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「大学オンブズマン・龍谷大学経営学部李洙任先生を支援する全国連絡会」の呼びかけ文

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■大学オンブズマン  ∟●「龍谷大学経営学部李洙任先生を支援する全国連絡会」の呼びかけ文
「大学オンブズマン・龍谷大学経営学部李洙任先生を支援する全国連絡会」の呼びかけ文
2019年2月10日
 2019年1月11日、龍谷大学経営学部教授・李洙任先生は、京都地方裁判所に提訴されました。訴えの要点は後述の通りですが、この提訴は、大学運営の根幹である教授会運営のあり方、特にその民主的・合理的な審議、手続のあり方を問うものです。  いま日本の国公私立大学全般のガバナンスのあり方が問われています。李先生の裁判は、この「大学ガバナンス」を問うものであります。  「大学の自治」は「学問の自由」を制度化したものとされます。それは、市民から負託されたものであります。したがって、「大学の自治」は、大学人自らが大学の民主的・合理的運営を行なうことによってはじめて保障されるものです。  このようなことから、わたしたちは李先生の裁判を通じて、大学の民主的・合理的運営について問うていきたいと考え、ここに李洙任先生支援の全国連絡会の結成を呼びかけます。多くの方々に呼びかけ人としてご参加をお願いする次第です。 1.この間の経緯 1)2017年6月16日、経営学部の学生たちは、「専門演習」の数の少なさ・多様性のなさ等を理由に、要望書(訴え)を、多くの学生署名(327名)を添えて、学長、経営学部長、経営学部教授会構成員に対して提出しました。この事態は少人数教育を教学理念とする龍谷大学および経営学部の現在のあり方の問題を顕在化させました。  この事態は多くのテレビ、新聞等のマスコミによって報道され、一大学・一学部の問題を越えて社会問題化しました。大学関係者のみならず社会的な関心が高まりました。しかし、事態の改善は進まず、学生たちは教員有志とともに2017年10月30日、京都弁護士会の人権擁護委員会に人権救済申立を行いました。現在、予備調査を終え本調査が行われているところです。 2)こうした状況(「未ゼミ問題」)のもとで、李教授は数年にわたって、そして繰り返し「専門演習」の担当を教授会に対して正式に申し入れてきました。これに対し、前任および現在の経営学部長は、これを取り上げる(実質的審議に入る)ことなく、一貫して「門前払い」(排除)するための審議のみを続け、結果として李先生の「専門演習」担当の道を閉ざしました。  それは、終始一貫、「最初に結論ありき」の対応であり、次々と「拒否する」理由を作り出していくという、教務主任が主導する学部執行部の対応が問題の根幹にあると言えます。したがって、李先生お一人の教学権問題にとどまらず大学運営および大学教育のあり方を厳しく問う問題です。 3)この「門前払い」(排除)とはいったい何か。教員自らが教学上で積極的な提案や取り組みを行おうとしたのに対し、主たる担当科目が(龍谷大学における)「専門教育科目」であるか「教養教育科目」であるかの区別によってのみ、その実質的審議に入ることなく排除されることは許されることではありません。また、職務的優位(学部執行部)にあるものの行為としては明らかにパワーハラスメントにあたります。それは、審議決定過程において看過することのできない手続き的瑕疵が多く存在することによって明らかであります。  1991年のいわゆる「設置基準の大綱化」以降、各大学は「一般教育科目」と「専門教育科目」の区別を廃止する方向で取り組んできました。「一般教育科目」と「専門教育科目」の区別は「教育の質」を確保する上での「壁」あるいは「障害」であり、この「障害」を打ち破り積極的に全ての教員がトータルに学部教育にあたることが大学教育の大きな課題であると考えます。  そのようなもとで、李先生は1996年、経営学部への貢献と教養科目との融合に尽力する人材として採用されたと言えます。先生は、大学在学中は商学部で学士を取得し、アメリカの大学院で教育学博士を取得されました。異文化ビジネスコミュニケーション研究の経歴も考慮されての採用でした。  紹介すれば、日本学術会議の2012年に出された「大学教育の分野別質保証のための教育課程編成上の参照基準(経営学分野)」では、「社会洞察の一部としての経営学は単に専門科目としてのみならず一般教養科目としても位置づけられる」とし、また「経営学は教養科目の一つでもある」とさえ述べています。ここでは、「専門教育科目」と「一般教育科目」の区別を超克し、その統合を提案しているのです。 4)こうした「教育の質」の確保が喫緊の課題であるにもかかわらず、1)で述べたような実質的審議にも入らないで恣意的な「門前払い」(排除)の事態が生じたのです。このことは当該の経営学部長、教務主任および学部執行部による「権限の逸脱あるいは乱用」であると言わざるを得ません。 5)また、この事態を李先生は大学内のハラスメント委員会に訴えましたが、「各学部の教育課程の編成に関わる重要事項であり、各学部教授会において審議決定がなされる事項である」として申し立ては却下されました。李先生は、この結果に異議申し立てを行いましたが、監査委員会においても同様な結論になり、学長名での通知が李先生に対して行われました。「教授会の自治」の名によって、こうした「門前払い」(排除)の事態が容認されることは、大学の運営責任者としての学長のあり方も問わざるをえません。 6)李先生は学内での解決の道は閉ざされ、今回、やむなく提訴に踏み切られました。この事案は、旧態依然とした上記の「壁」を固定化するにとどまらず、より強固にしようとするものであります。そして、このことは学生の学習権の保障にとっても重大な「障害」となっています。冒頭で述べた学生の要望に応える意味でも、現行の学部教学のあり方(「壁」と「障害」)およびこの件についての大学執行部の関わり方は見直していかなければならないと李先生は考えられ、今回、提訴に踏み切られたのです。  以上のことは李先生お一人の問題にとどまらず、高等教育の「教育の質」の確保にもつながる課題であると同時に、現在の日本の大学をめぐる諸問題に危惧をいだいている市民の関心事でもあると考えます。わたしたちが、李洙任先生支援の全国連絡会の結成を呼びかけるのは、このような理由からであります。多くの方々にご参加をお願いする次第です。 2.訴状より(一部抜粋)―被告行為の違法性― 4 被告の行為の違法性 (1)教授会執行部として適正な審理・手続をとるべき義務の違反 ア 教授会の運営においては、民主的・合理的な審議、手続が行われなければならないことは当然の条理である。したがって、教授会執行部が、教授会の構成員に対し、民主的・合理的な審議、手続を確保せず、一方的な決定を行うに至った場合は、教授会執行部の教授会運営、決定自体が、適正な審理・手続をとるべき義務に違反したものとして、違法であると評価される。              ・・・・・・略・・・・・・ イ 本件においては、先に述べたとおり、被告教務主任による原告に専攻演習を開講させないことの理由説明は、内容を変遷させており、最初から原告に専攻演習を開講させないという結論ありきにて不合理な説明に終始したものといえる。 このように、理由の説明内容が変遷していること自体が、ありきの結論を導くために、本来考慮すべきでない点を後付にて考慮して結論を出そうとした他事考慮や、教授会審理における前提事実の重大な事実誤認を裏付けているといえる。 また、被告教務主任がこのような不合理な説明に終始してまで原告の要望をまともに審議しようとしなかったことからは、原告を学部内コースの専攻演習から排除し、かつ重大問題であるはずの未ゼミ問題を放置しようとする、不当目的があったことを推認することができる。 そして、被告前学部長・現学部長は、教授会の運営を取り仕切る学部長の立場にあったにもかかわらず、被告教務主任の不合理な説明内容を糺すことなく、むしろ被告教務主任の態度に同調し、未ゼミ問題解決のための原告からの提案・要望を教授会内でまともに審議しようとしなかった。 したがって、このような被告大学経営学部の教授会執行部の立場にあった被告教務主任及び被告前学部長・現学部長の行為は、教授会の運営において適正な審理・手続をとるべき義務に違反しており、違法である。 ・・・・・・略・・・・・・ 5 被告大学の不法行為・債務不履行責任 (1)使用者責任(民法715条1項) 被告大学は、被告教務主任及び被告前学部長・現学部長との間で労働契約を締結している使用者である。 したがって、被告大学は、上記述べた被告教務主任及び被告前学部長・現学部長の教授会執行部として適正な審理・手続をとるべき義務違反及びハラスメントによる違法行為に関し、使用者責任を負う。   (2)就業環境配慮義務違反 また、被告大学は、労働契約に付随する使用者の義務として、雇用する労働者に対し就業環境配慮義務を負う。その具体的内容として、被告大学の職場内にて違法行為やハラスメントが起きないように配慮すること、違法行為、ハラスメントが起きてしまった場合にそれが再発しないよう対策をとることの責任がある。 しかし、被告大学においては、現に被告教務主任及び被告前学部長・現学部長による原告に対する違法行為、ハラスメントが発生している。原告は、その点について被告大学に対し異議申立を行っているが、被告大学は未だ適切な対処を行っていない。 したがって、被告大学は、原告に対する就業環境配慮義務違反による債務不履行責任も生じている。 3.会の取り組み内容 1)裁判の内容を注視し、李先生の裁判を物心両面から支援する。 2)より多くの方々と問題の共有を行なうとともに問題解決に資する取り組みを行なう。 3)主な活動として、会合の適宜開催、裁判の傍聴、「会報」発行等の広報活動に取り組む。 4.呼びかけ人名簿(50音順)   2019年2月10日現在 <呼びかけ人> 青木雅生(三重大学人文学部准教授)、青水司(原発ゼロの会・摂津、千里丘<吹田>事務局長、元大阪経済大学教授)、浅野健一(同志社大学大学院教授<地位確認訴訟中>)、足立辰雄(元近畿大学教授)、姉崎洋一(北海道大学名誉教授)、石川康宏(神戸女学院大学教授)、伊地知紀子(大阪市立大学教授)、井手啓二(長崎大学名誉教授)、伊藤大一(大阪経済大学経済学部准教授)、井上千一(大阪人間科学大学教授)、井原聰(東北大学名誉教授)、上中良子(元京都橘大学教授)、碓井敏正(京都橘大学名誉教授)、岡崎昭彦(高西霊園管理委員会委員、NPO法人京都社会文化センター監事)、岡田直紀(京都大学准教授)、岡野八代(同志社大学教授)、岡山茂(早稲田大学政治経済学術院教授、大学評価学会代表理事)、片山一義(札幌学院大学教授)、角岡賢一(龍谷大学経営学部教授)、川口洋誉(愛知工業大学准教授)、桔川純子(明治大学兼任講師)、木戸衛一(大阪大学教員)、絹川浩敏(立命館大学経営学部教授)、清眞人(元近畿大学文芸学部教授)、後藤道夫(都留文科大学名誉教授)、國島弘行(創価大学経営学部教授)、黒田兼一(明治大学経営学部教授)、小林清治(大阪大学大学院人間科学研究科准教授)、駒込武(京都大学教授)、小山昌宏(筑紫女学園大学教授)、近藤宏一(立命館大学経営学部教授)、Sarah Kashani (京都大学助教)、齋藤敦(徳島文理大学教授)、桜井徹(国士舘大学経営学部教授)、重本直利(市民科学研究所事務局長、大学評価学会顧問)、篠原三郎(元日本福祉大学教授)、高木博史(岐阜経済大学教授)、高橋勉(岐阜経済大学教授)、竹内章郎(岐阜大学地域科学部教授)、田島朋子(大阪府立大学准教授)、田中仁(京都府立大学非常勤講師、京都歴史教育者協議会)、谷野隆(アジェンダ・プロジェクト)、津田道明(日本福祉大学教職員組合書記)、鄭雅英(立命館大学経営学部教授)、照井日出喜(奈良県立医科大学非常勤講師)、戸塚悦朗(弁護士)、殿平善彦(一乗寺住職)、富田道男(元京都府立大学教授)、永井康代(元大阪薫英女子短期大学講師)、中川秀一(明治大学教授)、中川慎二(関西学院大学教授)、中屋信彦(名古屋大学准教授)、中田光信(日本製鉄元徴用工裁判を支援する会)、中西新太郎(関東学院大学経営学部教授、横浜市立大学名誉教授)、中村共一(岐阜経済大学教授)、中村尚志(NPO法人JIPPO専務理事)、浪本勝年(立正大学名誉教授)、西垣順子(大学評価学会副代表理事)、馬頭忠治(鹿児島国際大学教授)、日永龍彦(山梨大学教授)、百田義治(駒澤大学教授)、平田厚志(龍谷大学名誉教授)、藤井幸之助(猪飼野セッパラム文庫主宰)、藤原隆信(筑紫女学園大学教授)、細井克彦(大阪市立大学名誉教授)、細川孝(龍谷大学教授)、堀雅晴(立命館大学教授)、眞島正臣(新分野マーケティング戦略研究所所長)、松尾匡(立命館大学経済学部教授)、三島倫八(龍谷大学名誉教授)、水野邦彦(北海学園大学教授)、三宅正伸(大阪経済法科大学客員教授)、光本滋(北海道大学准教授<教育学>)、宮崎昭(元九州国際大学教授)、村越雅雄(北海商科大学名誉教授)、村上了太(沖縄国際大学教授)、望月太郎(大阪大学大学院文学研究科教授)、守屋貴司(立命館大学教授)、由井浩(元龍谷大学経営学部教授)、米津直希(稚内北星学園大学准教授)、寄川条路(明治学院大学教授)、李順連(NPO法人丹波マンガン記念館事務局長)、渡部昭男(神戸大学教授)、渡辺峻(立命館大学名誉教授)。 以上84名

福岡教育大学不当労働行為救済命令取消請求事件、大学側が全面敗訴

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福岡教育大学の学長選を考える会  ∟●福岡教育大学不当労働行為救済命令取消請求事件、大学側が全面敗訴
福岡教育大学が国を相手に提訴した「福岡教育大学不当労働行為救済命令取消請求事件」の最高裁の判決言い渡しがあったようです。 教職員組合の掲示板に「速報」が出てありました。最高裁判所の判断は、「上告棄却」だそうです。 これで、寺尾愼一前学長と櫻井孝俊現学長が犯した「不当労働行為」が、司法の場でも改めて認定されたことになります。 もはや、櫻井氏が寺尾氏を解任の上、自らも潔く辞職する以外に道はないと思います。 両名に対し、「犯罪的行の重大性を」諭した上で、訴訟費用を負担の上、退職金も辞退するべきではないでしょうか。 福岡教育大学の経営協議会・学長選考会議は、即刻しかるべき対策を講じる義務があります! なお、福岡教育大学経営協議会学外委員・学長選考会議委員は、以下の皆さんです。  学校法人目白学園理事長(元文科官僚)  尾﨑春樹 氏  宗像市長(前福岡県議会議員・文教常任委員長)伊豆美沙子 氏  福岡県教育委員会教育長          城戸秀明 氏  福岡ECO動物海洋専門学校長       黒見義正 氏  株式会社ビスネット代表取締役     久留百合子 氏  学校法人博多学園理事長         八尋太郎 氏 教育関係者が多いことに驚かされます。 このうち、福岡県の城戸教育長は、福岡県労働委員会から「不当労働行為の救済命令」が出されてあったのを知ってあって、敢えて櫻井氏を学長に選んだ人です!!! 福桶県民に対して、寺尾氏・櫻井氏と。自身との関係の「透明性」をちゃんと説明する義務があります!!! 宗像市長の伊豆さんも、いったいどう思ってあるのでしょうか?この程度のこと問題ない??? 福岡県民の皆さん、はどう思ってあるのでしょうか?! もうわれわれは、うんざりです。 こんなことで日本の教育、福岡県の教育は大丈夫でしょうか? この件、さらに緊急取材を続けて続報をお届けする予定です。

大学オンブズマン、龍谷大学経営学部李洙任先生を支援する全国連絡会通信NO.1

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大学オンブズマン  ∟●龍谷大学経営学部李洙任先生を支援する全国連絡会通信NO.1
 京都では梅の季節を迎え、春がすぐそこに来ているのが感じられます。「全国連通信NO.1」をお届けいたします。先月16日以降の短期間ではありましたが、84名の方が呼びかけ人としてご参加いただきました。大学の自治(ガバナンス)のあり方を争点・論点とした今回の李先生の提訴が投げかける意味を受けとめていただいたものと思います。このことは、本「通信」で掲載しました「寄せられたメッセージ」にも表れています。今後、支援の輪を一層広げ、大学運営の合理性・民主性に資する活動を進めていきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
2019年2月13日 大学オンブズマン理事会
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「大学オンブズマン・龍谷大学経営学部李洙任先生を支援する全国連絡会」の呼びかけ文
2019年2月10日
 2019年1月11日、龍谷大学経営学部教授・李洙任先生は、京都地方裁判所に提訴されました。訴えの要点は後述の通りですが、この提訴は、大学運営の根幹である教授会運営のあり方、特にその民主的・合理的な審議、手続のあり方を問うものです。  いま日本の国公私立大学全般のガバナンスのあり方が問われています。李先生の裁判は、この「大学ガバナンス」を問うものであります。  「大学の自治」は「学問の自由」を制度化したものとされます。それは、市民から負託されたものであります。したがって、「大学の自治」は、大学人自らが大学の民主的・合理的運営を行なうことによってはじめて保障されるものです。  このようなことから、わたしたちは李先生の裁判を通じて、大学の民主的・合理的運営について問うていきたいと考え、ここに李洙任先生支援の全国連絡会の結成を呼びかけます。多くの方々に呼びかけ人としてご参加をお願いする次第です。 1.この間の経緯 1)2017年6月16日、経営学部の学生たちは、「専門演習」の数の少なさ・多様性のなさ等を理由に、要望書(訴え)を、多くの学生署名(327名)を添えて、学長、経営学部長、経営学部教授会構成員に対して提出しました。この事態は少人数教育を教学理念とする龍谷大学および経営学部の現在のあり方の問題を顕在化させました。 この事態は多くのテレビ、新聞等のマスコミによって報道され、一大学・一学部の問題を越えて社会問題化しました。大学関係者のみならず社会的な関心が高まりました。しかし、事態の改善は進まず、学生たちは教員有志とともに2017年10月30日、京都弁護士会の人権擁護委員会に人権救済申立を行いました。現在、予備調査を終え本調査が行われているところです。 2)こうした状況(「未ゼミ問題」)のもとで、李教授は数年にわたって、そして繰り返し「専門演習」の担当を教授会に対して正式に申し入れてきました。これに対し、前任および現在の経営学部長は、これを取り上げる(実質的審議に入る)ことなく、一貫して「門前払い」(排除)するための審議のみを続け、結果として李先生の「専門演習」担当の道を閉ざしました。 それは、終始一貫、「最初に結論ありき」の対応であり、次々と「拒否する」理由を作り出していくという、教務主任が主導する学部執行部の対応が問題の根幹にあると言えます。したがって、李先生お一人の教学権問題にとどまらず大学運営および大学教育のあり方を厳しく問う問題です。 3)この「門前払い」(排除)とはいったい何か。教員自らが教学上で積極的な提案や取り組みを行おうとしたのに対し、主たる担当科目が(龍谷大学における)「専門教育科目」であるか「教養教育科目」であるかの区別によってのみ、その実質的審議に入ることなく排除されることは許されることではありません。また、職務的優位(学部執行部)にあるものの行為としては明らかにパワーハラスメントにあたります。それは、審議決定過程において看過することのできない手続き的瑕疵が多く存在することによって明らかであります。 1991年のいわゆる「設置基準の大綱化」以降、各大学は「一般教育科目」と「専門教育科目」の区別を廃止する方向で取り組んできました。「一般教育科目」と「専門教育科目」の区別は「教育の質」を確保する上での「壁」あるいは「障害」であり、この「障害」を打ち破り積極的に全ての教員がトータルに学部教育にあたることが大学教育の大きな課題であると考えます。 そのようなもとで、李先生は1996年、経営学部への貢献と教養科目との融合に尽力する人材として採用されたと言えます。先生は、大学在学中は商学部で学士を取得し、アメリカの大学院で教育学博士を取得されました。異文化ビジネスコミュニケーション研究の経歴も考慮されての採用でした。 紹介すれば、日本学術会議の2012年に出された「大学教育の分野別質保証のための教育課程編成上の参照基準(経営学分野)」では、「社会洞察の一部としての経営学は単に専門科目としてのみならず一般教養科目としても位置づけられる」とし、また「経営学は教養科目の一つでもある」とさえ述べています。ここでは、「専門教育科目」と「一般教育科目」の区別を超克し、その統合を提案しているのです。 4)こうした「教育の質」の確保が喫緊の課題であるにもかかわらず、1)で述べたような実質的審議にも入らないで恣意的な「門前払い」(排除)の事態が生じたのです。このことは当該の経営学部長、教務主任および学部執行部による「権限の逸脱あるいは乱用」であると言わざるを得ません。 5)また、この事態を李先生は大学内のハラスメント委員会に訴えましたが、「各学部の教育課程の編成に関わる重要事項であり、各学部教授会において審議決定がなされる事項である」として申し立ては却下されました。李先生は、この結果に異議申し立てを行いましたが、監査委員会においても同様な結論になり、学長名での通知が李先生に対して行われました。「教授会の自治」の名によって、こうした「門前払い」(排除)の事態が容認されることは、大学の運営責任者としての学長のあり方も問わざるをえません。 6)李先生は学内での解決の道は閉ざされ、今回、やむなく提訴に踏み切られました。この事案は、旧態依然とした上記の「壁」を固定化するにとどまらず、より強固にしようとするものであります。そして、このことは学生の学習権の保障にとっても重大な「障害」となっています。冒頭で述べた学生の要望に応える意味でも、現行の学部教学のあり方(「壁」と「障害」)およびこの件についての大学執行部の関わり方は見直していかなければならないと李先生は考えられ、今回、提訴に踏み切られたのです。 以上のことは李先生お一人の問題にとどまらず、高等教育の「教育の質」の確保にもつながる課題であると同時に、現在の日本の大学をめぐる諸問題に危惧をいだいている市民の関心事でもあると考えます。わたしたちが、李洙任先生支援の全国連絡会の結成を呼びかけるのは、このような理由からであります。多くの方々にご参加をお願いする次第です。 2.訴状より(一部抜粋)―被告行為の違法性― 4 被告の行為の違法性 (1)教授会執行部として適正な審理・手続をとるべき義務の違反 ア 教授会の運営においては、民主的・合理的な審議、手続が行われなければならないことは当然の条理である。したがって、教授会執行部が、教授会の構成員に対し、民主的・合理的な審議、手続を確保せず、一方的な決定を行うに至った場合は、教授会執行部の教授会運営、決定自体が、適正な審理・手続をとるべき義務に違反したものとして、違法であると評価される。              ・・・・・・略・・・・・・ イ 本件においては、先に述べたとおり、被告教務主任による原告に専攻演習を開講させないことの理由説明は、内容を変遷させており、最初から原告に専攻演習を開講させないという結論ありきにて不合理な説明に終始したものといえる。 このように、理由の説明内容が変遷していること自体が、ありきの結論を導くために、本来考慮すべきでない点を後付にて考慮して結論を出そうとした他事考慮や、教授会審理における前提事実の重大な事実誤認を裏付けているといえる。 また、被告教務主任がこのような不合理な説明に終始してまで原告の要望をまともに審議しようとしなかったことからは、原告を学部内コースの専攻演習から排除し、かつ重大問題であるはずの未ゼミ問題を放置しようとする、不当目的があったことを推認することができる。 そして、被告前学部長・現学部長は、教授会の運営を取り仕切る学部長の立場にあったにもかかわらず、被告教務主任の不合理な説明内容を糺すことなく、むしろ被告教務主任の態度に同調し、未ゼミ問題解決のための原告からの提案・要望を教授会内でまともに審議しようとしなかった。 したがって、このような被告大学経営学部の教授会執行部の立場にあった被告教務主任及び被告前学部長・現学部長の行為は、教授会の運営において適正な審理・手続をとるべき義務に違反しており、違法である。 ・・・・・・略・・・・・・ 5 被告大学の不法行為・債務不履行責任 (1)使用者責任(民法715条1項) 被告大学は、被告教務主任及び被告前学部長・現学部長との間で労働契約を締結している使用者である。 したがって、被告大学は、上記述べた被告教務主任及び被告前学部長・現学部長の教授会執行部として適正な審理・手続をとるべき義務違反及びハラスメントによる違法行為に関し、使用者責任を負う。 12(2)就業環境配慮義務違反 、被告大学は、労働契約に付随する使用者の義務として、雇用する労働者に対し就業環境配慮義務を負う。その具体的内容として、被告大学の職場内にて違法行為やハラスメントが起きないように配慮すること、違法行為、ハラスメントが起きてしまった場合にそれが再発しないよう対策をとることの責任がある。 しかし、被告大学においては、現に被告教務主任及び被告前学部長・現学部長による原告に対する違法行為、ハラスメントが発生している。原告は、その点について被告大学に対し異議申立を行っているが、被告大学は未だ適切な対処を行っていない。 したがって、被告大学は、原告に対する就業環境配慮義務違反による債務不履行責任も生じている。 3.会の取り組み内容 1)裁判の内容を注視し、李先生の裁判を物心両面から支援する。 2)より多くの方々と問題の共有を行なうとともに問題解決に資する取り組みを行なう。 3)主な活動として、会合の適宜開催、裁判の傍聴、「会報」発行等の広報活動に取り組む。 ******************************************** 呼びかけ人名簿(50音順) <2019年2月10日現在、一次分84名> 青木雅生(三重大学人文学部准教授)、青水司(原発ゼロの会・摂津、千里丘<吹田>事務局長、元大阪経済大学教授)、浅野健一(同志社大学大学院教授<地位確認訴訟中>)、足立辰雄(元近畿大学教授)、姉崎洋一(北海道大学名誉教授)、石川康宏(神戸女学院大学教授)、伊地知紀子(大阪市立大学教授)、井手啓二(長崎大学名誉教授)、伊藤大一(大阪経済大学経済学部准教授)、井上千一(大阪人間科学大学教授)、井原聰(東北大学名誉教授)、上中良子(元京都橘大学教授)、碓井敏正(京都橘大学名誉教授)、岡崎昭彦(高西霊園管理委員会委員、NPO法人京都社会文化センター監事)、岡田直紀(京都大学准教授)、岡野八代(同志社大学教授)、岡山茂(早稲田大学政治経済学術院教授、大学評価学会代表理事)、片山一義(札幌学院大学教授)、角岡賢一(龍谷大学経営学部教授)、川口洋誉(愛知工業大学准教授)、桔川純子(明治大学兼任講師)、木戸衛一(大阪大学教員)、絹川浩敏(立命館大学経営学部教授)、清眞人(元近畿大学文芸学部教授)、後藤道夫(都留文科大学名誉教授)、國島弘行(創価大学経営学部教授)、黒田兼一(明治大学経営学部教授)、小林清治(大阪大学大学院人間科学研究科准教授)、駒込武(京都大学教授)、小山昌宏(筑紫女学園大学教授)、近藤宏一(立命館大学経営学部教授)、Sarah Kashani (京都大学助教)、齋藤敦(徳島文理大学教授)、桜井徹(国士舘大学経営学部教授)、重本直利(市民科学研究所事務局長、大学評価学会顧問)、篠原三郎(元日本福祉大学教授)、高木博史(岐阜経済大学教授)、高橋勉(岐阜経済大学教授)、竹内章郎(岐阜大学地域科学部教授)、田島朋子(大阪府立大学准教授)、田中仁(京都府立大学非常勤講師、京都歴史教育者協議会)、谷野隆(アジェンダ・プロジェクト)、津田道明(日本福祉大学教職員組合書記)、鄭雅英(立命館大学経営学部教授)、照井日出喜(奈良県立医科大学非常勤講師)、戸塚悦朗(弁護士)、殿平善彦(一乗寺住職)、富田道男(元京都府立大学教授)、永井康代(元大阪薫英女子短期大学講師)、中川秀一(明治大学教授)、中川慎二(関西学院大学教授)、中屋信彦(名古屋大学准教授)、中田光信(日本製鉄元徴用工裁判を支援する会)、中西新太郎(関東学院大学経営学部教授、横浜市立大学名誉教授)、中村共一(岐阜経済大学教授)、中村尚志(NPO法人JIPPO専務理事)、浪本勝年(立正大学名誉教授)、西垣順子(大学評価学会副代表理事)、馬頭忠治(鹿児島国際大学教授)、日永龍彦(山梨大学教授)、百田義治(駒澤大学教授)、平田厚志(龍谷大学名誉教授)、藤井幸之助(猪飼野セッパラム文庫主宰)、藤原隆信(筑紫女学園大学教授)、細井克彦(大阪市立大学名誉教授)、細川孝(龍谷大学教授)、堀雅晴(立命館大学教授)、眞島正臣(新分野マーケティング戦略研究所所長)、松尾匡(立命館大学経済学部教授)、三島倫八(龍谷大学名誉教授)、水野邦彦(北海学園大学教授)、三宅正伸(大阪経済法科大学客員教授)、光本滋(北海道大学准教授<教育学>)、宮崎昭(元九州国際大学教授)、村越雅雄(北海商科大学名誉教授)、村上了太(沖縄国際大学教授)、望月太郎(大阪大学大学院文学研究科教授)、守屋貴司(立命館大学教授)、由井浩(元龍谷大学経営学部教授)、米津直希(稚内北星学園大学准教授)、寄川条路(明治学院大学教授)、李順連(NPO法人丹波マンガン記念館事務局長)、渡部昭男(神戸大学教授)、渡辺峻(立命館大学名誉教授)。 以上84名 ############################################
全国連事務局に寄せられたメッセージ(その1)  (2019年2月12日現在)
お送りいただいたメール、添付文書拝見しました。一読後、「龍谷大学経営学部たるものが!」ということが、率直な感想です。大学の在り方を社会的に問う、という意味ではたいへん重要な取り組みだと思います。呼びかけ人に加わるのは異議ありません。 寒中お見舞い申し上げます。また、お返事が遅くなったこと、申し訳ありません。書類を読ませていただきました。未ゼミ問題に端を発している問題で学生の学習権保障のために必要な取り組みであろうと思います。龍谷大に限らず他大学でも同様の問題が生じていることは聞いていますので、重要な問題提起になるものと思います。はなはだ力不足であるとは思いますが、呼びかけ人の一人として参加できればと思います。よろしくお願いいたします。 ご連絡ありがとうございました。また、有益な資料もありがたいです。李洙任先生が京都地方裁判所に提訴された件での「呼びかけ人」を喜んで引き受けます。大変光栄です。 ご苦労さまです。送っていただいた資料ざっと拝読しました。呼びかけ人の件、承知いたしました。自治原則にもとづく職務の適正配置にたいする学部長らの妨害と受けとりました。実質はパワハラですね。 返信遅くなり失礼いたしました。丁寧なご依頼とご説明ありがとうございます。「大学および教授会の自治」のあり方を問う極めて重要な訴えと思います。「呼びかけ人」に是非参加させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 先生方のお働きが社会にも大きなインパクトを与えることを・与えることができることを願っております。2月2日にもできるだけ都合をつけて参加したいと思います。 委細、了解しました。私でよければ呼びかけ人になります。K大学でも、懲戒処分がこの2年で7件、うち1件が懲戒解雇、3件が降格処分です。すべてが裁判に入っています。K大学教員組合の執行委員として、微力ながらこの問題に取り組んでいますが、中々、困難です。 李先生の訴訟については私も京都新聞の報道その他で知りました。訴訟の趣旨については添付していただいた呼びかけ文によってさらによく理解できました。陰ながら応援をと思っておりましたところ、このような呼びかけ人に加わるという形で少しでもお役にたてるならば光栄に思います。 龍谷大学でも起こりましたか。それも教育課程そのものに係る事例であり、残念です。これからも全国的にこのような裁判が起こるかもしれませんね。大学(理事、教員)の劣化が進んでいるようです。私でよければ、「呼びかけ人」に連ねてもらって結構です。 李洙任先生は存じておりますが、このような状況になっているとは知りませんでした。私も呼びかけ人に加えてください。 今回の件、私もネットニュースを介して知りました。学部執行部はなにが嫌なんだろう?と不思議に思っておりました。今回の裁判は、手続き論的なところが論点になりがちですが、そういったところも明らかになるといいなと思っております。 お声かけありがとうございます。「自治」を争点とした裁判闘争は容易なものではないと思いますが、ご尽力をされる方々に頭が下がります。李先生のお訴えが実現するとともに、学校教育法改正後の法解釈に希望が持てる判決が出されることを強く願っております。ぜひ私も呼びかけ人に名前をあげてください。なかなかお手伝いできることは多くないかと思いますが、呼びかけの体制が整いましたら、積極的にカクサンいたします。チラシデータお送りください。 昨夜のご連絡をおどろきつつ拝掌いたしました。龍谷大学経営学部の李洙任教授の一件にかんして、私ごときでよろしいのでしたら「呼びかけ人」に名前をお入れくださってけっこうです。 今回の事件は、経営学部の教授会だけでなく理事会の経営責任も大きく問われるので、全学の共通の関心事項に引き上げるべきではありませんか。組合の果たす役割は大きいと思います。 この裁判、わたしも注目しておりました。呼びかけ人に加わりたいと思います。 「未ゼミ問題」とかあったんですね。知りませんでした。呼びかけ人にしてください。 龍谷大学の経営学部で未ゼミが深刻であるというニュースは、以前から知っていましたが、なぜそのような問題が起こるのか、原因は詳しく存じませんでした。  資料から、教授会の私物化を狙う者が、職務権限を悪用して、教員人事採用を凍結し、彼らの抵抗勢力が退職などでいなくなってから自分達に都合の良い恣意的な人事を進めようとしている、そのあたりが真相でしょうか。  当方は、現在、K大学の賃金不払い事件の3人の原告の一人で、K大学教職員組合の顧問です。そういう立場でよろしければ、呼びかけ人のご依頼をお受けします。 メールを頂戴いたしまして、有り難うございます。活動ご苦労様です。微力ですが、私も加わらせてください。どうぞよろしくお願いいたします。名前を出していただいてかまいません。私がすべきことをおっしゃっていただけましたら、させていただきたいと思います。ご指導お願いいたします。 ご連絡いただきました、李教授を支援する件、喜んで呼びかけ人に名前を連ねさせていただきたく存じます。この度の李先生を支援する「呼びかけ文」精読しました。経営学部のみならず、龍谷大学全体に多くの課題が山積していることはご指摘の通りで、李先生はそうした諸問題に風穴をこじ開けるべく、果敢に立ち上がられたことに敬意を表しますとともに、老いぼれの小生ではありますが、お役にたてるのであれば、是非支援したいと思います。 「呼びかけ人」の件、承知いたしました(力にはならないと思いますが・・・)。こうした問題の場合、とりわけ当事者は、膨大な時間を費やすとともに、大変なストレスとも戦わなければならないでしょうから、勇気と忍耐とを要することと推察しております。 何故、学部教授会が専門ゼミを持たせないのか、やはり、その理由が見えてきません。だれかが持ってもらえればいいと言えば、済むような問題だと思えてならないのですが…。 最近は大学の経営者が文科省に忖度する姿勢が強まっているようで気になります。学生の方も大学を就職のための手段と割り切っている者が大半で、ゼミの単位が卒業に必修でなくなっていることにも問題があると思います。その背景には大学本来の真理の探究、教養ある専門家の育成と言った目標が失われつつあり、日本の高等教育の将来像が描けないことが本質的な問題であろうと感じます。 先生の行動はそれに対する問題提起として賞賛に値しますが、先生が活動するだけでなく学生自身にこの問題を考えさせ、彼らの行動とさせることが必要ではないかと思います。安田講堂事件からちょうど半世紀になりますが、学生運動では行かないレベルで学生自らが学習し行動するようにし向けることが社会の現状を考えさせる教育になるのではないかと思います。 外部からですが若干コメントさせて頂きます。私が大学に在籍したのは半世紀前で、将に安田講堂事件があった時でしたが、大学のあり方を教官を含めて真剣に議論したことが有意義な思い出と同時に現在に至る研究活動のモチベーションになっています。昨年の11月にシンポジウム参加のために東洋大学を訪問したのですが、「文部科学省 スーパーグローバル大学創生支援採択」の宣伝を見て考えさせられました。戦前の文部省が大学自治に介入したことで有名な事例として挙げられる「哲学館事件」の当事者の大学が、文部省の後継官庁である文科省の支援を宣伝文句に使っていたからです。大学が学生の就職に有利なことを通じてビジネス的に成功することを目指すのであれば、資格教育を行う専門学校や業界団体が行う各種講習会と同じような役割で、学問の自由、研究の自由、大学の自治などはおそらく不要です。大学教員であることは、日本の高等教育に関わっている関係者・責任者として最低限そのような問題を自ら考えると共に学生に考えさせることが任務であろうと思います。その点に関して李先生は立派に任務を果たされていると思い、私も署名に加えさせて頂きましたが、このような活動を通じて多くの人が大学を中心とする高等教育の任務を考えることが必要と思います。以上、ご参考になれば幸いです。 私はゼミを通して人格的な陶冶があったと思っています。講義と違いゼミは教員と学生との距離が近いことが重要です。また、私自身が龍谷大学で学んだ時期に大きな意味があったと感じています。それは、自治が機能していたからこその学風だったと思います。ぜひ応援しなければと思います。 第1回公判 3月11日(月)13:00から、京都地方裁判所208号法廷です。 多くの方の傍聴をお願いいたします。12:50に裁判所1階玄関 内ロビー集合。裁判所は丸太町通り柳馬場東入る(御所南隣)

札幌大学特任准教授による地位確認および未払い賃金請求訴訟、札幌地裁不当判決(2019年2月13日)

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札幌地裁判決に対する教職員組合の声明
「札幌大学特任准教授による地位確認および未払い賃金請求訴訟」 札幌地裁判決に対する教職員組合の声明
2019年2月13日
1.札幌大学教職員組合が本裁判を支援し続けてきた理由  札幌大学教職員組合は、訴訟準備の段階から、本裁判を支援し続けてきました。その理由として、以下の3点が挙げられます。  第一に、学校法人札幌大学(以下「法人」と略称)は、労働契約法等の改正に伴い、一定期間(10年)継続して勤めれば無期雇用へと転換を望めるとする規定を逆手にとって、その一定期間(9年)内でしか有期雇用契約は継続できないとの内規まで設けました。一定期間間近になれば直前で雇い止めされることが考えられるため、労働契約法は、継続雇用の期待があってしかるべき場合には、その期待権を保障するという形にまでなっています。にもかかわらず、こうした点を全く無視するということは、有期雇用契約の教職員を好き勝手に雇い止めできることになります。その根底には彼ら有期雇用の教職員に対する軽視があり、労働者の団体である教職員組合としては、本裁判の支援を通じて、そうした法人の有期雇用職員への態度の是正を求めたいという考えがありました。  第二に、現在の日本の大学では、無期雇用の専任教員だけでなく、特任教員、助教や非常勤講師のような様々な有期雇用の教員も大学教育を支える重要な担い手となっています。にもかかわらず、法人が有期雇用の教員を単なる目先の「調整弁」としてのみ考え、彼らの待遇を変化させるような近視眼的な大学経営は、中長期的な継続性が求められる大学教育の維持・向上を難しくし、本学の存続すらあやうくなり、この大学で働く全ての教職員の労働環境の悪化を招くことになります。この点からも、職場の労働環境の維持・向上を守ることを使命とする教職員組合が、本訴訟を支援するのは当然といえるでしょう。  第三に、大学の人事は、カリキュラムを通して学生に良質な教育を供給するという、大学の本質に関わることです。それが研究や教育の業績ではなく、単に縁故があるとか、友人関係であるからで左右されてはならないはずです。だからこそ、大学には教員採用のための詳細な規則が定められています。そうした規則に照らしてみても、原告には何の問題も無く、むしろ積極的に招聘すべき人材です。こうした状況を無視して雇い止めすることは、本学全体の評価を下げることになり、本学のこれからの発展にも大きく影響するでしょう。こうした法人の恣意的かつ独裁的な経営姿勢は、教職員や学生、卒業生など札幌大学に関わる全ての人々に対する背信行為です。教職員組合として到底容認することはできません。   2.法人に対する組合見解  本裁判で明らかになったのは、自分たち内部の都合でしか考えない、法人執行部による大学の私物化でした。しかし、50年以上も続く札幌大学を支えてきたのは、現場で働き、大学教育を支えてきた全ての教職員一人一人です。裁判を契機に、法人は大学で働く教職員の労働環境を悪化・破壊してきたという根本的な問題を直視し、労使が協力してこの問題と誠実に向き合い、全教職員が働きやすい労働環境を作っていくことこそが、本学再生の道です。  また、本裁判を通じて明らかとなった理事らによる一連の行為は、大学を私物化する無責任なものであり、到底学校法人の経営責任を負う者とは言えません。理事長をはじめとする理事会には猛省を求めます。 以上

札大元准教授の請求棄却、雇い止め訴訟で札幌地裁

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北海道新聞(2019/02/14)
 札幌大に雇い止めされたとして、元特任准教授の女性(45)が同大を相手取り、解雇の無効などを求めた訴訟の判決で、札幌地裁(武部知子裁判長)は13日、原告側の請求を棄却した。原告側は控訴する方針。  判決によると、女性は2010年度にロシア語担当の特任教員となり、1年ごとに契約を更新。大学側は15年度の契約更新時に「17年度以降の雇用を保証しない」との条項を契約書に加え、17年2月、3月末で契約を打ち切ると通知した。  労働契約法は、有期労働者が契約更新を期待することに合理的理由がある場合、使用者は更新を拒めないと定める。原告側は、同大が14年2月に特任教員の雇用期間の上限を5年から9年に延長したことなどから「合理的理由があった」と主張していた。

団交拒否を巡り、淑徳大の請求棄却 東京地裁

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朝日新聞(2019年2月22日)
 淑徳大(千葉)が、解雇対象の元教授らがつくった労働組合との団体交渉拒否を不当労働行為だと認定した中央労働委員会の命令の取り消しを求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。春名茂裁判長は「(教授らの労組は)労働組合法に適合する」として請求を棄却した。元教授らは今後、解雇撤回を求める団体交渉を申し入ログイン前の続きれるという。  淑徳大は2017年3月に国際コミュニケーション学部を廃止。この際、希望退職募集に応じなかった教授3人が労組をつくって雇用の維持などを求めたが、大学側は拒否。東京都労働委員会が16年11月に団体交渉の拒否などの不当労働行為を認定して交渉に応じるよう命令し、中労委も17年10月に都労委の命令の履行を促す決定をしたが、大学側は「法に適合する組合ではない」として提訴していた。  淑徳大は「控訴も含めて検討していく」としている。

東京私大教連、淑徳大学不当労働行為救済命令取消訴訟の東京地裁判決に関する声明

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■東京私大教連
淑徳大学不当労働行為救済命令取消訴訟の東京地裁判決に関する声明
 2019年2月21日、東京地方裁判所は 学校法人大乗淑徳学園(以下、学園)が国を被告として提訴していた不当労働行為救済命令取消請求訴訟(平成 29 年 (行ウ) 第 505 号)について、中央労働委員会(以下、中労委)が出した不当労働行為救済命令の正当性を全面的に認める判決を出しました。この行政訴訟で争われた学園の不当労働行為は、以下の内容です。  淑徳大学教職員組合(以下、組合)は、淑徳大学国際コミュニケーション学部の募集停止 (2017年3月学部廃止)を理由に、同学部教員に対して解雇が予告された事態を受けて 2015年3月に結成され、東京地区私立大学教職員組合連合(以下、東京私大教連)に加盟しました。しかし組合に対し、学園は以下のような異常な不当労働行為を繰り返しました。  (1)学園は、大学構内での組合活動は就業規則違反であるとして一律に禁止する通知を組合に発し 、違反した場合の懲戒処分を示唆しました。また、東京私大教連が組合に送付した郵便物の取次ぎを拒否し、これを返送あるいは組合委員長の自宅に着払いで転送するなど、組合と東京私大教連との円滑な連絡を妨害する行為を繰り返しました。さらに 団交申し入れ等の日常の連絡も、文書郵送以外は認めないとするなど、異常な組合否認 にもとづく支配介入を続けました。  (2)学園は、組合の団交申し入れに対し、当初 「場所は学外、時間は1時間、出席者は 3 名程度 、録音は禁止」 等とする一方的な開催条件に固執し、組合がこれに従わない限り交渉を行わないとする団交拒否を行いました。その後、場所は学内とするものの出席者は学内の者に限るなどの、組合が受け入れられない条件に固執しました。その結果、組合結成以来一度も団交が開催されていません。  東京都労働委員会(以下、都労委)は 2016年11月に学園に対して、不当労働行為を直ちに止め、団体交渉に応じるよう命令を交付しました。学園はこの命令を不服として、再審査申立を行いましたが、中労委も2017年10月に、学園に対して都労委命令を履行せよとの命令を交付しました。そして学園がこの中労委命令を不服として訴訟を起こした今回の取消請求訴訟において、東京地方裁判所は中労委命令の正当性を認定したのです 。  また、今回の行政訴訟判決とならんで、東京地方裁判所は学園に対し、2017年3月に淑徳大学を解雇された三教員の経済生活上・社会生活上の窮状を鑑みて 、直ちに都労委命令を履行し 、組合に対する支配介入を止めて団体交渉に応じるよう、緊急命令を交付しました。三教員の解雇から、すでに二年以上が経過しています。三教員の速やかな救済のために、私た ちは学園に対し控訴することなく、また東京地方裁判所の緊急命令に従うことを要求します。また、解雇された組合員の解雇撤回と、大学教員としての雇用継続を強く求めるものです。
2019 年 2 月 21 日 東京地区私立大学教職員組合連合 淑徳、大学教職員組合

岡山短大解雇事件、大学は最高裁の解雇無効判決にもかかわらず職場復帰を拒否

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現在ビジネス  ∟●突然教員を辞めさせられた、視覚障害をもつ准教授の嘆き(田中圭太郎)
突然教員を辞めさせられた、視覚障害をもつ准教授の嘆き 最高裁判所の判決にもかかわらず…
岡山短期大学幼児教育学科の准教授が、2016年3月、視覚障害を理由に「指導能力がない」と教職を外された。准教授は教職への復帰を訴えたが、岡山短大はこれを認めず法廷闘争に発展。18年11月、職務変更を無効とする判決が最高裁で確定し、准教授が勝訴した。 ところが19年1月、岡山短大は准教授の教職復帰を引き続き認めず、事務職として働かせる決定をした。表向きの理由は「授業の担当教員の変更」と説明し、障害が理由ではないという。しかし、その背景に浮かび上がるのは、准教授への差別だ。問題の経緯と、現状を取材した。 岡山短大による職務変更命令は「不法行為」 「教員能力が欠如しているとして授業を外されましたが、裁判所は職務変更が無効だと判断してくれました。にもかかわらず、今年4月以降も私は授業を担当できないのです。私は大学に謝ってほしいわけではありません。以前のように教壇に戻してほしい、ただそれだけです」 教職への復帰を訴えているのは、岡山短大幼児教育学科の山口雪子准教授(54)。遺伝性の網膜色素変性症を患いながら、博士号を取得後、1999年に講師として採用され、2007に准教授になった。自然の中での遊びや科学遊びなどを通して、幼児の好奇心を引き出しながら教育を実践する「環境(保育内容)」の科目を専門にしている。 山口さんが岡山短大で講師をするようになったのは、博士課程を学んだ岡山大学資源生物科学研究所(現在は資源植物科学研究所)の教授からの紹介がきっかけだった。「短大なら視覚障害があっても安心して勤められるだろう」と紹介されたのだ。 山口さんの視力は0.2ほどあるものの、網膜色素変性症は視野が徐々に狭くなる病気だ。「映画館のスクリーンが徐々になくなっていく感じ」と山口さんは説明する。暗いところで物が見えなくなる夜盲も起きる。 罹患していることがわかったのは、小学校の入学前検診の時。兄も同じ病気だったことから気がついたという。小学校の頃は0.5ほどの視力があり、症状はいまと同じでゆっくり進行していた。山口さんは小学校から高校までずっと普通の学級で過ごしている。 病気の進行には個人差があり、20歳くらいで目が見えなくなる人もいれば、高齢でも視力が残る場合がある。自分の病気を理解した山口さんは、自分のしたいことを仕事にしようと研究者の道に進むことを決意。日本大学の農獣医学部(現在の生物資源科学部)で農芸化学を専攻。大学院で修士課程を卒業後、一旦就職して、岡山大学の研究所で再び学んだ。 岡山短大では当初、生物学を教えていたが、「環境」という新たなテーマに取り組むようになって、大きなやりがいを感じるようになったという。 「ふだん、土いじりや虫を嫌う文系の学生が、幼い子どもたちと一緒だと自然の中で興味を持って活動してくれます。野外での活動や、シャボン玉などの科学遊びを、幼児教育にどのように取り入れていくかを考えてきました。面白い研究テーマをいただいたと思っています」 研究や授業を進めるうえで、視覚障害はほとんど支障がなかった。現在の視力は、目の前で手を上下左右に振ると、その様子は見えるものの、指の数まではわからないという状態だが、長年の経験もあり、今後も授業を続けることについて問題はないと思っている。 しかし、山口さんは16年3月以降、「指導能力が欠如している」として大学から突然授業を外されたのだ。大学はその年の1月、教職から事務職への職務変更と、研究室からの退室を通告。山口さんが弁護士を通じて教職への復帰を求めたが、大学は応じない。非公開で地位保全の仮処分を申し立てて和解の道も探ったが、これにも大学は応じなかった。 他に方法を失った山口さんは、16年3月に大学を提訴。一審と控訴審は、山口さんの職務変更と研究室からの退去を無効とし、大学に110万円の支払いを命じた。18年11月、最高裁で判決が確定した。 判決では、職務変更が必要だと大学が主張する理由は、補佐員による視覚補助で解決が可能だとして、職務変更は不法行為と指摘。山口さんが授業をする権利までは認められないものの、専門分野について学生を指導する利益はあり、山口さんに著しい不利益を与える行為だと結論づけた。 ところが大学は今年1月7日の教授会で、今年4月以降も山口さんの担当授業はないと決定。やはり事務職への職務変更を曲げなかったのだ。その理由は、山口さんが担当していた専門分野の授業は「別の教員が担当者として適任」であり、その他の一般教育科目は「履修者が少ないために開講しない」というもの。つまり、大学はあくまで教員の交代と科目の消滅で「担当教員から外す旨の決定ではない」と主張している。 視覚障害を理由に「指導能力がない」 では元々「他に適任者がいる」という理由で、山口さんが授業から外されたのかと言えば、そうではなかった。最初に動きがあったのは14年1月。 当時、幼児教育学科に在籍していた事務担当の派遣職員が、山口さんの業務の補助をしていた。以前よりも病気が進行していた山口さんは、派遣職員が自ら「手伝えることはありませんか」と声をかけてくれたことから、書類のレイアウトの調整や、印刷物や手書き文書の読み上げなど、視覚障害のためにできない作業の補助をお願いしたという。 にもかかわらず大学は、派遣職員の契約が14年2月に満期を迎えることを理由に、山口さんに「今年度で辞めたらどうですか」と言ってきたという。次に着任する職員には、視覚障害をカバーするための補助作業はさせられないからと、山口さんに退職勧奨した、というのだ。 この時は山口さんが自費で補佐員を雇うことで、退職を回避した。補佐員は週に2、3日、1日5時間ほど出勤し、研究室での補助や、授業での出欠の確認などを手伝っていた。 ところが16年1月、大学が今度は「山口さんには指導能力が欠如している」と言い始め、教職をやめるよう迫ってきた。山口さんによると、その理由は次の2点だったという。 ひとつは、山口さんがゼミで教えていたある学生が、同じゼミの学生と仲が悪くなり、ゼミが楽しくないと他の教員に伝えたことを、大学が山口さんへのクレームとして大きく扱ったこと。もうひとつは、山口さんの授業中に抜け出している学生がいるが、山口さんが視覚障害のために注意できない、というものだった。 山口さんは16年2月、代理人弁護士を通じて、話し合いで解決するよう求めた。しかし大学の態度は頑なで、さらにいくつもの理由をつけてきた。視覚障害のために授業中にスマホをいじっている学生を注意できない、無断で教室を退去する学生を注意できない、など。 大学は特に、授業中にカップラーメンを教室で食べていた学生がいたにもかかわらず、山口さんの視力が弱いために気づかず、注意できなかったことを大きな問題にした。しかし、それなりの分別があるはずの短大の学生による問題行動を、目が見えなくて気づかず注意できないのが悪いと、全て山口さんに責任を押し付けるのはいかがなものだろうか。 山口さんはこれまで20年近くにわたって授業を担当してきた。講師から准教授にもなった。それなのに大学は、視覚障害があるために学生の問題行動を注意できないから指導能力がないと突然言い始めたのだ。 本来は、視覚障害がある山口さんの補佐は、大学が合理的配慮によって考えるべきことだ。しかし大学は、配慮はせず、教員から外してしまった、ということだ。 教育者を育てる大学なのに 山口さんの裁判や教職への復帰については、「支える会」が結成されて、多くの人が支援している。16年5月には視覚障害がある全国の大学教授が文部科学省で会見し、「視覚障害がある大学教員は不適格などと、私たちは言われたことがない」「ナンセンスだ」と声を上げた。この時点で視覚障害の大学教員は少なくとも全国で25人いた。 勝訴確定後の18年12月15日には岡山市で、16日には東京・新宿区で「支える会」の集会が開かれ、山口さんが教壇に戻れるように活動を続けていくことを確認した。 16年4月に施行された障害者差別解消法は、「全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現」を目的としている。岡山短大の行為は、法の趣旨に反していると言える。 厚生労働省は、障害者雇用促進法の観点からも、問題があると捉えている。最高裁での判決確定を受けて、18年12月末には岡山労働局が岡山短大を訪れ、「障害者であることを理由とする差別を禁止」し、「合理的な配慮を当事者と事業主との間で話し合い、必要な措置を講じること」を定めている法の趣旨を説明した。 その後、19年1月に岡山短大が山口さんに授業をさせないと決定したことについて、厚生労働省障害者雇用対策課の担当者は「問題が多い状況だと考えている」と話している。しかし一方で、岡山短大に対する指導については、「裁判になった時点で指導、監督などの行政行為は行うことができない」と及び腰で、「岡山短大には判決内容に基づいて、自主的に解決を図るように務めていただきたい」と述べるに留まっている。 岡山短大は自主的に解決を図る考えがあるのだろうか。今年4月以降も山口さんを授業から外す決定をしたことについて、改めて岡山短大に聞くと、「代理人弁護士からお答えします」とノーコメントだった。 代理人弁護士は「授業の担当者は毎年教授会にかけて決定しています。この度の決定は、専ら研究教育実績に基づいて判断したものであり、視覚障害は理由ではありません」と話した。岡山短大としてはこの問題は「解決した」という態度だ。 しかし、岡山短大は「16年4月以降山口さんの職務を変更したことは無効」とする判決を無視していると言えるのではないか。山口さんは今、大学の態度に、怒りよりも残念な気持ちを抱いているという。 「かつては、私が廊下を歩いていて障害物に当たりそうになったら、教職員も学生も声をかけて教えてくれました。しかし現在は、廊下でドアにぶつかっても見て見ぬ振りをする人が多くなっています。教育者を養成する大学で、言葉では思いやりが大切といいながら、視覚障害のある私を差別し、村八分にして、学生は何を学ぶのでしょうか。 人間ですから間違うこともあります。その間違いを認めて、乗り越えていけば、大学もよりよく発展できると思うのです。しかし、裁判所に間違いを指摘されながらも、変えることができない大学の態度には悲しいものがあります。 私は障害があっても、自分の好きなこと、得意なことを見つけて頑張れば、社会の中で輝けるということを知りました。もう一度教壇に戻って、支え合い、認め合うことで、豊かな社会になるのだということを、学生に伝えたいと思っています」 復職したいという思いの一方で、教育者を要請する大学で起きている障害者差別をこのまま見過ごすわけにはいかない。そう考える山口さんは2月25日、障害者雇用促進法に基づいて、岡山短大と協議をするための調停を岡山労働局に申請した。今後も大学に協議の場を持つように求めていく考えだ。

岡山短大解雇事件、「授業担当なし」調停申し立て

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NHK岡山(2019年02月25日)
「授業担当なし」調停申し立て 倉敷市にある短期大学の視覚障害のある准教授をめぐり、授業の担当から外した措置は無効だとする判決が確定したあとに、短大側が新年度も授業を担当させない決定をしていたことが分かりました。 准教授は労働局に調停を申し立て、「話し合いのテーブルについてほしい」と述べました。 倉敷市の岡山短期大学に勤務する山口雪子准教授(54)は、病気が理由でほとんど目が見えません。 3年前、授業中に飲食をしていた学生を注意できなかったことなどを理由に授業の担当から外され、「障害を理由にした差別だ」として運営法人を相手取って裁判を起こし、去年11月、最高裁判所が短大側の上告を退けて担当を外した措置は無効だとする判決が確定しました。 ところが山口准教授の弁護士によりますと、判決の確定後、教壇への復帰を申し入れたものの短大側は協議に応じず、先月、「新年度の担当授業はない」と連絡があったということです。 このため山口准教授は25日、短大側に協議に応じるよう求める調停を岡山労働局に申し立てました。 申し立てのあと、山口准教授は記者会見を開き「短大側は問題から目を背け続けている。話し合いのテーブルについてほしい」と話していました。 一方、短大の弁護士はNHKの取材に対し「授業を割り当てなかったのは准教授の研究実績に基づいた決定だ。調停については労働局から連絡を受けていないのでコメントできない」と話していました。

明治学院大学事件、日本の大学界の病弊を象徴する大事件

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日本の大学界の病弊を象徴する大事件
日本の大学界の病弊を象徴する大事件 ――「明治学院大学事件」の裁判記録――
寄川条路
寄川条路編、小林節・丹羽徹・志田陽子・太期宗平著 『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』A5判・96頁・926円、法律文化社、978-4-589-03977-4  大学当局が教授に無断で授業を録音し、無断録音を告発した教授を解雇した「明治学院大学事件」。東京地裁による解雇無効判決にいたるまでの、事件の概要、裁判所への法学者による意見書、判決文およびその解説を収めた全実録が刊行された。「日本の大学界の病弊を象徴する大事件」(小林節氏談)とも呼ばれ、学問の自由、教育の自由、表現の自由の根幹を揺るがした裁判の記録である。  裁判の結果が報じられたとき、本件は、「リベラルな大学」での特異な出来事と受け止められたが、実際のところは、現在の日本の大学界に広く蔓延している病状の一例にすぎない。明治学院大学のように授業の盗聴や録音を無断で行っている大学もあれば、授業の撮影や録画を行っている大学もある。このような日本の大学の現状を知ってもらうために、裁判記録を公刊することにした。  本書には、裁判所に提出された法学者の意見書と、それを受けて裁判所が下した判決書が収められている。  まず、憲法学の大御所である小林節は、「学問の自由」という観点からその理念を歴史的に概観し、つぎに、教育法の権威である丹羽徹は、「教育の自由」という観点から強固な法理論を構築し、そして、表現法について第一線で活躍している志田陽子は、「表現の自由」という観点から事件を緻密に検証している。さらに、判決文は、裁判所の承諾を得たうえで公表し、担当弁護士の太期宗平が的確な解説を加えている。  本書は、「明治学院大学事件」の裁判記録であるが、日本の大学界全体の教訓として必要不可欠なものであるとの指摘を受けて公刊された。編者としては、この本によって日本の大学の現状を知ってもらい、「学問・教育・表見の自由」を考えるきっかけにしてもらえればと思っている。  なお、本書は、シリーズ「学問の自由」の第1号である。「明治学院大学事件」の裁判記録である本号に続いて、第2号として、法学者・教育学者・倫理学者など、大学関係者による論説集が予定されている。(よりかわ・じょうじ=明治学院大学教授、哲学・倫理学専攻) ★こばやし・せつ=慶應義塾大学名誉教授・弁護士、憲法学専攻。 ★にわ・とおる=龍谷大学法学部教授、憲法学・教育法専攻。 ★しだ・ようこ=武蔵野美術大学造形学部教授、憲法学・言論法専攻。 ★だいご・そうへい=ベリーベスト法律事務所パートナー弁護士。

岡山短大不当解雇事件、教壇復帰をめざした山口雪子さんの裁判のその後

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NHKハートネット(2019年03月06日)  ∟●教壇復帰をめざした山口雪子さんの裁判のその後
教壇復帰をめざした山口雪子さんの裁判のその後
2018年11月、ある重要な裁判の判決が下されました。視覚障害のある岡山短期大学の准教授、山口雪子さんが、「障害を理由に授業の担当から外されたのは障害者差別だ」として、学校法人を訴えていた裁判で、山口さんの勝訴が確定したのです。しかし、まだ山口さんの教壇復帰のめどはたっていません。そこにはどのような問題があるのでしょうか。山口さんの裁判を通し、障害者への差別をなくすために必要なことを考えます。 学生にとって大きな学びだった山口さんの授業 岡山短期大学准教授の山口雪子さんは、網膜色素変性症で、今は明暗がわかる程度の視力です。大学院で博士号を取り、1999年に岡山短期大学の教員となりました。採用の際には履歴書に網膜色素変性症という病名を書き、面接でも聞かれましたが、問題なく採用となりました。 保育士や幼稚園教諭をめざす学生の通う幼児教育学科で、山口さんは、専門科目である「保育(環境)」の授業を受け持っていました。 「子どもたちが不思議に思ったり、もっとやりたいと思うような活動をしていくのに、どんな計画をしたらいいんだろう、どんな準備をしたらいいんだろうと、そういう力を伸ばす授業でした」(山口さん) 一方で、就職した当初に比べ、視力は低下していきましたが、「学生たちが支えてくれたので、あまり不自由は感じていなかった」と山口さんはいいます。 授業において山口さんが大切にしてきたのが、「学生たち自身でやってもらう」ということでした。授業を通じ、学生がさまざまなことを学んでくれたことを山口さんは感じていました。 「卒業して保育園に勤めた卒業生が『障害がある子どもに対して、この子のできることは何だろう、この子の頑張れることは何だろうと、可能性に目を向けられるようになった』と話してくれました」(山口さん) 以前は、視力がなくなったときが人生の終わり、と考えていた山口さん。短大に勤めたことで、その考え方は変わっていきました。 「学生たちと出会って、学生たちと一緒に学び合うなかで、私の視覚障害はこの学び合うという空間をつくるために与えられたものなんだと感じられるようになったんですね。そこから私は、視覚障害が進行しても大丈夫だと、前向きに思えるようになりました」(山口さん) 全盲の弁護士で日本盲人会連合評議員でもある大胡田(おおごだ)誠さんによると、今、地域の幼稚園や保育園で、障害を持った子どもたちが受け入れを断られるケースが少なくないといいます。原因は、保育園や幼稚園の側が障害について知らないことにあると、大胡田さんは考えています。 「山口先生の授業は、学生たちにとって、ほかでは体験できない、ほかでは学べないことを学ぶ、かけがえのない機会だったはずです。それでやめさせようというのは、本当に信じがたい行いだと思います」(大胡田さん) 配置転換命令は違法 山口さんの証言を元に、提訴までの経緯を振り返ってみましょう。 2014年1月、学長から呼ばれた山口さんは、事務員が退職するため視覚支援をできる人員がいなくなることを理由に、退職を考えるよう言われました。 「レポートや試験の採点の代読を、学外の知人に依頼していたのですが、それが個人情報漏洩だというような叱責をもらいました」(山口さん) そのときは、答案用紙などを学外に持ち出したことについては始末書を提出し、視覚支援は自費で雇った補佐員に学内で行ってもらうことで問題はクリアされたと考えていた山口さん。しかし2016年2月、今後は授業を担当させず、学科事務に専念するよう通告を受けます。理由は、「授業中の飲食、教室から抜け出すなど、学生の不適切な態度を見つけて注意することができない」というものでした。 短大側は、教員ではない「補佐員」が学生を注意することを禁じていました。視覚障害があることをわかっていながら、その責任を負わせようとする姿勢に、山口さんは絶望的な気分になったといいます。 それでも最初は、話し合いでの解決を求めましたが、糸口すらつかめません。やむを得ず、裁判に訴えることを決断したのです。 「裁判になると学生たちが心を痛めるかもしれないとは思いましたが、私は学生たちに、より良い社会をめざす者として、問題があったときに目を背けず取り組むこと、解決をめざすことが大切だと伝えてきました。自分がそれを破ることはできない、学生たちに嘘をつくことはしたくないと思って、障害者を排除するというこの問題に向き合おう、そのためには裁判しかないと決意しました」(山口さん) 裁判で山口さんは「視覚障害を理由として配置転換をした、これは違法であり、無効」と主張しました。 一方、短大側の主張は、弁護団の団長を務めた弁護士、水谷賢さんの説明によると2つです。 「1つは、授業中に飲食などを発見して、山口先生が学生を指導する、監督することができなかったというもの。もう1つは、視覚障害を理由にした差別ではない。もともと山口先生は教員としての資質、能力を欠いているから授業を外しただけだと。この2つが短大の主張でした」(水谷さん) この主張に対して、水谷さんは次のように指摘します。 「指導・監督できなかったという主張に対しては、目の見えない人に見えることを要求しているわけですから、仮にそういうことがあれば、補佐員を配置して、補佐員から注意するとか、あるいは指導してもらうということで十分可能です。2つ目に対しては、むしろ逆に他の教員より優れている面がたくさんあるではないかと主張しました。学生が教員に対する評価を出している資料があるのですが、そこでは山口先生ははるかに高得点の教員でした」(水谷さん) そうした資料に加え、裁判のことを知った山口さんのかつての教え子たちも、陳述書を裁判所に提出。番組にも次のようなメールを寄せてくださいました。 「授業中の飲食については、他の先生の講義でもあったことで、目の前で食べていても注意をしない先生や、注意をしてほしいくらい私語があるときでも何も言わない先生もいました。そのなかで、山口先生は、私語などはすぐ注意していたので、先生の講義は落ち着いて受けられました。先生の視覚障害については、学生に迷惑をかけていると感じたことはありませんでした。何でも話しやすい人柄で相談にも親身にのってくれる尊敬できる先生でした。 「山口先生の授業では、実際に屋外に出てみたり、保育で使えそうな玩具を作ってみたりなど、具体的に学ぶことができてとても役に立ちました。短大では、障害児についても、皆が一緒に楽しく保育生活を送れるための支援について学びましたが、今の短大では、それとは逆の行動を、先生方がとっていることに残念な気持ちを抱いています。幼児教育を学ぶ場として、学長や先生方には、山口先生を職員の一員として受け入れるよう願っています。」 裁判の結果、2018年11月には最高裁で短大側の上告が棄却され、山口さんの勝訴が確定しました。判決では、短大の業務命令に山口さんが従う義務はないとし、慰謝料として110万円を支払うことも命じました。 「この判決のポイントとしては、もし働いてる障害者が障害のために何かできないことがあったとするならば、雇い主はまずはそれをできるための方法を考えなさい、そんな支援を何も講じないで、まるで厄介払いをするように窓際に配置転換することは、それは権利濫用で違法、無効なんだということをはっきり言った。そういう意味があると思っています」(大胡田さん) 勝訴しても実現しない教壇復帰 背景にある「司法の限界」 2年半にわたる裁判の末、勝訴が確定した山口さん。しかし、まだ教壇に復帰するめどがたっていません。 「最高裁判所の決定ですから、短大側は真摯に受け止めてくれると思っていました。しかし、教壇に復帰したいという申し出をしたところ、合理的配慮どころか、これは教授会で決めることなので、大学としては回答ができないという対応にでました」(水谷さん) そして2019年1月下旬。短大側からは来年度、山口さんが担当する授業の開講はないと通知がありました。 こうした状況の背景には司法の限界があると、大胡田さんは指摘します。 「日本の裁判所はこれまで、ある労働者がこういう仕事をさせてほしいというふうな裁判を起こした際に、この仕事をさせなさいという判決は下せない、そういう前例があるんですね。今回の裁判でもそこが1つ問題になりました。裁判所としては、授業外しの命令は無効だということは言えますけど、この授業を山口さんにやらせなさいというところまでは言えない、それが司法の限界なんだなということをね、改めて思いました。短大側としては、「大学の自治」ということを持ち出して、授業を持たせないと言っています。ですが、これも本当におかしい話で、障害者を差別する自由だとか、マイノリティを排除する自由というのはないんですね」(大胡田さん) 最高裁で判決が確定していることから、再び裁判を起こすことは考えていないという水谷さん。今後について次のように語りました。 「日本は法治国家で、この最高裁の決定の趣旨を守らなければなりません。短大もそのとおりです。だから短大が授業外しをまだ続けているということを世論に訴えていきたいと思います。同時に、2018年から厚生労働省にも文部科学省にも要請をしてまいりました。この最高裁決定を事実上無視する短大の学校法人の運営の仕方、この点についても可能な限り行政指導を要請していきたいと考えています」(水谷さん) 山口さんは今、授業がないにもかかわらず、短大に出勤をしています。教壇への復帰を見据えているからです。 「大学は、教育と研究が2本柱だと、私は思っています。今、教育からは外されましたけれども、研究は続けよう。そして、教育にいつでも戻れるように準備しようと思っています。だから、研究に専念することによって、負けないって思っています」(山口さん) ※この記事は2019(平成31)年2月10日(日)放送の視覚障害ナビ・ラジオ「教壇復帰をめざして」を基に作成しました。情報は放送時点でのものです。 ※山口雪子さんは2月25日、障害者雇用促進法に基づく調停を岡山労働局に申し立て、短大側に協議に応じるよう求めています。

九州保健福祉大の雇い止めは無効

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NHK宮崎(2019年03月05日)
宮崎県延岡市の九州保健福祉大学から雇い止めを受けた元助手ら4人が地位保全を求めた仮処分の申し立てについて、宮崎地方裁判所延岡支部は雇い止めを無効とする決定を出しました。 このうちの1人は男性教授からセクハラ被害を受けたと申し立てていて、裁判所は「被害者を排除する意図で雇い止めが行われた可能性も否定できない」と指摘しました。 延岡市の九州保健福祉大学で助教や助手として働いていた男女4人はおととし12月から翌月にかけて大学から相次いで雇い止めを通告され、大学を運営する学校法人を相手取って地位保全を求める仮処分を申し立てていました。 これについて宮崎地方裁判所延岡支部の宮島文邦裁判官は先月22日づけで、「教員の間では助教や助手はそれぞれ一定の年数を雇用されるものと認識されており、契約の更新を期待する合理的な理由が認められる」として、雇い止めは無効だとする決定をしました。 この問題をめぐっては、4人のうちの1人で、元助手の女性が大学の50代の教授からセクハラを受けたとして大学に被害を申し立てていて、これについて宮島裁判官は「助手を排除する意図で雇い止めが行われた可能性も否定できない」と指摘しました。 大学は被害の申し立てを受けて教授のセクハラを認定し、去年1月、停職1か月の懲戒処分にしています。 今回の決定について九州保健福祉大学は「4人の契約を更新しなかったこととセクハラ問題は関係がなく、裁判所に異議申し立てを行いたい」とコメントしています。

九州保健福祉大、雇い止め無効の仮処分 セクハラ告発した大学元助教ら

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朝日新聞(2019/03/03)
雇い止め無効の仮処分 セクハラ告発した大学元助教ら
 九州保健福祉大(宮崎県延岡市)薬学部の元助教ら4人が大学から不当な「雇い止め」を受けたとして地位保全を求めたことに対し、宮崎地裁延岡支部が4人の雇い止めを無効とする仮処分決定をしたことがわかった。  仮処分を申し立てたのは30~40代の元助教の男女3人と、30代女性の元助手。申立書によると、元助教3人は3年目と7年目、元助手は2年目の契約更新を控えていたが、2017年12月から18年1月にかけて大学側から4月以降は契約を更新しないと通告された。  延岡支部の決定は、教員の間では契約期間の上限は助教10年、助手6年と認識されていたと指摘。「契約更新を期待する合理的な理由が認められる」として、今回の雇い止めが労働契約法に反すると判断した。元助教3人には雇い止め以降の賃金仮払いも認めた。決定は今年2月22日付。  争いの中で、4人は「雇い止めは、薬学部の男性教授によるセクハラ被害を訴えたことに対する報復だった」と主張した。  元助手は大学院生だった16年9月~17年2月、研究室の50代教授に強引にキスされるなどのセクハラ行為を数回受けた。元助手と、被害を知った元助教の女性はセクハラ被害を大学に告発。大学はセクハラがあったと認め、18年1月、教授を停職1カ月の懲戒処分にした。

九州保健福祉大、雇い止め無効の仮処分、元助教ら会見 「大学に憤り」

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朝日新聞(2019/03/06)
雇い止め無効の仮処分、元助教ら会見 「大学に憤り」
 九州保健福祉大学(宮崎県延岡市)の雇い止めをめぐる問題で、宮崎地裁延岡支部が元助教ら4人の地位保全を認める仮処分決定を出したことを受け、4人が6日、延岡市で記者会見を開いた。元助教らは「大学の対応に違和感と憤りを覚える」と涙ながらに訴えた。  仮処分を申し立てたのは30~40代の元助教の男女3人と、元助手の30代女性。2月22日付の決定は元助教3人への雇い止め後の賃金仮払いも認めた。  記者会見には4人と代理人弁護士が出席。延岡支部の決定に異議を申し立てるという大学側の方針に対し、「残念で、到底理解できない」と訴えた。  4人のうち元助手は大学院生だった2016年9月~17年2月、薬学部の50代男性教授から無理やりキスされるなどのセクハラ行為を数回受けた。「研究室の教授に反発すれば自分の研究人生に関わるのでは」と被害を打ち明けられず、うつ病と診断されるまでに疲弊した。  その後、セクハラは強く拒むようになるが、この教授の下で助手として働き始めた17年4月以降、教授からは「何もしなくていい」と冷遇され、予定していた実験計画がストップ。8月、大学にセクハラ被害を申し立てた。被害を耳にした元助教の女性も学長あての投書で告発し、大学は18年1月、教授を停職1カ月の懲戒処分にした。  女性2人に対する雇い止め通告は、教授の懲戒処分前の17年12月だった。このため、2人は「急な雇い止めはセクハラ被害を訴えたことに対する報復」と主張。延岡支部の決定も「助手を排除する意図で(雇い止めが)行われた可能性は否定できない」とした。  女性2人は薬学部が新設された03年入学の1期生だった。「まさか母校からこんな扱いを受けるとは」「泥を塗るかたちになっても、胸を張って卒業生だと言える大学に生まれ変わってほしい」と話す。  雇い止めの理由について、大学は「経営難による人員整理」「18年4月からは教育の質を保つため薬学部では助手と助教にも博士号を求める」と元助教らに説明。セクハラの告発は雇い止めとは無関係と主張している。  セクハラ被害に遭った元助手は、18年3月に教授と大学を相手取り計550万円の損害賠償を求めて提訴している。(大山稜)

九州保健福祉大不当雇止め事件、助教夫妻 同時に無職に 第2子出産…大学と争った1年

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朝日新聞(2019年3月6日)
 九州保健福祉大学(宮崎県延岡市)薬学部で不当な「雇い止め」を受けたとして、宮崎地裁延岡支部が雇い止めを無効とする仮処分決定を出した。雇い止めを受けた元助教ら4人のうち2人は助教夫妻だった。夫妻は突然、同時に職を失うことになった。  7年目の任期更新を目前に控えた2018年1月5日。助教夫妻(いずれも修士号)は大学側から雇い止めを通告された。  30代の夫は福岡県内の大学院を卒業後、一度は薬剤師として働いたが、誘いを受けて09年に母校の九州保健福祉大に助手として勤め、12年に助教に昇格した。同大で職場結婚をした40代の妻とともに、博士号の取得に向け、研究に没頭していた。  雇い止め通告後、夫妻は大学を追われ、同時に収入がなくなった。長男が通っていた保育園も、就労証明がなくなったことで一時保育に切り替えることになった。昨年10月には第2子が誕生。お金が必要な中、大学との争いを優位に進めるために、ほかの仕事に就くこともできず、生活が立ち行かなくなっていった。  ログイン前の続き夫妻が無職になってから4月で1年になる。この間、預金も底をつきかけた。夫の留学や子供の将来のために始めた貯蓄も切り崩した。「解雇を認めるようで使いたくなかった」という退職金にも手をつけざるを得なくなった。  助教の任期は2年更新だが、夫妻は採用時、大学幹部から「助教には10年間の任期がある」と口頭で説明を受けていた。しかし、解雇通告後、大学側は「独自の見解を述べただけ。明文化された規定は存在せず、10年間の雇用が保証されるものではない」と説明した。  夫妻は大学との争いで、「助教の任期10年間は大多数の教員が持っていたごく当然の共通認識」と主張。代理人弁護士は「特別な事情もない中、任期中ならいつでも解雇できると考えるのは解雇権の濫用」と訴えた。  これに対し、大学側は仮処分を巡る争いの中で、17年4月の薬学部入学者が定員を大きく割り込んだことから、「経営難による人員削減」と雇い止めの理由を説明していた。夫妻に対しては「早期に博士号取得を奨励していたのに、取得できていなかった」と主張した。  延岡支部は2月、「10年間は契約が更新されるものと期待することは合理的」として夫妻らの訴えを認め、雇い止めを無効とする仮処分決定を出した。  さらに「(夫妻に)雇い止めが伝えられた18年1月時点から4月以降の仕事を探すのは困難」として賃金の仮払いも認めた。夫妻が同時に職を失う事態に対し「雇い止めの影響は極めて大きかった」と指摘した。  元助教や代理人弁護士は6日、延岡市で記者会見を開いた。  仮処分決定で助教の地位保全は認められたものの、夫妻は「私たちが復帰できたとしても、大学が変わらない限り同じようなことはまた続く」と危惧する。「未来の学生たちのためにも経営陣には、これを機に大学の体質を見直してほしい」と話している。  大学側は取材に対し、地位保全と賃金仮払いを命じる決定を不服として異議申し立ての手続きをとったことを明らかにしている。  「研究者として復帰できるのか」。夫妻の不安はいまもぬぐえないままだ。(大山稜)

九州保健福祉大 雇止め無効決定「セクハラ被害を訴えた人間に対する報復措置」 原告の元助教らが会見

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MRT宮崎放送(3/6)
 九州保健福祉大学の元助教ら4人が不当な雇い止めを受けたとして地位保全の仮処分を求めたことに対し、宮崎地裁延岡支部は雇い止めを無効とする決定をしました。  4人のうち一部は、雇い止めがセクハラ被害を訴えた人間に対する報復措置だったとして大学に謝罪を求めています。元助教らによりますと、4人は、おととし12月から去年1月にかけて大学から相次いで契約を更新しないとする通告を受け、地位保全の仮処分を裁判所に申し立てていました。  これに対し、宮崎地裁延岡支部は、2月22日付けで、「契約更新を期待する合理的な理由が認められる」として雇い止めを無効とする決定をしたということです。また、4人のうち1人の女性は、おととし8月、男性教授からセクハラ行為を受けたとして大学に被害を申し立てていて、裁判所は、雇い止めがセクハラを訴えた人間を排除する意図があった可能性を否定できないとしています。 (仮処分の申し立てをした元助手)「仮に私の雇止めがハラスメントの被害申告の報復人事でないというのであればなんの後ろめたさもなく最初から私個人に直接雇い止めを正当な理由をもって説明できたはずです(大学から)誠意ない対応によって深く傷つけられたことに対して心から謝罪していただきたく思います」  大学側は「セクハラ問題と雇い止めは全く関係ない」と話していて、今後、裁判で争う姿勢を見せています。

四国大と准教授が和解、高松高裁 うつ病発症で解決金

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■徳島新聞(2019/3/14) この事件は,大学オンブズマンが原告を支援しておりました。和解を受けて,以下のコメントを出しました。 【大学オンブズマンのコメント】  大学オンブズマンは、四国大学看護学部の女性准教授の支援に取り組み、「学校法人四国大学における重大な法令違反・人権侵害の是正を求める声明」(2016年6月20日)、「学校法人四国大学は徳島地裁の判決に従うとともに、女性准教授に謝罪せよ」(2017年12月20日)を公表するなどしてきた。  今回の「和解」は女性准教授の主張を基本的に認めたものと理解できる。今後、法人が「和解」の内容を着実に実行するとともに、健全な大学運営に努めることを強く求めたい。女性准教授の一日も早い教壇復帰と研究活動の再開を念じている。  最後になるが、女性准教授ならびにご家族、そして支援された方々の長年にわたるご奮闘に敬意を表したい。
四国大と准教授が和解 高松高裁 うつ病発症で解決金
 長時間労働が原因でうつ病になったとして、四国大看護学部の女性准教授(48)=休職中=が同大に損害賠償を求めた控訴審の和解協議が13日、高松高裁であり、和解が成立した。大学側は准教授に解決金1420万円を支払う。准教授の復職や退職を前提としない和解条件も盛り込まれた。  2017年12月の一審徳島地裁判決では、大学側の安全配慮義務違反を認め、未払い給与など1395万円の支払いを命令。大学、准教授の双方が判決を不服として控訴していた。  高裁は今年1月、「10年2月の教員オリエンテーションでのやりとりがうつ病発症の原因」と認める内容の和解勧告を示していた。発症原因は一審では認定されていなかった。  准教授は、裁判を支援した連合徳島を通じ「オリエンテーションのパワハラが原因であると認められ、早期に解決することが急務と考えた」とのコメントを発表。四国大総務課は「和解勧告を真摯に受け止め、受け入れるに至った。今後は適切に処理したい」とコメントした。  女性准教授は08年に同大に採用された。長時間労働で10年2月にうつ病を発症し、13年6月に徳島労働基準監督署に労災認定されていた。

非常勤講師をクビにする方法

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首都圏大学非常勤講師組合『控室』第95号(2019年4月1日)http://hijokin.web.fc2.com/
非常勤講師をクビにする方法
明治学院大学教養教育センター教授 寄川条路 (よりかわ じょうじ・yorikawa@gmail.com)
1 非常勤講師の解雇 「ヘボン先生(仮名)は、授業態度に問題があるのでクビにします。」  主任の提案は、非常勤講師の雇止めだったので、教授会ですんなりと承認されてしまった。どんな問題があったのかはわからないが、主任に逆らう者はいない。反対意見でも述べようものなら、つぎの標的にされてしまうので、みんな押し黙っている。  非常勤講師には、「おまえはクビだ」とは言わないで、「来年度は、先生の科目は開講されないので、お願いできなくなりました」と、上手に伝える。  勤続10年でクビを切られたヘボン先生は、労働基準監督署に相談はしたものの、それ以上のことはしなかった。後日、「事件」が公になってはじめて、雇止めのいきさつを知ったという。 2 明治学院大学事件  大学当局が教授に無断で授業を録音し、告発した教授を解雇した「明治学院大学事件」。東京地裁での解雇無効判決にいたるまでの、事件の全貌を明らかにする本が公刊された。他人事ではないので、寄川条路編『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』(法律文化社)を手にとって読んでほしい。  裁判で明らかになったのは、明治学院大学では、慣例的に授業が盗聴され、録音されていたことだった。大学を告発して解雇された教授のほかに、非常勤講師も授業を盗聴され雇止めにされていた。この件は、まだ知られていないので、ここではじめて公にする。 3 科目の削減と教員の削減  クビになったのは、いずれも教養科目の担当者で、「明学★人気授業ランキング」で1位のシノロ先生(仮名)と2位のヘボン先生だった。二人とも、授業を休んで海外の学会に行くほど研究熱心だったが、学生のあいだでは、楽に単位が取れる先生で有名だった。  そんな折、2018年問題をまえにして、大学執行部は、学生定員を15パーセントも増やしながら、開講科目を20パーセントも減らす方針を決定した。  大学の方針は、専門科目はそのままにして、教養科目だけを減らすものだった。そのときは、非常勤講師を削減する話だろうと思って、教養部にさえ反対する者はいなかった。 4 大学による授業の盗聴  教養科目は自由に選択できるので、「楽単科目」に学生が集中する。学期のはじめ、職員が教室を回って出席者を数えているが、教務担当の教員も加わって、教室の中を見て回るようになった。授業について、学生からクレームが寄せられたそうだ。  明治学院大学では、学生のために「クレーム用紙」まで作って、積極的に、苦情や要望を書いてもらっている。あるとき、ヘボン先生の授業について、「学生の私語で先生の声が聞こえません」という、匿名の投書があった。  そこで、教務担当の教員と職員が、ヘボン先生に事情を説明し、同意を得たうえで何度か授業を聴講させてもらったが、その後も授業に改善が見られなかったので、やむなく雇止めにいたったのだという。  ところが、当のヘボン先生によれば、学生からクレームを受けたことはなく、教務担当の教員にも職員にも一度も会ったことはないという。「私は授業には自信がありました」というのが、研究熱心なヘボン先生のことばで、それまで授業が盗聴され調査されていたことなど何一つ知らなかった。 5 大学による教員の管理  学期末には、学生による「授業評価」が行われる。あくまでも授業の評価なのであって、教員の評価ではないはずだが、実際には、人事評価の資料として使われている。  明治学院大学では、「みんなのキャンパス」という授業評価のウェブサイトも監視しているが、たまたま見つけたという「学生と思われる者」の書き込みは、職員の自作自演だった。  手書きのはずのクレーム用紙が、パソコンで書かれていたこともあった。ファイルのデータを調べたところ、「作成者」は職員だった。「宮崎大学セクハラ教員解雇事件」のように、学生のクレームは職員がねつ造したものだった。  「リベラルな大学」に見えても、大学の方針を批判することは許されない。教科書の検閲はもちろん、プリント教材の事前確認から配布禁止まで、大学当局による管理運営は徹底している。  採点済みのテストは、学生の個人情報を保護するためシュレッダー用の箱に入れるのだが、回収された用紙は、授業内容の調査のため倉庫に保管され、しっかりチェックされていた。  大学では、これらをすべて「校務」と呼んでいる。いずれも組織的で計画的な犯行なのだが、不法行為に関与しているのは、執行部の指示や命令に従うまじめな教職員だ。理事の学部長は、裁判では、「授業の無断録音は許されるべきではない」と証言していたが、同じ人物が「のぞき」の常習者でもあった。 6 クビになったら非常勤講師組合へ  さて、「事件」が大学界に広く知れ渡ったので、件のヘボン先生も、雇止めのいきさつを知るにいたった。「訴えることはできるかもしれないけれど、私は研究に専念したいので」。こう言ってくれる先生は、クビを切りやすい。  クビになったら黙ってないで、すぐに非常勤講師組合に相談しよう。

苫小牧駒沢大学、教員2人「不当解雇」 雇用巡り大学側と団交

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■北海道新聞(2019年4月24日)
元教員2人「不当解雇」 雇用巡り大学側と団交  苫小牧駒沢大学教職員組合や苫小牧地区労連などは23日、苫駒大を3月で退職した教員2人が「雇い止めにあった」として雇用継続などを求めて大学側と団体交渉した。教員側は「不当解雇」と主張する一方、大学側は「契約満了に伴うもの」と説明している。  苫駒大は昨年4月、学校法人駒沢大学から京都育英館に経営が移管された。関係者によると、経営移管に伴い、京都育英館は「人物を見極めるため」として専任教員21人全員と1年間の有期契約を結び直し、2019年3月末で契約が終了。このうち多くは客員教授などへの衣替えも含め新たに契約したが、専任教員として雇用継続を求めた4人について、大学側は「専門分野が大学の方向性と合致しない」などとして契約を更新しなかったという。  交渉後、苫小牧地区労連の横山傑議長は「労働者の権利を軽視する大学側の対応は納得できない」と主張。苫駒大幹部と約1時間半協議したものの平行線に終わったといい、今後も話し合いを続ける考えを示した。

苫小牧駒沢大学、雇用をめぐり大学側と団交 苫駒大の元教員2人

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雇用をめぐり大学側と団交 苫駒大の元教員2人
 苫小牧駒沢大学の教授らでつくる教職員組合と苫小牧地区労連などは23日、3月末で退職した教員2人が「雇い止めされた」とし、雇用継続を求めて大学側と団体交渉を行ったと発表した。2人は「合意なく退職を迫られた」と訴えており、専任教員としての雇用を求めて団交を続ける構え。大学側は「契約満了によるもの」と主張している。  苫駒大の経営は、2018年4月に経営法人が駒沢大学から京都育英館に移管。在籍する教員21人は19年3月末までの雇用契約となり、うち7人が契約更新されなかった。現在、在籍する教員は全員、1年間の有期契約を結び直し勤務している。  2人は、ゼミ生の指導や研究継続の意志があることなどから雇用継続を要求。同組合は23日、大学側と団体交渉後、苫小牧市政記者クラブ内で横山傑議長ら地区労連メンバーと共に記者会見した。約1時間半の団交で具体的な進展はなかったとし、2人は「教員の退職でゼミの変更を余儀なくされた学生もいる。学生のためにも専任教員として働かせてほしい」と口をそろえた。  大学側は「各教員の専門性などを踏まえた上で、大学の構想と合致する人材かを判断したかった」と強調。7人の雇用契約を3月未で終了したことについては「契約満了であり雇い止めではない」としている。
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