新設である(二〇一七年度開設)。その持続可能性は学内では大いに疑問視されている。  第二は、現「社会学科」廃止、「地域社会学科」新設と「教養学部」新設である二八年度予定)。その新学科準備室は副学長・学長補佐・学長側近でかため、現学科の中心メンバーを一切排除し、また新学科の重要方針案は現学科メンバーから意見を聴くことなく、三菱総研に委託して作成させた。新学科の教育課程案も準備室が専断的に作成した。  第三は新校舎建設で、落札業者には前・現市長系土建会社が含まれ、落札率は九九・七%となっている。  特に深刻なのは、二〇一六年軟、学長らが社会学科の三教員について新学科への移籍拒否を強行してきたことである。この三教員は、第一次退職金訴訟の東京地裁提訴時、大学労組による原告団支援決定時、最高裁決定時それぞれで大学労組書記長だった者で、異常人事について教授会で「モノ言う」教員でもあった。本学では他学科等への移籍については本人同意を得るという雇用慣行が確立していたにもかかわらず、学長らは三教員の意思確認を一切拒否し、団体交渉では配置転換先も提示しない不誠実な態度を繰り返した。これは大学労組への弾圧(不当労働行為)であり、本年三月、山梨労働委員会に救済申し立てが行われたところである。学長・副学長によるパワーハラスメントでもあるため、三教員は学内の人権委員会、山梨県弁護士会人権擁護委員会にも救済を申し立て、公立大学職員組合連合会からの支援も得ている。  おわりに  二〇一五年、文科省通知「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」が教員養成系・人文社会科学系学部の「組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換」を打ち出し、大学人にショックを与えた。前述のように、都留文大での異常人事、学部・学科再編はその都留文大バージョンと言ってよい。ここでの最大の被害者は学習主体=学生たちである。  国立大学では、安倍政権の教育再生実行会議「これからの大学教育等の在り方について」および文部科学省「国立大学改革プラン」(二〇一三年)などをとおして、大学の安倍政権の経済政策(アベノミクス)への従属と新自由主義的グローバル化が進んでいる。公立大学では、ローカルな諸事情に媒介されながら、輪をかけて野蛮な「改革」が進んでいる。「軍学共同」、新自由主義的グローバル化に対応した一七年度小中学校学習指導要領改訂(アクティヴエフーニングと道徳教科化など)の影響も及んできている。  「改革」が強行された英国には、大学の「資格付与工場」化に反対し、人類・社会・自然への深い洞察に貢献する「博物館」的な大学をと訴える大学人の運動がある(S.Collini, What are Universities for ?, Penguin Books, 2012)。そして今年の総選挙では大学授業料無料化などの野党の公約に共鳴して学生・若者たちが政治変革の波を作り出した。  私たち都留文大数員有志はローカルな野蛮さと闘い、本学が「大学ではないもの」に転落することへの抵抗運動を粘り強く広汎に展開したい。安倍政権下で大学が「大学ではないもの」に転落することに粘り強く立ち向かっている全国の大学人や本誌読者と連帯しながら。

防大 いじめ・暴行、月平均 規律違反10人・処分5人 背景に「命令と服従」

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しんぶん赤旗(2018年7月25日)
 自衛隊幹部の養成機関である防衛大学校(学生数2010人、神奈川県横須賀市)で上級生らによる下級生への暴行、いじめ、セクシュアルハラスメントなど反社会的な「服務規律違反」が横行しています。過去10年間で平均して毎月10人が服務規律違反に問われ、うち5人が懲戒処分となるなど異常な事態が、防大の内部資料から明らかになりました。(山本眞直) 内部資料で判明  内部資料は、2016年5月に国と加害学生を相手に損害賠償請求訴訟を起こした元防大生の弁護団が裁判手続きや情報開示請求で入手したもの。元防大生は、上級生らから暴行やいじめをうけ、2学年だった14年8月に休学に追い込まれ、15年3月に退学しました。  防大が開示した07年から16年までの10年分(16年は4月から7月)の「学生などの懲戒処分者」によると、服務規律違反は合計1136件に上ります。うち懲戒処分をうけたのは約半数の550件です。平均すると規律違反は月10件程度、懲戒処分が月5件程度になります。  提訴した元防大生の被害実例にそって防大がまとめた「防衛大学校における不適切な学生間指導などに関する調査報告書」(16年2月)には、こんな実例が記述されています。  「13年秋頃、部屋のポットのお湯を交換していなかった罰として、被害学生らに対し、ズボンと下着を脱ぐように指示し、掃除機で陰茎を吸引した」「複数回、同様の行為を行った」  防大の懲戒処分台帳には、4学年が「ポットのお湯を(下級生に)掛けさせた」「私的制裁 鼓膜破れる」など暴力行為も多く記載されています。  これらのケースは氷山の一角です。防大生は全寮制です。学生寮での日常生活について上級生が下級生を指導します。その指示は自衛隊の「命令と服従」と同様で“絶対服従”です。「命令と服従」を基本にした訓練と「生活指導」を教育の根幹にすえる防大の姿勢が、反社会的行為に拍車をかけているのではないか―。“防大の闇”の実態に迫ります。

彼らは何を隠しているのか?(1) 下関市立大学トイレ改修工事損害賠償請求事件についての調査報告書

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長周新聞(2018年8月14日)  ∟●彼らは何を隠しているのか?(1) 下関市立大学トイレ改修工事損害賠償請求事件についての調査報告書
彼らは何を隠しているのか?(1) 下関市立大学トイレ改修工事損害賠償請求事件についての調査報告書
山口県2018年8月14日  本紙でも事あるごとにとりあげてきた下関市立大学のトイレ改修工事を巡る損害賠償請求事件について、その真相があまりにも隠蔽され、消えた公金の行方があいまいなまま済まされようとしていることを問題視した有志が、このほど調査グループを結成して広く市民にもわかるよう調査報告書を作成した。下関市、下関市議会、下関市立大学の三者がかたくなに隠蔽し、守っているものは何なのか? だれなのか? さらに、その対応は地方公共団体としてまっとうなものといえるのか等等、下関市役所や市議会の在り方ともかかわってさまざまな問題を投げかけている。事実を丹念に追っていることから長編となっているが、紙面上で連載したものを紹介したい。 Ⅰ はじめに  市民の皆さん、森友・加計の問題が大きく報道されていましたが、モリカケ問題についてどのようにお考えでしょうか。学校、学園を舞台に明らかに不正、不適正な行政が行われていたのに、国会の場でも文書隠蔽、改ざん、虚偽答弁などをくり返し、疑惑を必死に隠そうとする政府。そして、それに手を貸すかのように真相究明に消極的な与党の対応。この現状に腹立たしい思いをしている人は多いはずです。そこには「政治、行政は国民のためにある」という当たり前のことが全く無視されています。モリカケ問題は、権力の私物化、権力者のおごりが象徴的にあらわれた事件だと思います。  下関市立大学トイレ工事の記事を読んだり、議会での傍聴の度に、どこかモリカケ問題に通ずる事件だと感じ、激しい憤りを覚えます。市大トイレ工事事件は、下関市民のためにあるはずの下関市政が下関市民無視市政になっている典型的な事件です。市民のお金(公金)約1610万円が市大職員の不正、不適正行為によって失われたという事件です。  市民のお金がいつまでに、どのように回収されるのか、そして実際にどのように回収されているのかということを市民に知らせるのは当然のことです。それなのに、どのように回収されるかについては、市民には内緒にするという条件で和解(秘密条項付きの和解)した大学、市大を指導する責任と権限があるのに、全く無責任な対応に終始している市、市民代表として市政をチェックし、市大や市の無責任を正すべき責任があるのに、この事件を積極的に解明しようとしない市議会。常識では考えられない状況です。これ程おかしなことが平気でまかり通るのは、この事件の背後に何かあるに違いないと思ってしまいます。  当時、市大トイレ工事を請け負った業者と深いつながりがあり、大学にも市にも、市議会にも、いわゆる“顔が効く”市会議員(当時)C氏の存在が噂されましたが、本当にそのことが影響したのでしょうか。  本件は、色々な問題を含んでいますが、本来、それほど複雑な事件ではなかったはずです。市または大学が「このような和解をしました。いつまでに全額回収できる見込みです」と議会へ報告し、その後質問された都度、回収状況を誠実に答弁すれば済む問題でした。しかし結局、この事件は多くの問題を抱えてしまい、決して看過できない事件になりました。これを許すと、こんなやり方が今後の前例になってしまい、モリカケ問題以上に違法、不適正な下関市民不在の下関市政がまかり通ってしまう恐れがあります。  このようなことから、本事件の真相や問題点を多くの市民の皆さんに知っていただきたいと考え、有志で調査グループを結成し、市議会でのやりとり、マスコミ報道等も参考にまとめたものです。これがその第一弾ですが、これからも調査を続行していきます。なお、この問題に関係した職員の氏名はマスコミで報じられており、公表しても問題ないと思いますが、一応、現職以外は氏名を出さない扱いにしました。 Ⅱ 事件の概要 1 指名業者の選定、落札、契約の締結について  平成22年12月、市大はトイレ改修工事を行うため、市内業者6社を指名することとし、市大事務局のS総務グループ長を中心に6社を選定した。入札の結果、この6社のなかからS社が落札した(落札率99・7%)。S社は平成22年8月、市の入札で「豊北道の駅」工事を落札したが、市営駐車場の管理権の無断譲渡問題に関連した問題業者だということで、9月市議会でも工事議案が認められず、継続審議になっていた。このようなことはマスコミでも報じられており、S社が問題企業だということは市大も当然知っていたはずだが、市大はS社を指名した。そしてS社が落札したものである。  12月初旬、市議会は「道の駅工事議案」を否決した。S社は市から市の工事を請け負う資格なしとされた。経営不振も噂されていた。このような状況にあるなか、市大は12月中旬にトイレ改修工事請負契約をS社と締結した。この指名業者の選定、及び契約の締結については、いずれもM理事長まで書類が上げられ、M理事長がそれで良しと決定している。荻野現理事長も副理事長としてこの書類に押印している。 2 工事前払金の支払い  工事請負契約の締結後、すぐにS社から工事前払金の請求があった。前払金はS社が保証会社との間で前払金保証契約を締結していないので支払うことはできない。にもかかわらず、平成22年12月末、翌年1月と2回にわたり工事代金の6割にあたる2260万円を契約等に違反してS社に支払った。この契約等に違反した前払金の支払いについては、U事務局長まで書類がまわり、U事務局長が支払いを決定した。 3 請負業者S社の工事中断とこれに伴う損害の発生  ①990万円の損害の発生  噂通りS社は経営悪化で事業停止に追い込まれ、平成23年3月初めにはトイレ工事が行われなくなった。このため大学は3月31日に記者会見を開き、工事の中断と契約書に違反した不適正な支払い(工事代金の前払い)があったことを発表した。S社の工事中断までの工事出来高は約32%、金額にして1270万円と認定され、前払金2260万円と工事出来高1270万円との差額990万円がS社への過払額、すなわち市大の損害金と決定した。  ②620万5000円の損害の発生  違法な手続きでS社に仕事をさせ、結局、S社が仕事を途中で止めたため、再度別の業者に頼まざるを得なくなった。工期を短縮せざるを得なくなった等の理由から、工事費が620万5000円余計にかかることになった。市は議会で、この620万5000円もトイレ改修工事に伴う市大の損害金であると答弁している。本件トイレ改修工事に伴う市大の損害金は上記①と②の合計額1610万5000円である。 4 損害賠償請求  違法な業者指名を決裁したM理事長と、不適正な前払金の支払いを決裁したU事務局長は共に平成23年3月末任期満了によって退任した。4月から新たにH理事長と新事務局長が就任。市大幹部は荻野副理事長(当時学長)を除き新体制となった。 ①990万円の損害賠償請求  市大はS社に工事執行能力がないと判断し、同社との契約を解除するとともに、損害賠償を求めたが、S社には支払う意思がなかった。このため損害発生の原因のうち、過払金(前払金)による損害990万円について、法的に損害賠償責任があると考えられるS元グループ長とU元事務局長に支払いを求めた。  しかし2人とも誠意ある対応を示さないため、平成24年7月12日、2人に対して990万円の支払いと平成24年6月1日から完納まで年5%の支払いを求める損害賠償請求の訴えを山口地裁下関支部に起こした。市が訴えを起こす場合は法律上、市議会の議決を必要とするが、市大は独立行政法人化しており、市とは別団体ということで議会の議決は必要としない。  しかし、設置者は市であり、市から交付金を受けているということ等から、市大は訴えの提起に関して平成24年7月12日に記者会見を行った。また市は7月17日、市議会総務委員会に本件を報告している。公金の損害賠償事件を市民に説明するというこの考え方は妥当であろう。 ②620万5000円の損害賠償請求  違法な業者選定に伴って発生した損害金620万5000円については、市大は法律上の措置は講じていない。市大はS社に請求していると答えているが、支払能力が疑わしいS社に何故請求したのか。回収方法やその回収がどのように担保されているか、又、いくら回収されているか等については答えていない。 5 裁判上の和解  本件損害賠償事件は訴えてから約1年後の平成25年7月16日付で大学側と被告側(U元事務局長とS元グループ長)が次のような内容で和解したとY新聞で報じられた。  主たる和解条項は ア U元事務局長は大学側に200万円支払う イ S元グループ長はS社の大学側に対する債務のうち990万円までを連帯保証する。 ウ この和解条項は公表しないこととする。市が議会に報告する場合も非公表の趣旨を体して報告すること。議会も非公表の趣旨を尊重するよう求めること 等であった。  なお、Y新聞の報じた和解条項では、完納時期や遅延損害金の扱いなどは不明である。  大学側の要求どおりの和解であれば判決までいかなくても市民は納得するだろう。しかし、大学側の要求(訴訟内容)とは異なるのに、どのような理由で和解したのか。和解内容をなぜ非公表としたのか。大学側はどのような手続きで和解したのか。和解について市と協議したのか。市民には真相がよくわからないし、理解し難いことばかりである。  裁判上の和解は990万円であり、620万5000円については回収が確実なのかはっきりしていない。 6 損害金の回収状況 ①990万円について  平成25年7月の和解以降、市議会で本池市議が何回か質問しているが、市側からは明確な答弁はなかった。  平成30年6月議会で、市は「和解内容による損害金の回収は完了したと聞いている。利息等の有無や内容については、市としても知らない」と答弁した。 ②620万5000円について  これについても990万円の損害金と同様、これまで市側から明確な答弁はなかった。  平成30年6月議会で市は「和解の内容による損害金の回収は全て完了したということだ。金額については承知していない」と答弁。ここでも回収金額、遅延損害金等については知らないという。 Ⅲ 本事件の問題点 1 指名業者の選定、契約の締結について  事件の概要で述べたように、当時の状況下、普通では考えられないS社選定であった。  指名(入札)業者6社は、実際にはS社が選定したもので、それを大学案としていたことが判明した。違法かつ不公正な指名業者の選定であった。  Sグループ長は、入札等妨害罪及び官制談合防止法違反容疑で送検され、その後容疑は確定している。指名業者の選定と契約の締結は当時のM理事長が決裁している。従って、M理事長、荻野副理事長(当時)まで責任が及ぶ。M、荻野両氏が全く知らないで行われたとしても組織上の管理監督責任がある。ましてや決裁文書に押印しているのだから、損害発生とその損害の賠償には直接的責任がある。しかしながらM理事長は1円の損害賠償金を払うことなく、満額の報酬と退職金を得て退職し、何らの責任もとっていない。荻野副理事長(現理事長)も何らの責任をとっていない。当時の最高幹部で損害の発生と組織管理に責任ある両氏が何ら責任をとっていない。多くの市民は納得できるだろうか。 2 工事前払金の支払いについて  工事代金は後払いが原則だが、資材の購入等、工事着手前にお金が必要なことがあるので、例外的に前払いを認めている。  しかし、前払金は支払ったのに工事に着手しないとか、工事を途中で投げ出すということがあってはいけないので、前払金を支払うことができるのは請負業者が保証会社との間で前払金保証契約をしている場合に限られる。この保証契約を担保として前払金を支払うことができるという決まりになっている。この場合でも4割しか支払うことができない。  本件前払金の支払いで問題なのは、  ・請負契約書上支払わないことになっているのに契約に違反して支払ったこと  ・前払金を支払う契約になっていても、前払金保証契約を締結していないと支払うことはできないのに支払ったこと  ・契約書上支払うことが出来、前払金保証契約を締結していても4割しか支払ってはいけないのに6割も支払ったこと  このように三重に違反した、不正な前払金の支払いであり、常識では考えられない職員の背任行為である。 3 損害賠償請求事件の和解と損害金620万5000円の処理について ①損害金990万円について  市大職員による工事請負業者の違法な選定と規定に違反した不正な前払金の支払いによって生じた公金の損害であり、本来裁判で訴える前に損害発生に関係したM理事長以下の職員が早期に損害賠償を行うべきものである。それがなされなかったために訴訟になったものだが、関係職員の自覚と責任感のないことにはあきれてしまう。  今回の損害発生の原因、経緯等から考えると訴えたとおりの判決を求めるべきである。ただ、訴えたとおりになるのであれば和解することに市民も納得するだろう。従って、市民が納得できる和解になっているのかどうか、和解の内容が問題となる。その重大な和解の内容を市民に非公表としたことは、まさに市民無視の大問題である。市民の納得を得るという和解の大原則を無視したのである。  それでは、なぜ非公表とする条件で和解したのだろうか。  Y新聞が報じた和解内容だと、違法行為によって市大に損害を与えたSグループ長は、本来なら損害賠償の最も重い責任者であるはずなのに請負業者Sの連帯保証人という立場になっている。連帯保証人なのでSとS社は同等の損害賠償責任者となるが、そもそもS社には支払能力も支払う意思もなかったから、SとUに支払いを求めたものである。S社は本件訴訟の被告ではない。従って、和解の当事者でもない。そのS社をなぜ主たる和解条項のなかに入れたのだろうか。疑問である。  この和解条項だと市大の利益(公益)より損害賠償責任のある職員(UとS)の利益の方を優先している。市民から公益より利益優先の和解ではないかという批判が出ることを恐れて非公表としたのではないか。  先日も「父親の入院、介護等で苦労した後、アルバイトで働き始めたが、そこで働いた給料9万円から固定資産税の滞納の一部として7万円が差し押さえで天引きされた。これからの生活が大変だ」という市税滞納者に対する厳しい徴収が記事に出ていた。方々で市税徴収が厳しいという声を聞く。市税徴収の現状とこの損害金回収の和解内容は格差があり過ぎる。  和解は荻野理事長と損害賠償責任のある被告側とで行われているが、まず荻野理事長の立場である。荻野理事長は違法な業者選定をした伺書に市大ナンバー2の副理事長として押印している。市大に損害を与えた側の責任者の一人である。加害者側として責任のある者が被害者側代表として和解している。しかも、その和解内容は公表せず、秘密にしようという和解をである。そして今度は自分たちが勝手に結んだその秘密条項をタテに市議会でも事実上の答弁拒否をしている。(市議会で答弁するのは市総務部長であるが、総務部長は「和解内容は市大が公表しないということなので知らない」と答弁している)。  次に和解に至る手続きである。  訴えの提起のときは当時のH理事長は記者会見を開いて市民に公表したし、市は市議会総務委員会にも訴えの内容について報告した。しかし和解については、荻野理事長は記者会見を開いていない。市大には理事会もないようである。荻野理事長が独断でこのようにおかしな和解をしたのではないかと批判されても当然である。  市は平成25年9月3日の市議会総務委員会に和解したことを報告したが、質問に対して「和解内容については公表しないことを条件にしている」ことを理由に和解内容について答えていない。賠償金額、完納時期、分割支払いなら遅延損害金の扱い等は議会に対する最低限の報告事項である。それらも報告しないのなら議会への報告にはならない。  市執行部は議会を無視しているのに、議会はそれを甘受している。議員は市民を代表して行政をチェックするのが主要な職務である。「職員の不祥事により公金が失われた損害賠償なのに、どうして金額や完納時期が明らかにできないのか。議会に報告するのは当然ではないか。  これらのことも明らかにしないという和解なら、和解そのものが問題だ」と主張する議員が居なかったのは不思議であり、残念である。市大も市執行部も市議会も、市民に対して無責任ではないか。  以上見てきたように、本件和解はまず和解内容が市大の利益より職員の利益を優先している。被害者より加害者を優先している。このことが大問題である。次に和解内容を非公表としたことは市民無視の行為であり、これも大問題である。市立大学が「公益軽視の和解内容」で「秘密条項付きの和解」を行うことは違法性があると言わざるを得ない。  市が訴訟で和解する場合は、訴えを起こすときと同じように法律上、市議会の議決を要することとなっている。市大は現在、独立行政法人として法律上、市とは別団体になっているが、市が設置し、市から交付金が出ている大学である。和解する場合、市に準じてできる限り市議会、市民に和解の事実と和解の内容を報告、公表すべきである。理屈上はそうなる。  このようなことから「和解内容を市議会にも報告しないということは難しいだろう。秘密条項付きの和解とするが、市議会には和解内容を報告することができるようにしておこう」と考えて、「議会に対しては和解内容を報告する。ただ、その場合も非公表の趣旨を尊重するよう議会にも求める」という条件をつけたものと思われる。  市大も市も「和解条項の非公表」ばかりを主張し、この「和解内容を議会に報告できる」という条項を無視した対応(「和解内容は非公表ということなので知らない」との市答弁等)をし続けたことが、市行政の信頼を失墜させ、事態を悪化させた。議会での本池議員の質問に対して、嘘を言わず誠実に答えていればここまでおかしなことにならなかったかも知れない。 ②損害金620万5000円について  これについてはS社と和解し、S社に請求していると市は答えている。支払能力が疑わしいS社に請求しているのか、それで良しというのは無責任である。大学職員の違法、不適正な行為による公金の損害賠償事件であり、大学当局は速やかに、確実に全額回収できる措置を講ずべき責任がある。  その点から考えると、決裁した当時のM理事長以下、荻野副理事長、U事務局長、Sグループ長に損害賠償の連帯責任があるのだから、支払能力の疑わしいS社に請求するより、まずM理事長以下の連帯責任者が責任をとって速やかに賠償すべきである。そのような方策をとるよう荻野現理事長がリーダーシップを発揮すべきであった。それこそが高額報酬を得ている荻野現理事長の最低限の職務である。 4 損害金の回収状況について ①裁判上の和解をした損害金990万円について  損害金を現在までにいくら回収できたのかは、秘密条項付きの和解条項には含まれないことであり、当然市民に公表すべきである。しかし、市は市議会での本池市議の質問に対して、和解条項を理由に明確に答えてこなかった。これは本件和解条項に対する違法な拡大解釈である。  その後、平成30年6月議会で市は「和解内容による損害金の回収は完了したと聞いている」と答弁したが、回収完了年月日、遅延損害金の有無等については知らぬ存ぜぬで押し通している。無責任であるし、「知らない」で済ませられる問題ではない。子どもだましのような答弁で押し通すことが許されているのが下関市議会の現状である。 ②損害金620万5000円について  この損害金は裁判とは無関係であり、従って秘密条項付きの和解とは全く無関係である。これまで市議会での質問に明確に答えなかったのは答弁拒否であり、市民を無視した市の対応であった。平成30年6月議会で本池市議が「返済完了と答えたが620万円についてもか」と質問したのに対して、市は「双方の和解による損害金はすべて完了したということだ。金額については承知していない」と答弁。相変わらず子どもだましのような誤魔化し答弁、無責任答弁をくり返している。①の損害金と同じく、今後も追及が必要である。  公金の損害賠償事件の和解を秘密条項付きとしたことは大問題だが、この秘密条項も完全な秘密とすることにはなっていない。先述のように議会への報告については一定の条件が付されてはいるが、報告できるようになっている。また訴訟記録の閲覧制限申立書では、非公表の理由として、公表すると ・被告に背任行為があったように思われること ・社会的評価を落とすこと ・就職にも支障が出ること としている。秘密条項付きの和解にしたのも上記理由からだと思われる。  市大トイレ工事に関して違法行為があったこと、大学職員が逮捕されたこと、損害が発生し損害賠償請求の訴えを起こしたこと等はすでにマスコミで報じられており、公知の事実である。これについての和解であり、和解内容が公表されると被告の就職等にどのような影響を及ぼすというのか、全く理解できない。せいぜい氏名を隠せば良いだけのことである。むしろ、和解内容を公表した方がこの問題に一定の責任を果たしたということを市民に知ってもらう良い機会だと思う。  以上のことから市(大学)が議会での質問に対し、秘密を主張できるのは、  ①和解調書に記載された事項であり、かつ  ②その事実を公表すると被告の就職等に支障が出ると客観的に考えられる事項に限られる。  和解調書に記載されていない事項や、和解調書に記載されていてもそれを公表すると就職等に支障を及ぼすとは客観的に考えられない事項は誠実に答弁しなければならない。なお、就職等に支障をきたすような事項でも議会が秘密会等、秘密を保てるよう配慮すれば市(大学)は答弁を拒否することはできない。  以上が本件に関する市の議会答弁の基本的ルールである。しかし、市議会では本池市議の質問に対し、秘密条項付きの和解を理由に答弁拒否できない事項まで、ほとんど全て答弁拒否している。  質問事項は予め通知している。市は市大に対する調査権、指導権を持っている。市は調査権限を行使して調査し、議会で明確に答える義務がある。それでも松崎総務部長(現水道局長)は他人事のような答弁をくり返した。議会もそれを許してきた。  本池市議は本件に対する市民や大学関係者の疑問をふまえて的確な質問をしている。松崎部長が本池市議の質問に誠実に答弁していれば、ここまでこじれることはなかったと思う。以下、虚偽的答弁、誤魔化し答弁の一部を別示する。 1 平成25年9月議会  本池市議 訴訟していたのに、なぜ和解したのか。回収の見込みがたったから和解したというが、990万円とは別に620万5000円の損害がある。これは誰が負担するのか?  松崎総務部長 990万円+620万5000円の合計額1610万5000円の和解が成立した。 ※訴訟について和解したのは990万円についてのみであって、1610万5000円を裁判上の和解額としたのなら虚偽答弁。本当に知らなかったのなら、職責を果たしていない。 2 平成26年6月議会  本池市議 裁判上の和解金額、遅延損害金の扱い、完納時期は?  松崎総務部長 損害金の回収は順調に進んでいる。和解内容は公表しないことになっているので。 ※答弁拒否の理由にならないのに答弁を拒否  本池市議 和解内容を市は把握しているのか?  松崎総務部長 和解内容は公表しないということなので具体的な話は市は承知していない。 ※市には法的に市大を調査する権限がある。その権限を行使せず、議会での質問に「知らない」は職責を果たしていない。無責任である。和解には和解内容を議会に報告できるという条項が付されている。それを「知らない」は議会軽視ではないか。  本池市議 和解条項中に議会への報告ができる旨の条項があるが?  松崎総務部長 市としては訴訟記録も見ていないし、言われたのは伝聞の話しだから確認できない。 ※平成25年9月議会で本池市議が和解について質問しているし、今回も質問通告している。それなのに、まだ訴訟記録を見ていないというのは常識では考えにくい。本当に見ていないのなら無責任。 3 平成26年12月議会  本池市議 現時点の回収額、利息延滞金、完納時期は?  松崎総務部長 市大の財務諸表から平成25年度中に420万円の回収があったものと推測される。完納時期、利息等については和解内容は公表しないということで知らない。 ※回収額等については秘密条項付き和解を理由に秘密にすることは出来ない。当然答えるべきことなのに答弁拒否している。  本池市議 和解条項の中に議会には報告できるようになっているのに、どうして議会に報告することがはばかられるのか?  松崎総務部長 ア 和解の内容については公表しないということなので知らない(「議会に報告する」は知らない)。  イ 市とは別人格をもった市大の話なので内容については話すことができない。 ※アについては、6月議会で本池市議が同じ質問をしている。従って、「議会に報告する」ことは市も知っているはず。「知らない」は虚偽答弁ではないか。イについては無責任な答弁。市大は別人格団体なので、市議会で話せないという法令的制約は何もないので話すことはできる。市立病院についても、市はノータッチか、議会審議なしか。 4 平成30年6月議会  本池市議 損害金の回収状況は?  今井総務部長 和解内容非公表のため具体的な金額はわからないが、平成30年4月、大学との協議のなかで和解内容による損害金の回収は完了したと聞いた。利息等の有無や内容については市は知らない。 ※回収金額等について議会で「知らない」と答えることは市議会軽視、市民無視に等しい。秘密条項付き和解で制約される問題ではない。回収金額等を答えることが被告の就職等に悪影響があるとは思わない。  本池市議 620万円についても企業が620万円をすべて支払ったのか?  今井総務部長 これについても承知していない。 ※無責任答弁。職務怠慢  本池市議 和解条項のなかに「原告は和解条項を尊重して市議会に報告し、市議会に対しても本和解条項の尊重を求めるものとする」という記載があり、公表しないでよいというものではない。  今井総務部長 「議会に対しても和解条項の尊重を求める」ということだが、市としてはそのへんのことは承知していない。 ※議会に報告するという和解条項を知らないということなら虚偽答弁ではないか。これを知らないはずがない。和解条項の内容を知らないということなら無責任。  三木副市長 市大の担当の副市長としてお答えする。議会に報告をして尊重を求めるということについては、和解の内容について議会に報告して尊重を求めるということなので、これを公表しないという和解の内容についても議会にご報告申し上げ、その尊重することを求めるということなので内容についてすべて公表する。そこを議会に報告しなさいということをいっているのではないということ、そういうふうなわれわれは理解をしている。 ※この三木副市長答弁は、市は「議会に報告する…の条項を知っていた」「知っていただけではなく、実質的にこの条項を理解したうえで、この条項を基に、極論すればこの条項に支配されて議会対応してきた」ということを示した。発言の意味が、市は和解内容を議会に「報告する」と理解していたのか、「報告しない」と理解していたのか、肝心な点が不明確だが、どちらにしろ今後に大きな問題を提起した発言である。  これまで再々述べてきたように、双方代理のような立場の荻野理事長が本来、市民に公表すべき事項まで秘密とする和解をした。そのうえ、実質的に市を制約する条項または和解通りの実行ができない条項を入れたという非常に問題のある和解である。特にこの条項が「報告しない」という趣旨で入れた条項なら、まさに議会制民主主義の否定を強いた和解であり、荻野理事長の責任は極めて重い。また、市大を監督指導する立場にある市が、この条項に何一つの問題も感じず、それどころかこの条項を金科玉条のように信じ、この条項に縛られた議会対応をしてきたというのは驚きであり、市の責任も重い。  長年にわたりこの問題の真相究明に取り組まれている本池市議に、これまでの問題点、取組への反省点、今後の見通しなどを聞き意見交換した。そのなかで、次のような市大の不誠実かつ不可解な対応が明らかになった。以下、本池市議の語ったところを要約すると「6月議会の一般質問は新総務部長の答弁なので少しは前進するかと期待したが、相変わらず他人事のような要領を得ない答弁だった。何人もの方たちから“あのような答弁で済ませていたら疑問点は何一つ解消されない”“何のための議会かわからない”などと怒りの声が多く寄せられ、私も叱責を受けた。市民代表の市会議員として市民の疑問に応えるためには、市大理事長と市大事務局長に直接会って話を聞くしかないと考え、砂原事務局長に会って、荻野理事長に面会したい旨要請した。しかし、いろいろなやりとりがあった後、結局面会は拒否された」ということであった。  荻野理事長が面会要請を受けて実際に面会したのなら面会までのやりとりはどうでも良いことで、市民にも関心はないことであろう。しかし、荻野理事長は面会を拒否した。その面会拒否は、市民目線で見て妥当なのか、市民が納得できるものなのか、市民の判断を仰ぐためにはどのような経過、やりとりを経たうえでの面会拒否なのかを市民に知ってもらう必要がある。このように考えて、本池市議に市大とのやりとりを詳しく聞いた。以下がそのやりとりの抜粋である。 6月28日 荻野理事長出張。砂原市大事務局長に荻野理事長と面会したいと要請。  本池 「6月議会の一般質問でも取り上げたが、要領を得ない答弁なので、大学としての考え方を確認したい。場合によっては9月議会において、再度取り上げることも考えている。荻野理事長に面会をお願いしたい。荻野理事長は当初からの当事者であり、現在の最高責任者だ」  砂原 「先日の総務部長の答弁と同じことしかないと思う」  本池 「あれではわからないからじかに聞きたい」  砂原「たしかに、今いるもののなかでは一番かかわってはいるが、部長がいったことと同じだというと思う」  本池「理事長本人に聞きたいことがある。事務局長さんには損害賠償金返済状況を答えてほしい。990万、620万5000円はどうか、利息と延滞金はどうかを」  砂原 「それも、総務部長がいったでしょう。私も詳しいことはよくわかりませんよ。もちろん議事録は読みましたよ」「聞くのは議員としてか、長周新聞としてか。違ってくるので」  本池 「議員としてだ」  砂原 「一応、理事長には話してみる。今日は出張なので、数日かかる。連絡先を教えてくれ」 7月3日 砂原事務局長から電話。  砂原 「総務部長が答弁しているので話すことはないので(理事長は)会う必要はないといっている。私も総務部長と同じだ。もう一度聞くが、取材なのか、議員としてなのか」。  本池 「答弁ではわからないからだ。議員としての立場で面会をお願いしている」  砂原 「また連絡させてもらう」  その後1週間近く経っても返事がないので電話した。  本池 「返事がないがどうなったのか」  砂原 「理事長は総務部長の答弁と同じだから会う必要はないといっている。何が聞きたいのか」  本池 「最終的に損害金がどうなったのかを聞きたい。あなたには990万と620万はどうなったのか聞きたい。理事長には一つは、和解条項を市に報告したのか、議会に報告したのかは聞きたい。そのほかも聞く」  砂原 「市出資法人の委員会が、今年は総務委員会でおこなわれるからそこで話になるのではないか。理事長も出席すると思う」  本池 「9月議会に取り上げるかもしれない。市大問題の総務委員会は10月だ」  砂原 「会わないといっているから」  本池 「その理由をちゃんと書いてもらいたい」  砂原 「わかった」  その後今日(7月25日時点)まで市大からの連絡はない。  このやりとりを見て、市民の皆さんはどのように思われたでしょうか。市会議員が多くの市民の声(市民が損害を被っているのではないか、市民の知る権利が阻害されているのではないか)を受けて、市政に対する市民の疑問を解消するために面会を要請した。特定の一個人や一団体の利害のために会いたいと言っているのではない。これに対して、砂原事務局長は市会議員としての立場での面会かと2度も確認した。また、面会での質問項目までも聞いた。そのうえでの面会拒否である。  しかも、次に述べるように全く理由にならない理由をつけてである。一般常識からすれば最低でも会って話をし、話を聞くのが普通ではなかろうか。また、面会要請に対して返事をしていない、再度本池市議から電話したあげくの面会拒否である。不誠実というより、むしろ失礼な対応だと思う。市大理事長や事務局長という立場から見ると、市会議員はその程度というように思っているのかなと思ってしまう。  本件に関して最も重要な点は、「総務部長答弁と同じだから」という、面会拒否の理由である。松崎・今井新旧総務部長はこれまで「和解内容、和解金額、回収額、完納時期などは市大は公表しないということなので知らない」と他人事のような答弁に終始してきている。これらの事項はこれまで再々述べてきたように、非公表とすることはできない事項があるにもかかわらずである。  荻野理事長は、損害発生の責任者の1人であり、この損害賠償請求事件を不透明にし、市民の疑惑解明の妨げになる秘密条項付きの和解をした当事者である。その当事者が、和解金額、回収額、完納時期などは知らないと言っているのである。損害発生責任者の一人であり、市大の最高責任者がこのような無責任な発言をすることに怒りさえ覚える。市民に対して申し訳ないという気持ちは微塵も無いようである。下関市民をバカにしていませんかと問いただしたくなる。  また、砂原事務局長の対応も問題である。面会要請に対して返事をしないというのも問題だが、最も問題なのは損害金の回収状況についてきちんと答えないことである。「総務部長回答と同じ」という考えられないような回答が平然とできるのも驚きである。しかも総務部長答弁の議事録を読んだうえでの回答というから二重の驚きである。  市大のナンバー1、ナンバー2がこのような状況である。  市民の皆さん、市大の対応に納得できたでしょうか。市大の対応を見ると、何かおかしい、全額回収できたというのは本当だろうか、何かを隠しているに違いないという思いを強くするばかりである。真実ほど強いものはない。何事にしろ、隠してだましてやり過ごそうとしても、結局、嘘はバレるものである。 まとめ  これまで述べたように本件は市大職員の不祥事と組織ぐるみとさえいえる不適正な事務処理が原因で発生した公金の損害賠償事件である。  損害発生に対しては厳しく問われて然るべきだが、回収については市及び市大が議会で誠実に答弁し、市民への説明責任を果たして「市民が納得できる形」で回収できれば、本来、それほど問題は生じない事件であった。  しかし、損害の発生から一連の議会審議を通じてわかったことは、市民に知らせるべきことが秘密にされ、そこに無理が生じたために、市は無責任な対応に終始し、責任ある行政、市民に信頼される行政とはとても言えない状況を呈してきた。和解以来、市大が一切表に出てこず、市のみが議会対応してきたことも、市、市大両者の無責任に拍車をかけたようである。  平成30年6月議会で一応、損害金は全額回収できたようだという答弁はあったが、回収金額は知らないという無責任答弁であった。今後に残された問題は多い。お金が回収できたというのだからと、この問題を終わりにしてはならない。今後、市議会での虚偽、誤魔化し無責任答弁を防ぐためにも、また市政の信頼回復のためにも次の事項の真相究明を図り、その責任の所在を明らかにしなければならない。  1 損害賠償金の回収について(990万円と620万5000円)  ①損害金の回収状況(年毎の回収額)と完納時期  ②遅延損害金額  ③上記①②について市は知らないと言ってきたが、本当に知らなかったのか。知らなかったとしたらその理由は?  2 和解について  「原告及び被告らは、本件和解内容を公表しないこととする。ただし、原告が市議会に報告する場合はこの限りではないが、原告は本和解条項の趣旨を尊重して市議会に報告し、市議会に対しても本和解条項の尊重を求める」(和解条項)  ①市大はなぜ秘密条項付きの和解をしたのか?  ②市大は和解することについて市と協議あるいは報告をしたのか、したのならいつしたのか?  ③市大は市に和解内容を報告しなかったのか?なぜか?(市は和解内容は知らないと答弁しているが)  ④市大は上記1の①②③(損害金の回収状況等)は秘密条項付きの和解で秘密にしなければならない事項と考えているのか? その理由は?  ⑤市は和解内容を市大に聞かなかったのか?聞いたが市大に拒否されたのか? 市は権限に基づいて市大に和解内容を聞かなかったのか?  ⑥市は訴訟記録を閲覧していないのか。閲覧したのなら、いつ閲覧したのか?  3 行政の信頼と議会審議の信頼を失墜させた市執行部発言の確認と責任の所在の明確化。市議会での虚偽答弁は許されない。  4 秘密条項付きの和解にも市議会に報告するという条項がある。  ・市大は如何なる理由でこの条項を入れたのか?  ・市はこの条項であることをいつ知ったのか?  ・市はこの条項をどのように解釈(理解)したのか?  以上の点については今後も究明し、行政の信頼の確保を図らなければならない。  本問題の真相究明と解決のためには、今後、荻野市大理事長が市民への説明責任を果たすことが最重要である。この問題の根源を知り、キーマンである荻野理事長が真実を話さないと、市民が納得する真相究明は難しい。もう逃げやいい加減な答弁、説明を許してはならない。  本件は江島元市長時代に損害が発生し、中尾前市長時代に損害賠償請求訴訟を起こし、和解した問題であるが、現在、前田市長がこの問題をどう解決に導くかが問われている。従前と変わらない対応を続けていると、結局、前田市長の責任となってしまう。前田市長にはリーダーシップを発揮して市民が納得できる解決を図ってほしい。また、市議会はチェック機能を働かせ、下関市議会の権威と各議員の名誉のためにも市民が納得する形での解決を図って欲しい。 報告書作成にあたって  報告書作成のため、各メンバーが資料を持ち寄ったが、その中で本池市議の一般質問(記事)が大変参考になった。本池市議は、この問題が発生した当初から市民の声を受けて真相究明に努力してこられた。おかしいことはおかしいと終始一貫ブレることなく、市民代表としての責任を全うしようと努力されてこられた。その信念と行動には共感するし、敬意を表したいと思う。今期で退かれるようですが、まだ時間があります。この問題を追及し続けて下さい。私どもも多くの市民の方たちと共にバックアップします。そして、失礼な言い方を許してもらえるなら、下関市政、下関市議会にはあなたのような「愚直」な議員が絶対に必要ですので、今後もあなたと同じように市民を第一に考える議員の育成に努められるよう期待しています。  なお、連載中から大きな反響があり、いろいろな意見が寄せられた。市大トイレ工事の損害賠償について、あるいはこの調査報告に関して、ご意見、ご感想、疑問点などがあったら是非お寄せ下さい。(おわり)
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